OSS技術者育成日記

デージーネットでオープンソース技術者を育成する時に私が考えたこと、大切にしていることを書いていきます。

理想の追求

2012-11-29 22:59:10 | 技術者として
◼はじめに
今、私はベトナムを訪問しています。ベトナムでは、大学を卒業したばかりのIT人材に何人か会いました。そして、FPTというベトナム第二の企業を訪問してきました。
そこでの体験から感じたことを書きます。

◼FPTソフトウェア社を訪問して感じたこと
FPTは、ベトナムで2番目に大きな企業グループです。今回訪問したFPTソフトウェア社は、その中でも最も規模の大きな中核企業です。今回は、FPTソフトウェア社の副社長さんが対応してくれました。デージーネットのことをお話してから、先方の事業についてもいろいろ説明してもらえました。大企業にもかかわらず、私たちにもきちんと対応して頂きました。
途中、私たちのビジネスについて質問が出ました。先方の関心は、デージーネットがお客様からどのような形態で費用をもらっているかということでした。FPTソフトウェア社では、費用はすべて工数単価で提示して仕事をもらっているとうことです。私たちが工数単価ではなく、サービス価格を決めてビジネスをしているというところに関心を持ったようです。
FPTソフトウェア社は、いわゆるオフショアの仕事をしています。それも100%すべてということでした。彼らが、工数単価の仕事のやり方を変えたいと思っていることが強く伝わってきました。

◼何が違うのか
考えてみると、私たちと彼らの最大の違いは、利用するお客様に直接的に物を納めているかどうかだと思います。私たちは、技術サービスを提供していますが、お客様から見れば製品を購入するのとまったく変わりません。ですから、できるだけ製品と同じように扱えるようにしています。
したがって、求められる品質も製品と同じです。私たちは品質を常に優先して仕事をします。お客様からは、品質がいまひとつとか、デザインが悪いとか、いろいろなご指摘をいただくことも多いですが、そうした声を参考により品質を高めるように努力しています。

◼ベトナムの技術者
今回、大学のIT系の学部を卒業したばかりのベトナムの人たちと何人か話をしました。彼らに、「あなたの夢はなんですか?」と聞いたところ、主に二つの答えが返ってきました。
一つは、BSEになりたいという答えです。BSEというのは、狂牛病のことではなく、海外の企業とベトナムの技術者の橋渡しをするSE、つまりブリッジSEです。外国語を話し、技術もできなければなりません。しかし、BSEになれば、多くの技術者に指示を出すことができるマネージャーとして働くことができます。ベトナムでは、これが憧れの職業のようです。
もう一つの答えは、システム全体を作れる技術者になりたいというものです。こう答えた人の多くが、日本人に技術を教えてもらった経験をもっていました。これも、彼らの憧れる仕事のイメージです。これは、FPTソフトウェア社が行っているアウトソーシングの受注では、いまのところ実現できない仕事です。しかし、それをする事が彼らの夢なのです。

◼品質を追求するということは、理想を追求するということ
先ほどの話に戻りますが、品質を追求すれば、時には厳しい局面になることもあります。お客様に納品する直前に問題が発覚すれば、必死になって解決しなければなりません。しかし、それができたとしても、お客様は褒めてくれるわけではありません。日本人にとって、品質が一定以上になっているのは当然だからです。システム全体を作るためには、この品質の追求は避けて通ることのできないテーマです。だからこそ、私たちは褒めてもらうために仕事をするのではなく、自分たちの理想を実現するために仕事をする必要があります。
それは、それほど易しいことではありません。
理想を実現するためには、胸を張って誇れるように、全力で取り組む必要があるのです。

◼終わりに
私が最近とても強く感じるのは、理想を持って、きちんとした品質を実現するような仕事をしたいという日本人が減ってきているということです。みんな、とても理想が低いのです。努力は、できるだけしたくないないのです。中には、下請けの方が楽だからと戻ろうとする人もいます。また、派遣ではなく正社員で働きたいという人が、よく面接に来ます。しかし、ほとんどの人は、理想ではなく安定を求めています。

一方で、ベトナムでは、企業も人も、そこから抜け出そうと努力していると感じました。この状況が逆転するまで、長くはかからないのかもしれません。

私は、社会に貢献できる技術者を育てて行きたいと考えています。そのためには、きちんと理想を持って仕事ができる人を増やしていかなければならないのだと、今回の ベトナム訪問で痛感しました。










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