"突いた”のタイツ

オーディオ、ご本、お映画なんかのブログで~す。
やさし~く書くから、やさし~く読んでね♪突いたのお願い!

君は憶えているだろか?あの白いドロロンを?

2010年04月04日 12時01分54秒 | 日記
ドロンコーンって言っても最近は一般的じゃないから、若い人は知らないかもしれないわね。パッシブラジエターともいう。これはJBL社の言いかたで、中身は同じものなのよ。
日本語に直すと受動的放射器、なんてことになるのかしら。ドロンは怠け者って意味、コーンはトウモロコシではなくて円錐形なんだけども、ここではスピーカーの振動板を指している。つまり磁気回路の無い、振動板だけのスピーカーユニットなのよ。バスレフのダクトの代わりになるの。
磁気回路の無いスピーカーを何に使うのかといえば、自動車に例えれば、エンジンの無い車両だから、リアカーか、キャリーカーみたいなもんね。
余談だけれどもリアカー、キャリアーなんかを馬鹿にしては、いけなくってよ。今読んでいる三野正洋著の「続・日本軍の小失敗の研究」には、アメリカ軍の海兵隊にはリアカーが沢山配置されていて兵器や物資を前線で運ぶのに大変重宝していたのだとか。対して日本軍は大抵、兵士の背中に担いで運んでいた。なんと日本陸軍が行軍する時には、40~60キロの荷物を背中にしょって、一時間に5キロメートルのスピードで歩くことを強要されたとか。あたしはトレッキングとか、ハイキングも好きなんで時々山へ行くけれども、確かに平地であれば自分の体重位の荷を担いで移動することも不可能ではないけれども(尾瀬のボッカさんは100キロ以上の荷を担いでいた)山岳地帯ともなると、とても難しい。
精々20キロくらいかなあ?それでも体がフラフラしちゃうから、崖の所なんかはとても危険。しかも時速5キロといえば速足の部類だから、長時間の行軍は信じられないハードスケジュールだわ。登山でこんなスケジュールたてて遭難でもしたら立案者はただでは済まないわね。著者の三野正洋さんは皇軍がリアカーなんか押してたら、ルックスから土方に見られるから、プライドに掛けてそれは出来なかったのだとか。戦争はカッコつけてる状況じゃないと思うのだけれど。日本軍では戦死するよりも戦病死の方がずっと多かった。体力が行軍で消耗しちゃ、病気に罹って死ぬこともあるでしょう。なんと痛ましい。
キャンプ場なんかにリアカーが設置してあるところもあるわよね。駐車場とキャンプサイトが離れている場合にとてもあれは重宝するものなのよ。ローテクだからって馬鹿にするのは良くないわ。
やっと本題に戻って、ドロンなんだけれども、原理的にはバスレフと同じなのよ。つまり低音を増強してやる道具なのよね。バスレフはダクトの空気の塊がユニットの低音振動に共鳴して前後に振動する。ドロンのほうは振動板が共鳴する。まったく同じなんだけれども、性質は違うことも多いのよ。一つにはダクトは穴だからユニットの裏側の音がもろに外に出やすい。ドロンは一応、コーンという物質で遮っているから、ダクトほどは中高音が漏れてこないのでユニット前面の音に干渉しない、音がピュアというメリットがある。
低音の量感はどちらも振動板の面積に比例するから同じ様だけれど、振動共鳴周波数となると、大分違ってくるわね。ダクトだとF0を低くしようとすれば、ダクトの長さをを長くするか箱を大きくするか、どちらにしてもエンクロージャーが大型にならざるを得ない。
ところがドロンの方はコーンの重量を重くしてやればいいのよ。振動板が軽いな、Foが高いな、と思えば振動板に鉛でもなんでも付けて重くしてやればいい。調整が簡単ね。
薄型の振動板を使えば、箱もバスレフに比較して、とても小さくできる。
いいとこばっかり!って言いたいのだけれど、世の中そんなに甘くない。駆動力は結局、磁気回路を持つユニットに依存するわけだから磁気回路が弱ければ駆動力が小さければ、重いドロンをうまく動かせないわけだから、重くてドロドロした、聴くに堪えない低音になってしまう。
まあ何事も程度問題、やり過ぎは良くないって事なんだけれども、メリットを活かすアマチュアの自作は色々考えられるはね。大体ドロンが市販品から消えてしまったのはダクトのほうがコストが安いってことからなのよ。ダクトはいいところもあるんだれど、ドロンより全て優れてるわけではない(しつこいわね)次回は具体的な案を提示します。
                                   じゃあね!