プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

☆ < 燃えよ剣 >

2021年11月10日 | ☆映画館で見た映画。
10か月ぶりの映画館。

映画館に行くほどの映画か?と思いながら行った。
そう思いながら行ったのは、映画館の来場ポイントが12月頭に切れちゃうので、
それまでに料金を払って1度映画を見ないと、3回タダで見られるポイントが
無効になってしまうから。

岡田准一はけっこういい演技をすると思うし、自分基準ではかなり見ている方の
役者だが、それだけにちょっと飽きてるかもなあという気分もあった。
岡田准一の時代劇で見たのは「花よりもなほ」「関ヶ原」「散り椿」……
映画じゃないけど「軍師官兵衛」は何話か見たし、時代劇とも言い難いけど
「天地明察」も時代物っちゃ時代物。まあだいぶ見たよ。

そしたら、なかなか面白い映画でした。

まず、やっぱり映画館で見る映画はいいね。
映画館で見るってだけで、テレビで見る映画の10倍くらい面白くなると思う。
それは集中して見られるという理由が一番大きいと思うけど、
カミングスーンの映画の予告編を見て、これもいいなと思った。
長年映画館通いをしていて、そんなこと初めて思ったけど。


原作が司馬遼太郎。
わたしは司馬遼太郎をほとんど読んでないのだが、日本歴史小説の王道という
イメージがあり、それを映画化したのなら王道の時代劇になると思っていた。
そしたら映画はけっこう癖がありましたね。

表現として「気持ち悪さ」を採用していたと思う。
わたしは殺陣も血のりも好きな方ではなくて、絵面としてはちょっとイヤだったけど、
この気持ち悪さが「普通の時代劇」になることからこの映画を救っていた。

「普通の時代劇」が悪いわけではない。むしろこの気持ち悪さがちょっとでも
基準を超えると途端にイヤな映画になるから、危険ではある。
が、普通の時代劇は……ちょっと飽きている。

出来ればこういうグロい方向じゃなく、目新しい味つけをして欲しい気もするが。
でもグロに行くか、ユーモアに行くかしかないですよね、今のところ。
そうそう新機軸を打ち出すことも難しい。

それから話のテンポが速かった。通常の1.2倍くらい。
わたしは邦画の弱点はそのテンポの悪さだと思っていて――弱点なのか特徴なのかは
感じ方によるだろうけど、面白ければじっくり丁寧に描いていると思えても、
面白くなければテンポが悪いと感じるわけで。

テンポが速いせいで話がちょっとわからないところがあったりしたけど、
100%理解しなくてもいいと思えば、そんなに不快ではない。
こんな辛気臭い、グロい話をじっくり見せられてもツライしね。


役者さんは好きな人が揃っていた。それゆえにこの映画を見に行った感じ。
まあ岡田准一は安定。実は土方歳三は、何年か前の山本耕史が決定版だと思っていて、
それを越えたかと言われると越えてない気はするが。
しかし動きの癖は役者の工夫を感じた。

岡田准一は殺陣も乗馬もやりこんでるから、こういう役柄の時はここぞとばかり
多用してくるよね。これも役者としての努力。

鈴木亮平。一か所だけ、てきぱきとした口調の箇所があって、
こないだの「MER」以来の口跡に感動していた。
この人はこの口跡を活かした役柄をたくさん受けるといいんじゃないか。
気持ちいいもの。滑舌が悪い役者が目につくなかで、滑舌がいい珍しい存在。

ただこの作品では、土方と近藤の、熱い友情をそこまで感じなかったのがね。
土方と沖田はいい関係性だったけれども。
近藤はキャラクターとしてちょっと薄かった。白化粧は止めて欲しかった。

沖田総司の山田涼介はなかなか。
わたしはこの人、「もみ消して冬」でしか見たことないけど、演技は良かった
イメージがある。今回の沖田は多少の「気持ち悪さ」はあったが、唯一の癒し系。

柴咲コウは好きなんですけどねー。
近年ちょっくら言動に色がついてきて不安……。まあ意見も述べられない
こんな世の中も間違っているとは思いますけれど。
今回のお雪はいい意味でちょい足しで、ちょうど良かった。

あとは知らない人だった。
……ああ!吉原光夫!なんか見覚えがあると思ったら!
「エール」のバグ職人――もとい、馬具職人ですね。

尾上右近は近年のしてきている歌舞伎役者ですね。素顔を初めて見た気がする。
容保はいいキャラクターだった。幕末の流れは断片的には知ってはいるけれど、
会津藩がそこまで悲愴な決意をもって京都守護職を受けたとは思ってなかった。
いい役でしたね。

名前の字面だけ知ってた山田裕貴。変な役をがんばりましたねー。
徳川慶喜の重みを全く感じなかったのはマイナスだが、
奇妙な味つけは成功していたと思う。ひたすら締めまくる人。

伊藤英明も「陰陽師」では目を覆うばかりにアレだったわけだが……
普通になりましたね。今回の芹沢鴨は違和感はなかった。
しかしクレジットの最後に出てくるほどだとは思わない。
なぜトリを取るんでしょう?事務所がでかいの?


ロケを楽しんだ。海外ファンタジーは教会や古城などをたっぷり使えて、
うらやましいなあと思っていたのだが、
今回は海外ファンタジー並みにロケ地をうまくやってましたね!
お寺とか、こういう風に使えばいいんじゃん!

だが、壬生の屯所に設定されていたのが長谷寺だったので笑った。
奈良じゃん。わたし程度ならいいけど、近所の人は長谷寺を京都連呼されたら
違和感ありまくりだろう。
まあ京都じゃないとダメってことになるとロケが出来るところなんかないからね。


映画館で見て良かった。テレビでは良さが半減する映画。



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