OSS技術者育成日記

デージーネットでオープンソース技術者を育成する時に私が考えたこと、大切にしていることを書いていきます。

辛い時、うまく行かない時にどうするのか?

2013-07-15 03:31:16 | 仕事のコツ

■はじめに


部下が、いろいろなトラブルやストレスから調子を崩しているのを見て、この記事を書こうと思ったのですが、なかなか書くことができず、ブログの更新自体がストップしてしまいました。そのため、ずいぶん久しぶりの記事になります。

どのように書こうか悩んでいる1月ほどのうちに、私にも幾つものトラブルや悲しいことが起きました。仕事上でも、理想通りに進まないことがあり、胸を痛めていました。私は、あまりストレスに強い方ではなく、そんな程度でも思い悩み、悪いことを想像して緊張から眠れない夜が続きました。そこに仲人をしてくれた大叔父がなくなりました。

そんな矢先、今度は突然、愛犬を亡くしました。7年前に動物愛護センターの成犬譲渡でもらってきた。メスのミニチュアシュナウザーです。つい先週まで元気だったのが、たった数日でした。

今回は、必要以上に重い話になってしまうかもしれませんが、そんな自分の体験も踏まえながら、辛い時やうまく行かない時に自分がどうしているのかということを分析してお伝えしようと思います。

■ ITエンジニアはストレスにさらされている


先日、「脳からストレスを消す技術」(サンマーク文庫)を読みました。この本には、セルトニンという脳内物質の働きとストレスの関係について、脳科学的な観点から解説がされていました。最初にこの本の目次を見た時に「離れるIT業界と集まる介護業界」という節が目に入り購入しました。節のタイトルからも分かるように、IT業界はストレスにさらされている業界ということです。

この本によれば、ストレスをうまくコントロールするためには、セルトニンという脳内物質の働きを活性化する必要があると最近の脳科学の研究で分かってきたそうです。セルトニンを活性化するためには、共感脳と呼ばれている部位の働きを活性化する必要があるということです。鬱の人の場合には、この共感脳の働きが悪くなっていることが多いというようなことが書かれていました。

共感脳を活性化するには、人との関わり合いや感情移入などが大切ということです。しかし、IT技術者は人との関わりを持つ時間が少なく、コンピュータに向かっている時間が長いために、共感脳を使う機会が少なくなってしまうということのようです。

実際のところコンピュータは、私たちの感情など慮ってはくれません。誤った命令でも、実直に実行して、エラーメッセージを出力したり、最悪の事態を引き起こしたりします。そんなコンピュータを日常的に扱っているIT技術者は、いつの間にか感情を押し殺し仕事をするようになって行きます。また、そういう雰囲気の中、コミュニケーションが下手な人も多く、上司や顧客に叱られることも多くなって…、とストレスがいっぱいの職場がほとんどなのではないかと思います。

そのためか、私の部下を見ていても、ちょっとしたきっかけで、仕事がうまく回らなくなり、なかなか回復することができないケースが多いように思います。このブログでも、何回かそうした場合の対処法を紹介しています。うまく行かない場合には自分の行動を分析したり、本来行うべきことを確実に行って行くのが良いと思います。しかし、実際にはそれはとても多くの理性のパワーを必要とします。上手く行かない状態が長引くと、理性がすり減ってしまい、もう自分ではどうすることもできなくなってしまう。そんな状態になっているように見えることがあります。

■ 今の状態を受け入れることから始めよう


先日、私は愛犬を亡くしました。乳癌だと分かり、2回に分けて手術をしたのですが、二回目の手術の抜糸が住む前に、呼吸がおかしくなり、獣医さんから「肺にも転移しているようだ」と告げられました。それからたった3日で容態が悪化して亡くなったのですが、亡くなる前の朝は散歩に行きたがるので抱いて近くの公園まで連れて行きました。愛犬を抱きながらいつもの散歩コースを歩いていたら、私は「こいつ、もう死んじゃうんだな。」と思いました。少しでも長く生きて欲しいとも思いましたが、私はこの時に愛犬の病気を受け入れ、死を迎える時のことも覚悟したのだと思います。

私の妻は、毎日時間をやり繰りして、何とか回復させようと一生懸命に獣医さんに通いました。ドックフードを食べなくなったので、流動食を作ったり、本当に一生懸命に世話をしてくれました。しかし、あまりにも突然に死が訪れました。彼女は、泣きくれて、しばらく自失状態になりました。

この時、私は死を受け入れる準備ができていたので、妻より早く立ち直ることができたのだと思います。世の中には、どんなに努力しても叶わないことはあります。それでも、私たちはその事実を受け入れるしかないのです。

■ 感情を押し殺さない


私も愛犬を失った時には号泣しました。嗚咽がこみ上げるのも構わず泣きました。子供の頃から泣き虫で、テレビドラマを見ただけでも泣けてしまう私ですが、この時は出来るだけ我慢をしないようにしました。もう「脳からストレスを消す技術」を読み終わっていたからです。この本には、涙を流すことの大切さが書かれていました。我慢をしてはいけないと思ったのです。それもあって、私は早く立ち直れたのだと思います。

