〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

JFK暗殺事件の真相――オズワルド単独犯行説の虚構を暴く 11

2018-02-02 | JFK暗殺事件について

 彼が陣取ったとされるこの「スナイパーズ・ネスト」での射撃位置にも疑念が尽きない。
 公式説のとおりに、このビルの角に位置する窓から直下のエルム通りを通り過ぎたリムジンを狙う場合、窓から見て右下方を遠ざかる目標を、かなり狙いづらい角度で照準する必要がある。






※上:ウォーレン報告書での証拠写真 中・下:映画「JFK」より


 この位置関係に加え、壁がすぐ背後にあることから、オズワルドは窓から距離を置くことができず、銃身を窓から突き出す形でしか大統領を狙うことができない。

 こうしたある程度遠方の狭い範囲にある目標を狙撃するには、わざわざ外部に銃身を晒す必要はなく、むしろ窓から離れて室内から狙撃することで、外部に狙撃者自身の姿を暴露することが避けられ、かつ発射ガス音が室内で減衰するので、屋外への消音効果を期待することができる。


※映画「スターリングラード(Enemy at the Gates)」より。「ゴルゴ13」の派手な絵空事くらいしか知らない銃の素人の日本人からすると、映画の内容もさることながら、登場人物が駆使する地味にリアルな狙撃技術の応酬が興味深い。


 特に、眼下に多くの群集がいるこの現場では、オズワルドは人々の耳目を避けるために尚更そうする必要があったと思われる。そしてそれは、上記のようにヒューストン通りに入ったリムジンを正面から狙う場合にだけ可能なのだ。
 後述するが、別の現場から狙撃を実行した真犯人はこの方法を採っていたのだと推測される。

 教科書倉庫ビルのこの下辺が床に近い特殊な窓であれば、彼がいたとされる6階の高さからであっても、窓から離れて室内奥から銃を構えることが可能だっただろう。
 だとすれば車列のシークレットサービスらの目を気にする必要はない。リムジンかメイン通りを右折し、速度を下げてヒューストン通りに入るその瞬間に、正面から狙いを合わせて構えてれば、狙撃は遥かに容易だったはずだ。

 では、オズワルドは以上のような考慮を巡らせる暇もなく射撃を急がざるをえなかったのか?
 公式説によればまったくそうではない。
 彼は人のいない六階フロアの一角に、丁寧に教科書の詰まった重い段ポールを壁のように積み上げ、念入りに「巣作り」をしていたからである。
 だとすれば、彼は射撃の好機を捉えるべく、現場に差し掛かるリムジンを余裕綽々で待ち受けていたと見るべきだろう。


※「スナイパーズ・ネスト」を上から捉えた写真。「教科書倉庫ビル」の名の通り教科書の詰まった段ボールが多数あり、オズワルドはこれを壁のように積み上げている。さらに、窓から右下方に構え依託射撃ができるよう段ボール3個を積んでいることに注目されたい。この証拠による限り、彼が当初から遠ざかるリムジンへの狙撃を企図していたことになる。しかし、そもそも標的を待ち構える時間的余裕のあった彼が、なぜわざわざ困難な射撃となるこの角度を事前に選んだのか。だとすれば、そこまで準備していた彼が、なぜ後述の第一の射撃で奇妙な立木越しの誤射を行ったのか。考えれば考えるほどつじつまが合わない。この「狙撃手の巣」の設定自体が偽装ではないかという疑惑は、きわめて正当だと感じられる。


 にもかかわらず、現場で車列を待ち構えていたはずのオズワルドは、あえて絶好のチャンスを見送り、街路の群集の存在にも構わず、体を外部の目に晒して銃身を窓から突き出し、難しい遠ざかる移動目標の狙撃を選んだとされている。

 そしてこの瞬間に、ジェット機の離陸時のエンジン音を越える160デシベルに達する銃声が、壁を隔てて減殺されることなく直接、教科書倉庫ビル近辺を襲うことになる。
 こう考えてみるとなおさら不可解なのは、先にアルトジェンズの写真で見たように、発射ガス音という意味での銃声は、オズワルドのいる窓の直下の観衆に明らかに聞こえてないという事実である。

 いうまでもなく、オズワルドの旧式の中古ライフルには消音装置など装着されてはいなかった。
 わずか二十数メートルの距離のむき出しの銃口からの発砲音が、なぜか観衆に届かなかった――これはまずあり得ない事態である。
 そのことが示すのは、教科書倉庫ビルからの射撃自体が「フェイク」だったのではないか、ということに他ならない。

コメントを投稿