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Ununzの夢見

夢へと向かい、私の夢は私的捕らわれから下降しきれない私の夢。ですが、あれらは想像(創造)を補う地下水脈でもあるのです

夢見【30】どいつもこいつも好き放題言いやがれ(了)

2015-12-22 11:36:21 | 夢見
(814字)
 いじめ撲滅アンケートが学校で採られる。一応書いたが提出期限を過ぎていたために出すのが億劫になり止めてしまう。どこか普段使われない薄暗い教室の一角にあるスチール棚の上段の引き出しに隠すことにする。

 高校同級生W来が空手部を作らないかと誘ってくる。もう高校二年生だし、お前は野球部だろうとあしらうように返事をするが、もう野球はやらないとあっさり答えるのだった。
 どうにも渋った気持ちのままで彼と一緒に暫く廊下を歩いていると、正面玄関付近にまで近づいたところで随分と人が多いことに気がつく。こちらに向かってぶつかりそうな感じに避ける素振りも全く見せず、ぎりぎりのタイミングでさっとよけて振り返らずに行ってしまう、微妙にデザインの異なる制服を着ている男子生徒。少し顔を俯かせ、視線はこちらを眺め値踏みするつもりか、どうやら新入生のようだ。
 さらに下駄箱に近づくと、赤いジャージを来た二人の女子学生が「汗臭い」だの「薄暗いし、ダサい感じ」だのと文句を垂れつつ、やはりこちらに向かってくる。男子がほとんどの高校なんてそんなもんだと口が開きかけるが、やはり余計なことは言わないでいいやと女の子たちの横を通りすぎる。

 続いて、体育会系の部活にでも入りそうな体格のいい坊主頭の新入生とすれ違う時には、「押忍」と声をかけてみると相手も少し驚いた顔で、それでいて一瞬のちニヤリとした顔で「押忍」
 後ろからは先程のいじめアンケートを集計していた男子生徒が現れ、彼と目が合うと廊下の隅に連れて行かれてしまうのだった。あれを提出してくれと十数分前に収めた泣き顔や、大げさな懇願やら随分な義憤やらこちらに対する無限責任追及をするかの勢いで迫るのだ。どこに入れてしまったのか忘れていたし、提出期限も過ぎているのに面倒なやつだと感じながらも、どうやらそれを口にすることは許されないのだろうからと、すっかり弱った気持ちで何とか思い出そうとしていた。

夢見【29】お茶目なブギウギ(了)

2015-12-10 12:17:19 | 夢見

(793字)
 ブックオフっぽいゲーム屋でなにやら物色していると、近くに高校生三人組がいることに気がついた。一人は昔働いていた酒屋でアルバイトをしていた男の子に似ている。何故か彼らに近づき、色々とゲームのことについて話をする。
 眼鏡をかけた彼の家に行くと居間に通される。大きなチョコレートブラウン色のテーブルがあり周囲には椅子が数脚、部屋には物が散乱としていていかにも落ち着く。誰かが帰ってきたようで、鴨居にかかった暖簾を片手で面倒臭げに払い中に入ってくる男が一人。彼の父親らしい。私は土下座をして迎える。どうしてかは分からず自然としていたのは、そうでもしないと許されないと感じたからだ。
 彼の父親は慢性的に何かがあるとすぐ酒を頼る。とはいえ普段は大抵一杯気分で妙なおおらかさをも見せる酒飲みの親父だが、機嫌がいつ急変するのか分からない恐ろしさが嫌な圧力の気配として、近くにいると常に伝わってくるのだった。とりあえず今はろれつの回らない舌でも、つかえつかえにこちらのことまで色々聞いてくるところから気を回そうとしているらしき様子、つまり思考が健全に働いている部分もあるようだった。ぎりぎり程度の悪くない状態だったので私は早めに逃げようと思っていた。

