宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

勝手に趣味ブログ
のんびりしようよ

月影の門 42

2009-07-30 21:25:45 | 小説 月影の門
「もしかして、追い出される・・・・とか?」
 口へ運ぼう押していた箸をとめるトシ。しかし、
「そうじゃなくて、すぐそこの建物に移ってもらいたいんです」
 ワカバはそれに手を振っていった。
「実は、昨夜、鳩羽君たちの別働隊5人が合流したんだけど、部屋が足らなくなってしまって・・・・。昨夜は、仕方ないので会議室に寝てもらったんだけど、この先ずっと会議室で寝てもらう訳にもいかないし・・・・。それで、3人が同じ部屋という訳にもいかないでしょうし、出来れば、別働隊も同じ建物の方が都合がよいので・・・。とすると、申し訳ないのですが、3人に移動してもらえれば・・・という、訳なんです」
「そりゃまぁ、移動するのは構わないんだけど・・・・。でも、これも一応、お宅の隊員の一人なんだろう。いいのか?」
 マドカの問いに、ワカバが言うのには
「だから、近くの建物にいてもらいたいんですよ。それに、我々もお二人のガードのみをする訳にはいきませんので、出来れば、準隊員である彼にお願いしたいという事もあるんです」
 との事であった。
 確かに、いつまでも隊員でもないド素人に構っているわけにもいかないだろう(たとえ、保護の対象であったとしても)。でも、あれ?
「あの、私たちの他に保護した人っていないんですか?」
 ここに来てから、気になっていた事をミイコが聞いた。そういえば、自分達以外に保護された人たちの姿を見た事がない。
「あぁ、それなら、別に保護施設がありますから、そちらで生活してもらってます。お二方も、その方がよろしいでしょうか?」
「いえ、特にそういう訳では・・・・、ただ、どうしたのかと思っただけです」
 ワカバの言葉にミイコは、あわてて首を振った。
「そうですか。それで、どうでしょう。移動していただけますか?」
 マドカ・トシ・ミイコの三人が、顔を見合わせる。そして、
「分かりました。移動します」
 マドカが代表して答えた。それを聞いたワカバは
「よかった。助かります。ずっと、考えていたんですよ。昨日来た5人を別棟へとも思ったんですが連絡しにくいし、だからといって君達を隊員と同じ部屋へという訳にもいかないですし、第一、女性一人だけを別棟にというのも危険ですし・・・・。でも、良かった、これでみんな落ち着く事ができます」
 と、胸をなでおろす仕草をする。
「で、急で申し訳ないんですが、お昼前にでも移動していただけますか? 荷物があるようなら手伝いますよ」
 本当に急だな・・・・、と三人は思ったものの、大して荷物があるわけでもないので、食事が終ったら部屋を片付けて移動する事に決まった。
コメント
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