宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

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のんびりしようよ

月影の門 26

2009-03-16 22:16:40 | 小説 月影の門
 白いもやがまとわりつく。あぁ、これは、モルド対策のガスだ。その向こうに見えるのは・・・。
 さっきのモウルディアン。
 ここは、さっきのアパートだ。どうして、あたし、ここに戻って来てるの?
“オマエハ ナゼ”
 聞こえるモウルディアンの声。まるで心臓を掴まれているようだ。
“オマエハ、・・・・デアリナガラ、ニンゲンニカタンスルノカ”
“   ウラギリ”
「この、化け物!」
 思い出した。ずっと前、自分を襲った男からおびえた顔で浴びせられた言葉。
 水溜りに写った異形の姿。
 家で見つけた“東緑依子ノ霊位”と書かれた位牌。
 私は、一体、だれ?

 ふと、目を開けると、向こうでマドカとコウジが何やら話をしている。
 ミイコが眠っていたのは、ほんの僅かの時間だったようだ。
「お、大丈夫か、起きて?」
 振り返ったマドカが声を掛けた。
「うん、少し寝たらすっきりした」
 ミイコは起き上がり、毛布をたたんでソファーの隅に置く。
「飲みますか?」
 コウジがまたコーヒーを入れてくれた。

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