 自宅で寝ている。部屋がノックされたので誰かからまた逃げなければと感じるが、首を出して確認してみれば、窓の外は現実の自室同様に隣家の裏庭までの高さが4、5メートルあるようだ。これは無理かと観念し、仕方なくドアを開けるとそこには現実世界の父親が立っていた。「ここは北海道だからお前の部屋じゃない」と告げられる。
 一瞬訳が分からず後ろを振り返ってみれば、やはり全く私の部屋そのもの。布団の敷いてある位置、窓の高さ大きさ 、家具の種類、色味など全てが。何故北海道に自室と見紛うほどの部屋があるのか不思議に思う。

夢見集【23】~【27】

2015-12-02 11:49:28 | 夢見集
【23】『ついにこのときがきたか』(544字)
 雨の中暗い道を歩いていると段々と身体がだるくなり、近くの電柱に凭れ掛からなければ倒れてしまいそうなほどになっていた。
 しばらくじっとうつむいていると、被っていた帽子を後ろから歩いてきた女子高生にひっペがされる。帽子を指先につまみながら暗闇に向かって遠ざかり、笑い声を上げている。黒い傘を持っていたはずだったので、それで殴りつけて奪い返してやろうと思った。

 目の前に、太いマジックインキで乱雑に殴り書きしたようなぐちゃぐちゃな文字、または記号ともはっきりしない線の集まりや模様らしきが現れる。B3サイズ画用紙に書かれていたが、しばらく見ていると突然に回転したり拡大や縮小を始めた。続いて何も描かれていない部分、入り組んだ線で作られた模様の空白部分が激しい明滅を繰り返す。紙の中心には何も記されておらず、そこにいつからかボールペンで書いたくらいの細い文字が現れる。何とか読めるかどうか、文章として意味が解読出来そうだと感じる。

 夢と覚醒の境で、もう一度あそこに行って今度こそ絶対女子高生に復讐しようと頭に浮かんだ。恥を雪がなければ自分も許せない、世界も許せない。

夢を振り返って:紙の中心に文字が現れたあたりから、ああ、ついに頭がおかしくなったかとそんなことを思っていた





【24】『焚き火と音楽と破れた世界』(1438字)
 旧いタイプのラジカセから初音ミクの歌が流れる。
 曲名は分からないが現実に存在する、私の知っている歌だった。
 しばらく耳を傾けているとステレオのスピーカーから父の声が聴こえてくる。「ここが聞こえたら録音して欲しい」
 私はその二秒後くらいに録音ボタンを押した。父親がどこからともなく歩いてきて隣に立つ。「普通、声がした直後に押すよね」とさも当たり前のことのように言ってきたので、イラッとして「だったらだったら、だったら――これからやるからってさ、巻き戻して録音するように言えば良かったんだ。あの、あれだよ、そもそもさ、」と言い争いになる。どうやら父が旧友のYさんに頼まれていたらしいのだ。
 感情が先走って言いたいことが言葉にならないと自分でも分かる。まだ余裕のありそうな平静を装った向こうの顔を見ると、なんとも口惜しく自身に対しても腹立たしい気分になった。いつもこんな感じだ。
 スピーカーからの声を聞き取り、理解して行動に移す一連の流れが二秒くらいで出来たのだから、問題はないじゃないかというのが私の本音だった。

 場面は変わり大地震か戦災の後の世界。目の前には壊れた世界の現状を表すかのように地図が広がる。どうやらそこに示されている範囲は、町の丁目単位がいくつか一緒になった広さくらいか。色彩は乏しく青みがかった灰色の地面、数十年前のコンピュータで描かれたものに見えなくもない粗末なCG画だった。ファミコンのゲームグラフィックと似たりよったりな感じかもしれない。
 上部中央あたりと、それぞれ左右斜め下の地面の部分が破れギザギザになっている。少なくない土地が失われ、地上から消滅したのだろう。示されたいくつかの地点は地図で確認した限りでもある程度の広さを持っていたが、孤立したそれぞれを繋ぐ部分は一二箇所しかなく、しかも道幅は狭く頼りないものしか残されていないようだった。