先日、私の友人が話してくれたことも紹介したいと思います。彼女は、ここ2~3年の間に、お兄さんをはじめ、身内の人が次々と5人も亡くなるという大きな不幸に見舞われていました。そういえば、1年くらい前に、いつも明るく前向きな彼女が、「最近不幸が続いて..。でも、頑張らなくちゃね」と言っていたのを思い出します。その時の私は、彼女がそれほど落ち込んでいるようには思っておらず、今思うとちゃんと言葉をかけてあげられなかったなと思います。

先日、その彼女に、半年くらいぶりに会いました。彼女は、ずいぶん元気になっていました。「元気そうだね」と声をかけ話していたら、彼女がこんな話を聞かせてくれました。「私ね。身内を次々に5人も亡くして、それでも何とか乗り越えなきゃと思っていたの。でも、乗り越えるのは無理だって気がついたの。乗り越えなくていいんだって思えたら、それですっと気持ちが軽くなって...。」

彼女は、悲しい気持ちを押し殺して、頑張ろう、頑張ろうと自分に言い聞かせて来たのだと思います。でも辛かったんでしょうね。それが、頑張らなくていいんだと思って、やっと事実を受け入れることができたのだと思います。きっと、その時にたくさんの涙を流したに違いありません。

ちょっと重い話でしたが、感情を押し殺すというのは、あまり私たちの心に良い影響を与えないことは間違いがないようです。辛い時は、「辛い!」と言った方が良いのです。

こうしたことは、仕事で上手く行かなくて悩んでいるときも、まったく同じです。良く自己啓発本などにどん底から立ち直った人の話が書いてあったりしますが、どん底から回復した人がやっているのは、その時の自分の状態を認めることです。そして、そこまで来てやっと、誰かに相談したりすることができるようになります。私の部下の場合にも、どん底まで行ってしまってから相談に来る人が時々います。でも、わざわざどん底までいく必要はないのです。さっさと、自分の現状を受け入れて、辛ければ辛いと認めて泣いてしまいましょう。

■ 正直と誠実


とはいえ、私たちは、辛いことがあっても「辛い」「辛い」となかなか言えません。それは、感情をストレートに出してしまうと、周囲をネガティブにしたり、情けないない人だと思われてしまったりするのを恐れているからです。

では、どうしたら良いかというと、行動を誠実にすることです。「辛い」と口にして、その事実から目を背けたり、逃げてしまったりしたのでは「情けない人」そのものです。しかし、口では「辛い」と口にしても、「でも、仕方ないからやるか!」と向かっていけば、それは誠実な行動ですから、非難をされたりはしないはずです。

先日、7つの習慣の勉強会を行っている部下が教えてくれました。「正直」というのは感情に対して嘘を付かないことで、「誠実」というのは行動を表す言葉だということです。デージーネットの行動規範には、「私たちは、正直で誠実な行動をします」とあります。辛い時には、正直に感情を吐露しながらも、誠実な行動をするように心がけましょう。

■空をあおぐ


さて、「脳からストレスを消す技術」には、セルトニンという、ストレスをコントロールする物質を増やす方法も書かれていました。それによれば、セルトニンを分泌するには、陽の光が必要だということです。また、セルトニン神経を活性化するには、リズム運動が必要ということです。

陽の光に当たるとは言っても、直射日光の下に長い間いなければいけない訳ではありません。陽の光は、目から取り込むのだそうそうです。つまり、間接光で良いので陽の光を見るのが良いそうです。

リズム運動というのは、激しい運動をするのではなく、単に呼吸を整えることでも良いということです。手軽にできる方法としては、ウォーキング、ランニング、音楽を聞くこと、歌うこと、音楽に合わせて体を動かすことなどです。

このことを聞いて、私が思い出した事があります。私は、辛いことがあると、空を見て、ひたすら歩いているということです。青い空、夕焼け空、星空の事もあります。星空はともかく、青い空や夕焼け空を見ながら歩くというのは、このセルトニンを分泌するための方法として合っているようです。

みなさんは、会社に行くときに、下を向いて歩いていませんか?通勤の時間や昼休みの時間だけでも、毎日空を眺めながら歩いてみて下さい。そんな単純な事で、ストレスをコントロールすることができるようになるのです。ちなみに、セルトニンの分泌が減ってしまっている人は、二週間以上続けないと効果がないそうです。毎日、空を眺めましょう。

■ 終わりに


この記事は、途中まで書いて止まって、また1週間くらいして書き始めてと、実に2ヶ月近い時間が掛かって書き上げました。ちょっと、重い話題になってしまいました。これを書いていて、思い出した曲があります。海援隊の「贈る言葉」です。

悲しみ堪えてなげくよりも、涙枯れるまで泣く方がいい。
人は、悲しみが多いほど、人にはやさしくできるのだから。

辛いときは、現状を受け入れ、泣いてしまえば良いのです。そして、普段から空を仰いで歩きましょう。そこから、再スタートです。
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