
・JR福井駅(左)と新幹線高架(中)およびえちぜん鉄道福井駅(右)(2009年3月)
北陸新幹線との関連で高架化が予定されていたえちぜん鉄道だが、昨年末に北陸新幹線の敦賀までの着工方針が決まったことにより、計画が変更されたそうである。
えち鉄、駅乗り入れで専用高架 県、新幹線と並行整備案(福井新聞、2012年2月15日)
このブログでも過去に何度か取り上げているが、これまでは、北陸新幹線が福井まで開業し、次いで敦賀まで開業する、という想定を考慮して、2007年には以下のような高架化・乗り入れ案が計画されていた。
1. えち鉄が新幹線開業まで新幹線高架を使う
2. 新幹線の福井までの開業後は、えち鉄と新幹線で新幹線高架を共有する(それぞれ単線)
3. 新幹線の敦賀までの開業後は、えち鉄(単線)が在来線高架に乗り入れする形にする
しかし、北陸新幹線の着工が敦賀まで認可・着工される方針を政府が決定しており、上記のような手順を組めなくなった。また、新幹線開業後も在来線特急は引き続き運行されるとのことで、新幹線高架→在来線高架への乗り換え工事も困難になったとのこと。そのため、当初の計画にはなかったが
・新幹線福井駅の東隣(現在、えち鉄が通っている地上線の辺り)にえち鉄専用の新たな高架を造る(福井口~福井間)
という案が県で示され、県議会で議論されるとのこと。これより先、2/10には福井市から県へえち鉄の早期の高架化を求める要望があったという。
これまでの案では、新幹線高架→在来線高架への乗り換え時に高架の一部分を改造する必要があったり、在来線乗り入れ後は福井駅北側で在来線が一部単線になるという問題もあった。新しい高架を造る案で、こうしたえち鉄の高架化問題は一応決着がつくことになりそうである。(ただ結果としては、当初の3階建て新幹線駅の案(2階えち鉄・3階新幹線)のほうがいくつも高架を造らずに済んだかもしれないが…。)
一方で疑問も残る。新たな高架を造る費用がどれほどか、着工時にえち鉄の現路線の運行に支障ないか、といったことももちろんあるが、三国芦原線の扱いも気になる。これまでの案では高架化しても1路線しか余裕がないため
・勝山永平寺線のみ高架で乗り入れ
・三国芦原線は福井鉄道の軌道経由で福井駅西口に乗り入れる(その為に超低床車両を導入する)
というものであった。ただ、今回の新高架建設案では、場合によっては2路線乗り入れる余裕ができる可能性もあり、その場合は三国芦原線の西口乗り入れが必須でなくなる。(勝山線・三国線相互の乗り換えを考慮すると、現状の路線形態のまま高架化するほうが便利であると思われるし、個人としてはできればそのような高架化を望みたい。)
仮にえち鉄の西口乗り入れがなくとも、福鉄とえち鉄の相互乗り入れは別物として扱うべきだが、えち鉄三国芦原線のLRT化(ここでは超低床車両を導入し、駅施設も合わせるという意味?)の前提は崩れることになるのではないだろうか?
もし三国芦原線のLRT化が不要となる場合でも、えち鉄・福鉄の相互乗り入れは両路線とその沿線の活性化の新たなきっかけになると思われるので、実現してもらいたい。ただし、例えば
・えち鉄に小型車両・超低床車両用の乗り場をつくりえち鉄乗り場とスロープで結ぶ(小型車両・超低床車両は福鉄専用で保有するか、えち鉄でも乗り入れ用に保有する)
あるいは
・福鉄でえち鉄乗り入れ用に大型車両を引き続いて保有する(今回の新型超低床車両導入で大型車両を廃車しないか、別の中古車両を確保する、など)
などの対策は必要となるだろう。えち鉄の新高架化案がどのようになるかによるが、えち鉄の新幹線高架乗り入れ問題とえち鉄三国芦原線のLRT化、(そして本来は別個の課題である)えち鉄・福鉄の相互乗り入れが関係している以上、それらの計画も見直してみる必要はあると感じている。
つづく
北陸新幹線との関連で高架化が予定されていたえちぜん鉄道だが、昨年末に北陸新幹線の敦賀までの着工方針が決まったことにより、計画が変更されたそうである。
えち鉄、駅乗り入れで専用高架 県、新幹線と並行整備案(福井新聞、2012年2月15日)
このブログでも過去に何度か取り上げているが、これまでは、北陸新幹線が福井まで開業し、次いで敦賀まで開業する、という想定を考慮して、2007年には以下のような高架化・乗り入れ案が計画されていた。
1. えち鉄が新幹線開業まで新幹線高架を使う
2. 新幹線の福井までの開業後は、えち鉄と新幹線で新幹線高架を共有する(それぞれ単線)
3. 新幹線の敦賀までの開業後は、えち鉄(単線)が在来線高架に乗り入れする形にする
しかし、北陸新幹線の着工が敦賀まで認可・着工される方針を政府が決定しており、上記のような手順を組めなくなった。また、新幹線開業後も在来線特急は引き続き運行されるとのことで、新幹線高架→在来線高架への乗り換え工事も困難になったとのこと。そのため、当初の計画にはなかったが
