ウェネトさまの館

ようこそいらっしゃいました。
ビスうさ・ウェネトと申します。
どうぞごゆるりとおくつろぎ下さいまし。

海を渡った古伊万里 ウィーン、ロースドルフ城の悲劇(大倉集古館)

2021年01月09日 20時03分42秒 | 展覧会・美術関連

前回の日記の続きでございます。

この日の午後は、大倉集古館「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」を観ましたのじゃ。
https://www.shukokan.org/exhibition/

大倉集古館、約1年もご無沙汰じゃった。


 

オーストリアのロースドルフ城では、古伊万里を中心とした大量の陶磁器コレクションが城内を飾っておったのじゃが、第二次世界大戦終結直後、旧ソ連軍によって殆どが破壊されてしもうたのじゃ。

当時の城主フェルディナンド・ピアッティ伯爵は、それらを破棄せず城に展示し、一般公開するためミュージアムを開いたのでございます。

本展では、海外初公開となるロースドルフ城のコレクション、日本の技術で修復した陶磁器、佐賀県立九州陶磁文化館所蔵の古伊万里などが展示されておりまする。

構成は3部じゃが、更に細かく分類されており、気になった作品などもリスト順に。

★【はじめに】1階
有田窯とヨーロッパの磁器が1対ずつ、部分修復された状態でお出迎え。
修復前の、こなごな状態のお写真もございます。

★【第Ⅰ部 日本磁器の誕生、そして発展】1階
1階は、主に佐賀県立九州陶磁文化館所蔵の古伊万里の名品が展示され、日本の磁器の歴史がよく分かりまする。

[染付磁器]

[色絵磁器の誕生]
《色絵樹鳥波文大皿》日本・有田窯 1650年代頃 佐賀県立九州陶磁文化館
初期色絵の青手の大皿で、緑と黄の地色に2羽の尾長鳥と植物。
幾重にも重なる波をじっと見てると、波にのまれそうな気分になりまする。

[食のうつわ]
《色絵椿文変形小皿》日本・有田窯 1650-60年代 佐賀県立九州陶磁文化館 
糸切り成形の小皿5枚セット。白い椿と緑の葉に細かく型で凸凹がつけられ、形も可愛く、普段使いしたい。

[鍋島磁器のデザイン]

[柿右衛門様式]
《色絵花鳥文角瓶》日本・有田窯 1670-90年代 佐賀県立九州陶磁文化館
角瓶に、すっきり優美な花鳥文。

《色絵唐獅子像》日本・有田窯 1670-90年代 佐賀県立九州陶磁文化館
カラフル可愛い一対の獅子。

[世界を魅了した「古伊万里」 宮殿を彩った花瓶と壺]
《色絵幔幕桜牡丹文壺・瓶》日本・有田窯 1700-30年代 佐賀県立九州陶磁文化館
ヨーロッパで好まれそうな壺や瓶。

[華やかな皿]
《色絵桜鷹菊唐草文大皿》日本・有田窯 1700-40年代 佐賀県立九州陶磁文化館
たいそう大きく華やかな皿。18世紀前半になると、ヨーロッパ輸出用の有田焼は、国内向けには見られない口径50㎝を超える大皿も作られるようになったのじゃ。

《色絵傘婦人文皿》《染付傘婦人文皿》日本・有田窯 1730-40年代 佐賀県立九州陶磁文化館
色絵と染付の違いはあるが、どちらも3羽の鳥の前に佇む女性と侍女の図で、オランダの画家が描いた唐美人を日本風にアレンジした絵柄。

[瀟洒な器たち コーヒー・紅茶・チョコレート]
《色絵草花文碗皿》日本・有田窯 1700-30年代 今右衛門古陶磁美術館
ビスうさのわたくしにぴったりサイズの、ちっちゃく可愛いカップ&ソーサーのセットで、見込みにも可愛いお花が描かれておるが、まだ把手はありませぬ。