 目の前が真っ暗になり、白い文字が画面の端から縦書きで現れ始める。何故こんな世界になったのか説明がされた。どうやら中国とどこかの国が争っていた、とか。日本はどちらにも与しないという風に思われ、適当に扱われて放っておかれたとのことだ。そういったわけで我々は、なんとか被害を受けながらも生き残ったのだ。

 壊されたスーパーマーケットで食料を千人分くらい確保する。私は家族とともにいたようで、発見した物の奪い合いや分配についてを気にする必要はないと知りつつも、とりあえず三十人分をまとめて貰うことにする。早速手をつけ始めると、腹が減っていたせいもあってすぐにでも一食分を平らげてしまいそうだったのだが……。
 夢中になって齧り付いていたところで何気なく顔を上げる。手を休め周囲を見渡し、次いで店の外の荒廃した光景を遠目にするうち、食料に限りがあるだろう現実に改めて実感が至るのだった。もはや原材料の生産地はことごとく荒れ果て、収穫・加工・物流に至るまでのほとんどの供給システムが機能していないのではないか? 市場に出回る段階にまで完成した商品を調達することはおろか、穀物や菜物の自給さえ適わないほど世界が破壊や汚染を受けている可能性も否定しきれない。
 最後の方は噛みしめ味わいながら、出来るだけ満腹感を得られるようにゆっくりと食べることにした。そんな自分に少し笑ってしまうのだった。

夢を振り返って:食べていたものはきしめんで作られたインスタントの鍋焼きうどんだったと思う





【25】『かなり単純な連打ゲー』(537字)
 陸上競技トラックの上でスポーツ刈りの短髪高校生と向かい合い、彼の肩を殴る。向こうが後退りするのに対して、一方的に何十発も同じ場所を。上空に半透明の枠が現れその部分が電光掲示板のようになっているが、相手の体を打つ度に数字が表示される仕組みらしい。枠の下の方では累計値も分からせるためにか、同時に計算され数字が加えられ続けている。
 高校生もやがて応戦してくる。向こうのほうが若干パンチ力が強い。今では互いに肩を打ち合う格好だ。【私】197:【高校生】203くらいの値だった。こちらのほうが分が悪く、少しずつであるが徐々にHPの減りに差が開き始める。ちょっと調子に乗り過ぎたかもしれないと、私の頭によぎる後悔。

 何度か連続して殴られているうちに、こちらの疲労が溜まり手が出なくなる。一方的に攻撃されることになってしまい、HPがどんどん無くなっていく。元々は3000くらいのものが1000を切ると自動的に回復するとはいえ、その回復値は2000……1800……1500といった具合に小さくなる。つまり上限が下がってくるのだ。
 何度も繰り返しているうちに、次第にほとんど回復しないところにまで追い詰められる。私は肩を殴られながらひたすら陸上トラックを後方に押され続けた。




【26】『昔の友達待ち惚け』(439字)
 弟の友人が迎えに来た。数十年前に一緒に遊んでいた彼らだった。しかし、イマイチ気が乗らない。停車中のバスの中で待っているというが、それらは一般的な大型路線バスのように見える。一番後ろに座り、窓枠に肘をついて手のひらで頬を支えている、いくらか暇そうな憂鬱そうにも映る横顔。多分二人いるはずだったが一人の姿しか確認出来ない。
 そういえば自分と同年の友人と遊ぶ約束をしていたことにふと気が付き、外に出ようかとするが思い留まってやはり止めてしまう。

 仕事の時間が迫っているので、弟に対してはバスの中の彼らには会えないと伝える。大文字のFの形に配置されたボロい木製の桟橋にはいくつかの手漕ぎボートが係留されている。下に覗ける海は底まで透き通る、とても綺麗な水色だ。海の上に掛かる桟橋の上を歩きながら仕事に向かおうとするが、後ろで何もせずに突っ立っていた弟から突然に文句を言われたのだった。
 時間は07:28だったので、その感じからすると以前勤めていた工場だったのだろう。





