10月下旬、大家さんから連絡があり、「水道メーター設置の工事をしたい」と言われました。
そして、11月上旬のある日曜日、大家さんが「スペシャリストだ」と言って連れてきたのは、20代半ばと思しき男性。どう見ても「近所の兄ちゃん」です。
水道メーターというと、日本では屋外に設置するのが一般的だと思いますが、その「スペシャリスト」はトイレの天井板の一部を外しました。
■トイレはこんな風に天井板が正方形に切り取られており、取り外しができます
その上(つまり上階との隙間)を通っている水道管に取り付けるということだったのですが、そんなところに取り付けた物を、いったい誰がどうやって検針するんでしょうか?メーターのデータが水道局のコンピューターに送られるとか?いやいや、大家さんが自ら買ってきたというメーターは、そんな精巧な電子機器ではありませんでした。だとしたら、1階と2階の隙間を誰かが這い回って検針するのか?そんなの、江戸川乱歩だけにしてほしいです。
それはともかく、工事が始まったので、自分はリビングに引っ込んでいたのですが、工事も終盤に差し掛かろうかという頃、水がボタボタボタッと床に叩きつける音とともに、砂がこぼれ落ちるような「ザザーッ」という音が聞こえてきました。しかも、1回ではなく何度か…。
何だ何だと見に行くと、こんなことに。
水浸しになった床を、大家さんがしゃがみこんで拭いています。
想像するに、メーター取り付けのため水道管の継ぎ目を外したところ、水が噴き出したといったところでしょう。元栓を締めるとかできなかったのか…。しかも、メーターまだ付いてないし…。
こうして、メーター設置だけでなく、天井修復工事まで行うことになり、結局その後3週間、5回にわたる工事を行ったのでした。「20~30分で終わるから」と言われたのに、まさかこんな長丁場なるとは…。
もちろん費用は大家さん負担ですが、大家さんには何度も「すみません」と言われました。自分のせいではないのに、本当にいい人なのです。
さて、天井修復工事のために大家さんが連れて来た「スペシャリスト」は、これまた「隣のおっちゃん」風情の中年男性でした。
■修復過程(穴を四角形に直した人と、その後完成させた人は、別の人でした)
大家さんの話では、腕のいい職人は皆ロシアやトルコ、イランに出稼ぎに行ってしまい、国内には一流の職人がいないのだとか。それで、連れてきた人たちも、「スペシャリスト」とはいっても、「多少の経験がある」くらいの人になってしまうのでしょう。
その後、トイレが故障した時に連れてきた「スペシャリスト」も、ペンチと金切りばさみを持ったフツーのおじさんでした。それこそ、「前に自宅トイレが壊れた時に自分で直した」だけのお父さんです。
家の修繕などは基本的に自分で行うのがトルクメン流のようですが、道路工事をしている人たちを見ても、「機械の使い方を知っている」程度の素人っぽい人たちが多いように思います。
そういえば、髪を切ってもらっている美容院の女性も、その店の先輩に教わったと話していました。徒弟制度のようです。ちなみに、その先輩はロシアで学んできたのだそうですが、美容学校に通ったのか、或いは同じように誰かから習ったのかは不明です。
日本には、高度な専門知識や技術を持った職人さんが大勢います。
そういう分野で日本がこの国に協力できることは山ほどあるんじゃないかなと考えさせられる出来事でした。