華胥の国

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華胥引 序篇(一)

2013-04-10 20:39:38 | 小説の5分間劇場--華胥引 浮生尽

原作:唐七公子

 

時は乱世、九州という土地が小さな国々に分けられ、戦争が頻発

辛巳年の冬、陳国と衛国の間で戦争が起こり、衛国王室は抵抗もせずに降伏した

衛国の文昌姫だけ降伏を拒否し、毅然と百丈もの城から飛び降り、殉国

それを目撃した陳国世子蘇誉は、「姫の葬儀式で手厚く葬ろ」と淡々と命じた。

*注:世子とは諸侯王、親王などの世嗣

史書の記録はそれまでだが、その裏に隠された話はまだ始まったばかりです。

(一)

私の名は葉蓁、衛国の文昌姫

殉国の時、特に何も考えていなかったが、ただある人のことを思い出した

この十七年の短い生涯で唯一好きだった人

銀色の仮面を被っている彼は、名前が「慕言」と教えてくれた

 

慕言、「慕う」の「慕」に「無言」の「言」

―――――――――――――――――――――

私は衛国の国教である清言宗で育てられました

十六歳の時、父上は私を宮殿へ迎え、文昌という封号を与えてくれた

それまでは師匠と君瑋と一緒に暮らしていた

十四歳の夏のことだった

私は山で蛇に噛まれ、気絶した

目が覚めたら、誰かに足を掴まれているのに気づき、思わず力を入れて蹴った

「気性の荒い娘だね。助けてあげたのに、恩を仇で返すとは」

彼はもう私のことなんか覚えていないかもしれない 

「国が滅びれば、葉蓁は死ぬ」

これが姫としての信仰

だから、殉国のことに後悔はない

ただ、二度と慕言に会えないことは遺憾だった

つづく

PS:すみません、仮面を被っている写真は見つかりませんでした

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