[ウィーン万国博覧会と有田焼]
万国博覧会は、有田焼にとって再び脚光を浴びる絶好の舞台だったのじゃ。

・〈幕末、明治初期の輸出品〉
《色絵龍文貼付瓶》日本・有田 久富家 1840-60年代 個人蔵
立体的な白龍が巻き付く一対の瓶。小ぶりじゃがかっちょいい。

・〈香蘭社の創業〉
《色絵獅子牡丹文大皿》日本・有田 香蘭社 1875年 佐賀県立九州陶磁文化館
金の大皿に赤と藍色の牡丹の花がみっしり描かれておるが、よく見ると3頭の獅子が騙し絵の如く浮かび上がってくるのじゃ。

★【第Ⅱ部 ウィーン、ロースドルフ城の陶磁コレクション】2階
2階は、ロースドルフ城から運ばれて来た、日本、中国、ヨーロッパの陶磁器。

[中国陶磁]
《粉彩梅樹牡丹文瓶》中国・景徳鎮窯 18世紀 ロースドルフ城
優しい桃色の花が愛らしい景徳鎮。

[日本磁器]
《色絵花鳥人物文瓶》日本・有田窯 1690-1720年代 ロースドルフ城
胴の凹部に鶏の親子(裏側は布袋さまらしい)がいる瓶にシェードが取付けられ、ランプになっておる。

[伝世品に見られる文様の交流史]
《五彩花卉文皿(修復)》中国・景徳鎮窯 18世紀前半 ロースドルフ城
古伊万里を模した景徳鎮の皿に、ヨーロッパで金属装飾を施したもの。
破壊されたのじゃが今回の修復で見事に蘇り、裏面の修復跡はあえて残してあるそうな。

《色絵唐獅子牡丹文蓋付壺》ヨーロッパ 19世紀 ロースドルフ城
獅子が面白可愛い。

[西洋陶磁]
《人物花樹鳥禽文水差(部分修復)》イギリス・ウェッジウッド窯 19世紀前半 ロースドルフ城
ウェッジウッドお馴染みの、青のジャスパーじゃ。

《釉下彩蝶文瓶》《釉下彩草花文花瓶》デンマーク・ロイヤルコペンハーゲン窯 1923-28年 ロースドルフ城
いかにもロイヤルコペンハーゲンらしい、すっきり上品な絵付け。

[破壊された陶磁コレクション]
有田焼の、破片や組み上げ修復された作品。

[陶片の間 再現コーナー]
ソ連兵に破壊された大量の陶片が床の上に置かれた再現コーナー。
当時の様子をまざまざと想像でき、心が痛みまする。

《白磁大壺(組み上げ修復)》ドイツ・マイセン窯 20世紀初頭 ロースドルフ城
細密な細工の見事な大壺。破壊された陶片を集め、組み上げ修復されておりまする。

[破壊された陶磁コレクション]
オーストリア・ウィーン窯の、破片や組み上げ修復された作品。

[陶片~往事の姿]

[マイセン窯 ネームドビューの逸品]
ネームドビューとは風景を細密描写で描いたもの。
マイセン大好きゆえ嬉しいぞよ。

[ロースドルフ城の陶磁器に見られるアウトレット製品]
コレクションにマイセンのアウトレットもある事にちょっとびっくり。

[蘇った陶片]
今回、日本で修復された陶磁器が並んでおりまする。

《色絵芙蓉文大皿》日本・鍋島藩窯 1700-30年代 佐賀県立九州陶磁文化館 鹿島鍋島家寄贈
古い修復を現代の技法で蘇らせたもの。

《色絵松竹梅鶴文八角大皿(修復)》日本・有田窯 1700-20年代
修復工程や、修復で使用する絵具、陶片粉末、ガラス粉、ニードルなども展示。

ひっそりした館内で、大量の破片に痛ましい歴史を思い、また日本の修復技術に感嘆いたしました。

会期は1月24日までの予定じゃったが、緊急事態宣言を受け1月11日までとなり、12日からは休館との事。
良い展示なのに残念じゃが、愛知県陶磁美術館と山口県立萩美術館・浦上記念館にも巡回予定だそうな。


 

★おまけ画像2連発

初ファミレスのサイゼリヤで、ナスのミートソーススパゲッティとイタリア風もつ煮込みじゃ。
もつ煮込み、柔らかくて美味しゅうござりますが、量の少なさに涙。
いつもの辛味チキンも追加すればよかったのぅ。


 

そしてミニソフで、カスタードプリンの乗ったワッフルソフトクリームをば。
美味しいぞよ~。10倍サイズで持ってまいれ~!