【27】『真夜中ァ~電気ィ~保安ン協会♪』(1947字)
 知らないバアさんの家。築十年も経っていないか、壁にはシミ一つなく、いくつかの洋服タンス等の家具は現代的でお洒落なデザインだ。おそらく後ろを振り向けばいわゆる機能的なキッチンがあるだろう。
 時間は夜10時以降、天井の一箇所だけが消されずに残され、暖色系の白熱灯が広い部屋の隅を柔らかく包み、そこはフローリングの床になっていて直接布団が敷かれている。バアさんは上掛けをまくり上げてちょこんと座り込んでいる。
 なにやら心配事があり眠るに眠れないのだとか。話を聴いてみると隣家の住人が大きな声で自分や自分の家族の悪口を言っているのだというらしい。突然、玄関に通じるドアの上部に設置された機器が作動すると、凄まじい音がなり、しばらくすると自然にドアが外側に向かって開いたのだった。
 新手のガス検知器なのだろう。そして、機器が誤作動を起こすのは隣家のせいなのだと。だったらコンセントを抜けばと応じるが、本来動く時の目的と状況(つまりガス漏れ)を考えると抜けないと首を力なく横に振る。最近はずっと寒さも続いてガスストーブを使っているので心配なのだ。ただやはり大音量が鳴り響くのと、ドアが何度もバタンバタン十数分ごとに強制的に開けられるのが気になってバアさんは眠れない。というわけで、どうしたら良いか分からない八方塞がり状態だった。

 同じ部屋で私も寝ることにしたようだ。本当に検知器はそんなに頻繁に鳴るのか調べるため、またドアを開けたままにしてどれくらい寒いか、また開けっ放しにすれば勝手に閉まったりはしないのか調べるためでもある。部屋を真っ暗にして寝っ転がり、横を向いて顔を上げてみるとガス検知器が正常の待機状態である証しの、緑色の常時灯が数メートル先に見える。
 しばらくそのままでいるとランプが点滅を始め、やがて赤色に変わった。私は例の大音量を思い出し、起き上がりすぐに駆けつける。近くにおいてあった三段梯子に昇り、コンセントを外してしまおうと触った瞬間にかなり強い電流が流れていたと気づくがすでに遅し、感電する。体中がしびれ、痛みが走り、指先を自由に動かすことも出来ない。何とか我慢しながら力を振り絞って、ぎこちなく時間をかけながらもコンセントを抜くのには成功する。
 体のしびれは徐々に時間を経るにつれて抜けていくが、その間梯子の上でグルグルと回っては周囲の光景を見ているのだった。普段視線の届かない冷蔵庫の頭頂部や、寝る前に脱いでおいた上着が食器棚の半分開け放たれた開き戸にかかっているところやら、回転している最中にも新手のガス検知器に肩がぶつかりそうになるが、触れればまた感電することになると思い、回転自体は止められないので遠心力に逆らって、ぎりぎりの間隔で何とか体を反らせて避ける。
 
 父方の祖母が登場。再び寝床について検知器を見上げ、とりあえず修理をするか漏れの心配のない新品でも買うかしてしまおうと考える。そして今日のあいだはガスストーブも、当然ストレスの元となる騒音機器は消してしまおう。面倒な機械は半永久的に停止してしまったっていいんだ。
 実はコンセントの横にはスイッチもあり、それを押せば感電もせずに電源を落とせるのだと、いつの間にか知っていたのだ。ハシゴに登ると動かないように祖母が押さえてくれているみたいだった。早速スイッチを切ろうと手を伸ばそうとした時、足下から声がかかり白いビニールに包まれた手のひらくらいある大きさの、ヒヤリ冷たい物を手渡される。いわゆるアイスノンだ。
 どうやら誤って加熱したコンセント周囲の部分に触ってやけどをしないために、本体も冷やしたほうがいいと考えているのだろう。しかし温めて表面に水分が滲んでくると感電してしまう。こんなものを使うと逆に危険ではないのかと、もしもの想像を巡らせた瞬間におののきを覚えては、それでも怖々本体に当ててみれば、あっという間に冷たく固まっていたアイスノンが柔らかくヘタってしまうのだった。ということはかなり熱いのだ。祖母は経験的にかあるいは勘か、とにかくを知っていたに違いない。……これは、やはり冷やすべきか?

