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これだけ知っておけば十分!ダイレクト三々②

2021-07-27 13:55:58 | AI流解説

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

黒1のブツカリから3のサガリは、白4の単アテが好手で白生き。

初手は2の一の急所、黒1が正解、続いて黒3、5がよく見かける筋で白死となりました。

黒1か3か5で7のキリや、黒5で6のアテはすべてコウになり、失敗です。確かめてみてください。

白2のコスミツケにも注意が必要でしょう。一例ですが黒7まで白死とすることができます。


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

 

更新がめっちゃめちゃ遅くなって申し訳ありません。

 

前回に引き続き、今回も「ダイレクト三々」について解説していきます!

 

まずは前回書き忘れた変化を。

 

黒13ツグ(6)

二段バネ定石の途中で、白10とアテて黒13まで先手を取り、他の大場に回るという変化も以前はよく打たれていましたが、最近はほとんど打たれなくなりました。

 

前図でも黒悪くありませんが、黒2とアテて反発する手が発見されました。

白3のコウ取りにはコウダテがなくても、黒4などと他の大場に打ってOK。

白5で6とツグのは愚形になってしまうので、左下は白から手を出しにくいのです。

白Aとキっての大コウもとても無理です。

 

なので白5などとお付き合いする相場で、黒は6とコウを抜き返し、黒8まで黒が走っています。

この後白が3とコウを取ってきても、1回手抜きしたところなので黒Bとカケツいで黒△の二子を捨てるぐらいでよろしい。

 

この変化は黒が存分に打ちまわしているため、前々図白10のアテはほぼ打たれなくなりました。

 

ハメ手のにおいもする手ですが、ここで白6と切り込む手もあります。

しかし、この配石では白シチョウが悪い(後述)ので、うまくいかないようです。

黒2~16までのシチョウです。

このシチョウが白悪い場合、白1と切り込むのは好ましい結果が得られないようです。

 

白7とシチョウを避ける手はありますが、黒16まで二子を捨て石に左辺に展開され、黒良しです。

黒8で黒15、白8、黒14の簡明策を採るのも有力です。

 

では、白がシチョウ有利な場合を見ていきましょう。

実は白のシチョウが良くても、あまり…なようです。

 

この図が、白が1と切り込んだ時からの理想図です。

確かに白がよく見えますが、黒もそれほど悪くないので、簡明第一に打ちたい場合はこれもアリでしょう。

黒2以下は以前あった打ち方ですが、白良し。

 

黒7、9がいい手です。以下黒13まで、黒十分のワカレ。

 

手割りで考えると黒1、白2、黒3、白4、黒5、白8、黒11、白12までの後、白6と黒9の交換、黒7と白10の交換をしたということになります。

黒7もひどい悪手ですが、白6は黒をスッキリと生かしてしまったということでさらに罪が重く、黒良しということになります。

白5なら戦いになりますが、黒がやれる戦いです。

 

もうひとつ(書き忘れ多くね?)。

白4のハネに対し、黒11とハネずに5と切る手は無理手です。

白14まで、黒は何をやったか分かりません。

ただし、周囲に黒石が多い場合は成立するので、白4とハネる時は周囲の黒石をよく確認してください。

 

前回予告した通り、白1のケイマの変化を見ていきます。

白1に対し、まずは黒Aのブツカリから。

 

黒1~白6まで、一番自然な進行です。

一段落して、黒は7など他の大場に向かうことになります。

なお、この後左下の黒には白からの狙いがあり―――

機を見て、白1から3と切り込んでいく手段があります。

黒4と受けてくれば白7まで二段コウ、これは結構黒にとってやっかいです。

白3に抜き込まれたりしますと命すら危なくなります。

 

黒4でAと切ってくれば、白Bと切り返して黒△の二子を取ります。

部分的には白成功となりますが、黒に左辺へなだれ込まれるため、左辺の価値が高い場合この手段は使えません。

 

黒4、6と応じれば、コウにはなりません。

しかし、これだけでもかなりの屈服ですし、その上この後白にAとカケツがれたり、Bと抑えられると非常にやっかいです。

白Aのカケツギがくれば、その後白Bのオサエが先手になりますし、同じように白Bのオサエがくれば、白Aのカケツギが先手になります。

 

いずれにしても黒は窮屈な思いをすることになり、頭が痛いです。

 

 

いや~、それにしても変化が多いですね。

本当はこんな取扱説明書みたいな解説をするのではなく、ほんのいくつかの変化を取り上げるだけのつもりだったのですが、どれが重要でどれが重要ではないかの見極めが難しく、結局このような取扱説明書になってしまいました。

そのためタイトル詐欺になっております。すみませぬ

 

一気に書いてカタをつける(?)のは無理だと悟ったので、このダイレクト三々解説シリーズも「妙手紹介シリーズ」と同じように連載(?)という形にさせてください

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。ダイレクトに決めます。

 

※見出し画像は単なる欲望です。

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これだけ知っておけば十分!ダイレクト三々①

2021-06-29 17:08:21 | AI流解説

 

