ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

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第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」5話、悪魔が農園の手伝い。土作業?。「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0008

2021年06月22日 14時28分47秒 | 「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」【R15】(自作小説)

第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」5話、悪魔が農園の手伝い。土作業?。「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0008


0008_悪魔が農園の手伝い。土作業?

翌朝になる。
イリスは、早く起きて朝食のポテト、スープを作った。
昼の弁当に蒸芋(むしいも)を作る。
お爺さんは、イリスが朝食を作る間に起きだし、
朝ご飯が出来ると、ポテトとスープを食べ、
何かを気にしてバツが悪いのか、
蒸芋を持って直ぐに農作業に出かけた。

イリスは、お爺さんを送り出すと、
前に傷負い天使が食べた赤い皮の果物(くだもの)を森に取りに行った。
そして、森から帰って来て恐る恐る納屋を覗(のぞ)き込む。

デミュクが起きて座っている。こっちを見ている。
傷は、癒(い)えたのだろうか?
傷に当てた布をほどいてたたんで傍(かたわ)らに置いている。
完全に治癒(ちゆ)したのだろう。

イリスは、神妙(しんみょう)な気持ちで納屋に入りデミュクの向かいに座った。
「天使さん。
 私は、この畑で農作業をしているイリスです。
 お爺様(おじいさま)と2人で暮らしています。
 傷は、もう治りましたか?」
イリスは、初めて名前を名乗った。
「イリス。あなたが、ずっと、
 世話をしてくれたのですね。
 ありがとう。
 お礼を言います。
 私は、デミュクと言います」
デミュクも、初めて正式に挨拶した。
もう2人は、結ばれていたのに順番としては逆である。
「デミュクさん。果物(くだもの)を食べますか?」
イリスは、名前を教えてもらって嬉しかった。
一夜の夢で終わるのではないかと思っていたからである。

「いただきます。
 あ!くどいようでなんですが、
 私は、天使ではありません」
デミュクは、一応、否定したが、納得するとは、思ってもいない。
イリスは、もう誰が何を言おうがデミュクは天使なのである。
「いいの。いいの」
イリスは、果物を差し出した。
デミュクは、嬉(うれ)しそうに食べる。
そして、一息つくと話し始める。
「世話になりました。
 迷惑を掛けられません。
 体が回復した以上、
 ここに置いていただくわけにはいきません。
 何も出来ませんでしたが、
 ここを出ていきます。
 お爺様に、私のことを話しましたか?
 私のことを内緒のままには出来ないでしょう」
デミュクは、悪魔の追手も来るかもしれないし、
長くは、お世話になることは出来ないと思っていた。
「だめ。だめ。だめ。
 当てもないのに、どこに行こうと言うのです。
 絶対。だめです。
 私にいい考えが有ります。
 お爺様を納得させて見せます」
イリスは、どうしてもお世話をする気でいるし、
助けてほしいこともあるのである。
(一夜限りの契(ちぎ)りですか?)
イリスは、喉(のど)をついて言葉が出かけたがそれを飲み込んだ。
「それは、どう言う考えですか?」
デミュクは、その考えを聞くことにした。
「あなたを遠くの国から来た旅人という事にします。
 夜盗(やとう)に襲われ身ぐるみをはがされ、
 やっとのことに難をのがれ、
 偶然この村にたどり着いた。
 そこを私と出会い、
 一夜の宿を求めて来た。
 こんなストーリーは、だめですか?」
イリスは、説明する。
「その話でうまくいきますか?」
デミュクは、それだけでは到底(とうてい)上手くいくとは思えなかった。
「既成(きせい)事実を作るのです」
(え!昨日のことは、それですか?)読者の声です。
(違いますよ。そのことは、2人とも何も気にしていない。
 それで束縛(そくばく)しようという考えは有りませんよ。
 束縛する為ならそう言うことはやめた方が良い)筆者の声です。
イリスは、デミュクに農作業をさせることにした。
鍬(くわ)を持たせ畑を耕(たがや)してもらう。
デミュクは、上着を脱(ぬ)ぎ、ランニングシャツにズボン、革(かわ)の靴(くつ)。
一見してわかる農作業するための有り合わせの姿である。
デミュクは、不慣れであるが農作業を手伝うことを了承(りょうしょう)した。
はじめは、不器用そうにみえたが、意外と様になっている。
(悪魔か?普通に暮らすのもいいかっもな)
デミュクは、鍬で土を耕し続けた。
でも、明日のことが脳裏に浮かぶ。
(このまま、農作業してイリスと暮らすわけにはいかない。
 それは、余りにも幸せな夢である)