夢を振り返って:そういえば以前、天袋に閉まってある荷物を整理したいだとか、タンスの上を掃除したいなどの言葉を顔を合わせるたび祖母がしきりと口にしていて、なにやら難儀なことを言っているなあと思いつつも、時には一念発起して手伝いをしたのだ
足腰の悪い祖母に変わって私が梯子や椅子の上に乗り作業をするのだったが、その際には下で支えてくれながら「○○(私の名前)あっちはどうだろうかね」「あのさ、おばあさん、もうこんなもんで良いんじゃないか?」などとやり取りをしていたものだ。そんなことを思い出した

夢見【28】『謎スープ』/『誰かの通信簿』(了)

2015-12-01 11:45:03 | 夢見
『謎スープ』(358字)
 黒く大きな虫の入ったスープを皆が美味しそうに食べる。濃茶色でラーメンの汁っぽい。
 中を見ると死んでいるようだが、俺は絶対に食わないし近づけるなと逃げる。ニヤニヤとした顔をしながらこちらににじり寄ってくる友人の一人は、どうやら無理やり食べさせたがっているのだ。彼が敷居に足を引っ掛け、つまづいた拍子で丼が傾き虫が飛び出してくる。生きているかのように爪が服に引っかかり、思わず「おわっ」っと悲鳴を上げて虫を必死に払おうとする私。
 何とかその場から逃げなければと近くに敷いてある布団に潜り込む。ところが、掛け布団を持ち上げた時に作った隙間にそいつらは再び飛び込んで来ていて、奥に入り込んでいた。姿は見えない。体の一部がちぎれた虫五匹がさらに捲り上げた先の方にいるはずだ。恐々確認すると、やはりいた。死んではいたが。





『誰かの通信簿』(340字)
 薄汚れ、ちょうど真ん中に縦の折り目がついた固紙、大きさはB4くらいか。中は隅々にまで細かく文字が書かれ、右上には四コマ漫画も載っている。左側中央部に数十個の枠で出来た何かの記入欄があり、よく見ると数字が書かれている。欄の一番左端には教科名が印刷されているので、どうやら通信簿のようだ。
 国英社が95~100で右の欄は「5」となっていた。数理は0と20で「1」「2」といった五段階評価。数学はともかくとして理科がこんなに悪かっただろうか、と思う。他にも体育の項目があるがこちらは予想通りの「1」。ただし、横の備考欄に教育委員会に要相談とあるのは少し気になる。

 父にそれを返してくれないかと言われる。何故かと疑問に感じていると、どうやら兄弟の通信簿だったのだ。

夢見【27】真夜中ァ~電気ィ~保安ン協会♪(了)

2015-11-24 12:03:44 | 夢見
(1947字)
 知らないバアさんの家。築十年も経っていないか、壁にはシミ一つなく、いくつかの洋服タンス等の家具は現代的でお洒落なデザインだ。おそらく後ろを振り向けばいわゆる機能的なキッチンがあるだろう。
 時間は夜10時以降、天井の一箇所だけが消されずに残され、暖色系の白熱灯が広い部屋の隅を柔らかく包み、そこはフローリングの床になっていて直接布団が敷かれている。バアさんは上掛けをまくり上げてちょこんと座り込んでいる。
 なにやら心配事があり眠るに眠れないのだとか。話を聴いてみると隣家の住人が大きな声で自分や自分の家族の悪口を言っているのだというらしい。突然、玄関に通じるドアの上部に設置された機器が作動すると、凄まじい音がなり、しばらくすると自然にドアが外側に向かって開いたのだった。
 新手のガス検知器なのだろう。そして、機器が誤作動を起こすのは隣家のせいなのだと。だったらコンセントを抜けばと応じるが、本来動く時の目的と状況(つまりガス漏れ)を考えると抜けないと首を力なく横に振る。最近はずっと寒さも続いてガスストーブを使っているので心配なのだ。ただやはり大音量が鳴り響くのと、ドアが何度もバタンバタン十数分ごとに強制的に開けられるのが気になってバアさんは眠れない。というわけで、どうしたら良いか分からない八方塞がり状態だった。