<詰碁解答コーナー>

問題図(再掲)

黒1ホウリコむ(4)

黒1のホウリコミは正解ですが、黒3のアテは凡手でした。白4とツがれ―――

抜き跡に白6とオかれ、黒有利な二段コウになっては失敗です。

黒1ホウリコむ(4)

黒3ともう一発ホウリコむのが手筋。白4でAと黒一子を取ってきたら、黒AかBに打てば生きです。なので白は4とツいできますが、黒5が仕上げの一手で、オイオトシで黒生きです。黒5でうっかりBと白四子を取ってしまうと、前図に戻ってしまうのでご注意ください。

 

なお、問題図ではAの地点にあった黒石を△に移動させても、ほぼ同じ筋の詰碁になります。

黒1ホウリコむ(4)

黒5まで、出来上がり図はまったく一緒ですね。


 

皆さんこんにちは、tsumebloです。

更新が遅くなり申し訳ありません。

 

今回から数回に分けて、「大流行している」と書くのもしっくりこないぐらい流行っている「ダイレクト三々」について、tsumebloが「これだけ知っていれば十分だろう!」と考える範囲の変化を紹介していきます。

 

「ダイレクト三々」とはどんな手かというと―――

ご存知黒△の三々入りです。

アルファ碁の一種「マスター」が打ち始め、その後研究が重ねられ、今や大ブームです。

それにしても「ダイレクト三々」とは誰が名付けたのか不明ですが、すっかり定着しましたね。

 

では、ダイレクトではない三々とはどんな手かというと―――

たとえばこのような配石で、白△と三々に入る手は、AI登場前から「常識的な着手だ」と考えられていました。

黒が▢と両辺に構えているのがミソです。

 

黒1からオサエると、以下は基本定石で黒11まで一段落ですが、黒△の位置が非常に悪いですね。

黒▢もやや効率の悪い位置にあります。

黒1とこちらからオサエても、黒△の位置が非常に悪く、黒▢の位置もやや悪いですね。

白1やAのカカリはこの場合窮屈です。

悪いとまでは言えませんが。

 

という理由で、このような特殊な状況ならば、三々入りは「有力」と考えられていました。

ところが、最近は配石などあまり気にせず、ズカズカと三々に入る「ダイレクト三々」が「有力」と考えられるようになりました。なぜでしょうか。

 

黒1と三々に入れば、必ず白12までとなるものだと考えられて―――、いや、思い込まれてきました。

確かにこの「定石」は、黒地は10目もないのに、白の厚みが強大です。

さすがのAIもこの変化は「問題なく白良し」の判定でした。

前述のような特殊な配石でなければ、この定石は使えません。

 

黒9と一本多くハイ、黒11とワリ打つ、いえ、ハサむ―――。

壁攻め狙いです。

この手が発見されたため、「ダイレクト三々」は市民権を得ました。

 

これを食らってはすでに白がまずく、白6のノビは「悪手」だと考えられています。

なぜこれで白がまずいのかは後述しますが―――

 

まだ「ダイレクト三々」の研究があまり進んでいなかった頃は、前図黒9のハイを打たず、たとえば黒1など他の大場に打つ手がよく打たれていました。

しかし、白2とオサエる手が発見されてからは打たれなくなりました。

白2のオサエが来れば、黒3、5のハネツギは欠かせません(黒3を手抜くと、逆に白3のサガリで黒死です。詳しくは基本死活の本をご参照ください)。

以下白6のカケツギまで、必然の進行です。

 

これは前々図の「定石」に、白2のオサエが余計にある形ですね。

白2のオサエは小さいのですが、そのマイナス以上に白の厚みが強大で、この変化は白良しです。

 

という理由で、前図黒9のハイはすぐに打たねばなりません。

 

前々図の続きです。

黒1の「ハサミ」に対し、白は2などと反撃しないと仕方ありませんが、ここで黒3のノゾキが大切な一手です。

黒はこの手を打つために1の位置にハサんだのです。

 

白4のツギはやむを得ませんが、黒5のトビまで、左下の白一団は働きのない石になってしまい、すでに黒優勢です。

この後、白Aのサガリには黒Bと受けるぐらいでも腹は立ちません。

 

この図は「ダイレクト三々」の研究が全然進んでいない頃に見られましたが、最近はまったくと言っていいほど打たれません。

白はこの図だけは避けなければなりません。

 

白1、3の二段バネは、AI発達以前からあった有力な手です。

白9まで、簡明にして互角です。

 

この後黒Aと押す手が非常に大きく、すぐ打ってもよさそうです。

白から打つ場合は白Aのマゲはもちろん、Bのケイマも有力です。

 

白1とケイマにハズす手も有力です。

これに対する黒の応手はAのブツカリ、Bのツケの2通りです。

次回はこのケイマについて解説していく予定です!

 

<詰碁出題コーナー>

黒先です。ありふれた筋で、少し易しいかもしれません。

 

※見出し画像は単なる欲望です。

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