そして、日が暮れ始めた。
夕方になる。

お爺さんが帰ってきた。
イリスは、家から飛び出してくる。

デミュクは、鍬を持ったまま、
イリスと一緒にお爺さんを迎(むか)える。
「お帰りなさい。
 お爺様(じいさま)」
デミュクもお辞儀(おじぎ)をする。
お爺さんは、デミュクに気づいた。
(この男なのか?隠していたものは)
お爺さんは、娘を守らないといけないとか、
彼が何者か知りたいとか、
いろいろな感情が湧くが、
とにかく、まず尋(たず)ねることにした。
「イリス。そのお方は、誰ですか?」

「デミュクさんと言います」
イリスは、答えた。
そして、予定通りの説明をした。
お爺さんは、穏やかにその説明を聞いていた。
身なりから見てデミュクが、悪い人でないようなので安心したようである。
「町で仕事が見つかるまで、
 数日、ここに置いてもらえませんか?」
 納屋で良いので、おいていただけると幸いです」
デミュクは、丁寧にお願いした。
「そうですか。何もお構いできませんが、
 ここで良ければ、お泊りください」
お爺さんは、拒否(きょひ)しても、イリスが聴くわけもないので、許すしかないという結論に至(いた)った。
そう、こうと思えば引かない子である。
デミュクは、農民と言うより貴族に見えた。
お爺さんは、何かの縁(えん)を感じた。
(本当に、この娘を守ってくれるかもしれない)
そう感じたのである。
「イリスは、それで良いのか?」
お爺さんは、イリスにも再度確認した。
「はい。お爺様」
イリスは、嬉(うれ)しそうである。
「少しお待ちください。
 お礼と言っては何ですが、
 犬をお借りできますか?
 2人は家でお待ちください」
デミュクは、何か考えがあるようである。
「どうぞ。ブロクです」
イリスは、犬を連れて来た。
少し何をするのか不思議がった。
お爺さんは、家に入っていく。
イリスは、興味深くデミュクを見ている。
デミュクは、犬を連れて森に入っていった。
そして、暫(しばら)くして、
デミュクが帰ってくる。
右手に何かを持っている。
後ろをブロクが吠(ほ)えながらついてくる。
「ウサギ!」
イリスは、喜んだ。
デミュクがどうやって捕(つか)まえたのか?
魔力か?半分はそうだろう。
実際は、そんな大したものではないが、
犬にウサギを探させ、草むらから追い出させた。
デミュクと目が合えば、ウサギはもう動けなくなった。
後は、捕(つか)まえ、首に噛(か)みつき血を抜いた。
血を吸い当分の間の栄養を補給したのである。
肉はと言うとデミュクは、食べない。
「私が、調理します」
デミュクは、農家では肉など食べていないだろうと思い自ら料理してあげようとした。
「ほんとうでございますか?」
イリスは、急に前よりまして言葉使いが丁寧(ていねい)になる。
「負(ま)かしてください」
デミュクは、難なく皮を剥(は)ぎ内臓を取り出し調理して見せた。
竃(かまど)で焼く。
焼き上がると切り分けた。
残りの食事の支度(したく)は、既(すで)に出来ていた。
出来ていたと言ってもポテトと人参(にんじん)のスープである。
イリスは、楽しそうに食卓に運んだ。
お爺さんは、食卓に見慣れないものがあるので大喜びである。
「それは、ウサギの肉ですか?」
「そうです」
デミュクも喜びが伝わっったのか嬉しそうである。
「デミュクさんが、調理したのかい?」
お爺さんは、念を押して尋(たず)ねる。
「はい」
3人は、食卓に着く。
デミュクは、他人とは一緒に食事しない風習であると断(ことわ)る。
無理には言えずにお爺さんは、その風習を受け入れた。
2人は礼拝する。
デミュクは、食べないので食事の用意はない。
そして、お爺さんは、ウサギの肉を一口食べて、また感激した。
「本当に美味しい。
 何か味に刺激がある。
 何か入ってるのですか?」
「胡椒(こしょう)の実です」
デミュクは、スパイスを入れたのである。
貴族ならではなのかもしれない。
(どうやって、胡椒の実を取ってきたの?)読者の声です。
(想像にお任(おまか)せします。今は、内緒に)筆者の声です。

お爺さんとデミュクは、すっかり仲良くなっていく。
そして、お爺さんは、デミュクに尋ねる。
「デミュクさんの住んでいた町はどこですか?」
イリスの顔が一瞬、曇(くもる)が直ぐ目が輝きだす。
(そんなことを突然(とつぜん)尋ねるのですか?
 でも、私も興味ある)

つづく。 次回(デミュクの住んでいた町。どう答えるの?)


#自作小説 #失望 #愛 #導かれし悪魔の未都市 #デミュク #導かれし未都市 #イリス

 


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