 同じ部屋で私も寝ることにしたようだ。本当に検知器はそんなに頻繁に鳴るのか調べるため、またドアを開けたままにしてどれくらい寒いか、また開けっ放しにすれば勝手に閉まったりはしないのか調べるためでもある。部屋を真っ暗にして寝っ転がり、横を向いて顔を上げてみるとガス検知器が正常の待機状態である証しの、緑色の常時灯が数メートル先に見える。
 しばらくそのままでいるとランプが点滅を始め、やがて赤色に変わった。私は例の大音量を思い出し、起き上がりすぐに駆けつける。近くにおいてあった三段梯子に昇り、コンセントを外してしまおうと触った瞬間にかなり強い電流が流れていたと気づくがすでに遅し、感電する。体中がしびれ、痛みが走り、指先を自由に動かすことも出来ない。何とか我慢しながら力を振り絞って、ぎこちなく時間をかけながらもコンセントを抜くのには成功する。
 体のしびれは徐々に時間を経るにつれて抜けていくが、その間梯子の上でグルグルと回っては周囲の光景を見ているのだった。普段視線の届かない冷蔵庫の頭頂部や、寝る前に脱いでおいた上着が食器棚の半分開け放たれた開き戸にかかっているところやら、回転している最中にも新手のガス検知器に肩がぶつかりそうになるが、触れればまた感電することになると思い、回転自体は止められないので遠心力に逆らって、ぎりぎりの間隔で何とか体を反らせて避ける。
 
 父方の祖母が登場。再び寝床について検知器を見上げ、とりあえず修理をするか漏れの心配のない新品でも買うかしてしまおうと考える。そして今日のあいだはガスストーブも、当然ストレスの元となる騒音機器は消してしまおう。面倒な機械は半永久的に停止してしまったっていいんだ。
 実はコンセントの横にはスイッチもあり、それを押せば感電もせずに電源を落とせるのだと、いつの間にか知っていたのだ。ハシゴに登ると動かないように祖母が押さえてくれているみたいだった。早速スイッチを切ろうと手を伸ばそうとした時、足下から声がかかり白いビニールに包まれた手のひらくらいある大きさの、ヒヤリ冷たい物を手渡される。いわゆるアイスノンだ。
 どうやら誤って加熱したコンセント周囲の部分に触ってやけどをしないために、本体も冷やしたほうがいいと考えているのだろう。しかし温めて表面に水分が滲んでくると感電してしまう。こんなものを使うと逆に危険ではないのかと、もしもの想像を巡らせた瞬間におののきを覚えては、それでも怖々本体に当ててみれば、あっという間に冷たく固まっていたアイスノンが柔らかくヘタってしまうのだった。ということはかなり熱いのだ。祖母は経験的にかあるいは勘か、とにかくを知っていたに違いない。……これは、やはり冷やすべきか?

夢を振り返って:そういえば以前、天袋に閉まってある荷物を整理したいだとか、タンスの上を掃除したいなどの言葉を顔を合わせるたび祖母がしきりと口にしていて、なにやら難儀なことを言っているなあと思いつつも、時には一念発起して手伝いをしたのだ
足腰の悪い祖母に変わって私が梯子や椅子の上に乗り作業をするのだったが、その際には下で支えてくれながら「○○(私の名前)あっちはどうだろうかね」「あのさ、おばあさん、もうこんなもんで良いんじゃないか?」などとやり取りをしていたものだ。そんなことを思い出した