・新幹線福井駅の東隣(現在、えち鉄が通っている地上線の辺り)にえち鉄専用の新たな高架を造る(福井口~福井間)
という案が県で示され、県議会で議論されるとのこと。これより先、2/10には福井市から県へえち鉄の早期の高架化を求める要望があったという。
これまでの案では、新幹線高架→在来線高架への乗り換え時に高架の一部分を改造する必要があったり、在来線乗り入れ後は福井駅北側で在来線が一部単線になるという問題もあった。新しい高架を造る案で、こうしたえち鉄の高架化問題は一応決着がつくことになりそうである。(ただ結果としては、当初の3階建て新幹線駅の案(2階えち鉄・3階新幹線)のほうがいくつも高架を造らずに済んだかもしれないが…。)
一方で疑問も残る。新たな高架を造る費用がどれほどか、着工時にえち鉄の現路線の運行に支障ないか、といったことももちろんあるが、三国芦原線の扱いも気になる。これまでの案では高架化しても1路線しか余裕がないため
・勝山永平寺線のみ高架で乗り入れ
・三国芦原線は福井鉄道の軌道経由で福井駅西口に乗り入れる(その為に超低床車両を導入する)
というものであった。ただ、今回の新高架建設案では、場合によっては2路線乗り入れる余裕ができる可能性もあり、その場合は三国芦原線の西口乗り入れが必須でなくなる。(勝山線・三国線相互の乗り換えを考慮すると、現状の路線形態のまま高架化するほうが便利であると思われるし、個人としてはできればそのような高架化を望みたい。)
仮にえち鉄の西口乗り入れがなくとも、福鉄とえち鉄の相互乗り入れは別物として扱うべきだが、えち鉄三国芦原線のLRT化(ここでは超低床車両を導入し、駅施設も合わせるという意味?)の前提は崩れることになるのではないだろうか?
もし三国芦原線のLRT化が不要となる場合でも、えち鉄・福鉄の相互乗り入れは両路線とその沿線の活性化の新たなきっかけになると思われるので、実現してもらいたい。ただし、例えば
・えち鉄に小型車両・超低床車両用の乗り場をつくりえち鉄乗り場とスロープで結ぶ(小型車両・超低床車両は福鉄専用で保有するか、えち鉄でも乗り入れ用に保有する)
あるいは
・福鉄でえち鉄乗り入れ用に大型車両を引き続いて保有する(今回の新型超低床車両導入で大型車両を廃車しないか、別の中古車両を確保する、など)
などの対策は必要となるだろう。えち鉄の新高架化案がどのようになるかによるが、えち鉄の新幹線高架乗り入れ問題とえち鉄三国芦原線のLRT化、(そして本来は別個の課題である)えち鉄・福鉄の相互乗り入れが関係している以上、それらの計画も見直してみる必要はあると感じている。
つづく
しかも、数十年後には日本の人口が半分になるという世界でも例を見ない少子高齢化社会が到来する。えちぜん鉄道の乗客って激減しませんかね?
加えて、新幹線がくるとJRが三セク化して、JRの高架も電車が全然走らなくなるんですよ
ただでさえ、1時間に数本かつ1両編成だらけのえちぜん鉄道が高架を走る意味ってあるんですかね?
数十年後には、電車の走らない二つの高架を見た後世の福井市民が思うでしょうね・・・、なんでこんなあほなことをしたのかと
コメントありがとうございます。
福井市民さんに比べ非常に多くの点で認識不足があるかと思いますが…。
えちぜん鉄道の高架化の目的に関しては、踏切をなくすことでの東西交通の円滑化、ということぐらいしか考えが浮かびません。このままでも十分という人もいますし、私自身もえち鉄高架化に関しては無理をしてまで行う必要性をそれほど感じてはいません。
人口減少と三セク化のお話ですが、例えば早い段階(新幹線開業の前後)に、JR幹線(貨物線として残す)以外の鉄道線は全廃し、必要な所のみバス路線化する、とする方が良い、ということでしょうか?ある意味では、そのほうが地元負担が軽減されるかもしれませんが。(あくまでそのような考え方もあることを例示しただけです。私自身が福鉄・えち鉄の全廃を望んでいるわけではありません。)
それとコンクリートの塊は必要最低限にするべきで、福井の一等地であればなおされです。キャパシティ以上のコンクリート構造物は景観を阻害すると思います。少子高齢化時代が到来するのであればなおさらです。
高架は効率を最優先する20世紀型の工業社会では正解でしょうが、幸福を追求する21世紀型知識情報化社会ではどうかなと思います。
音もなく福井のまちが退廃する方向に進んでいるように思えてしょうがありません。
引き続きのコメント、拝見いたしました。
文字ではなかなか伝わりきらない部分もありますので、前回のコメント内容について少々誤解しておりました。
コンクリート構造物を最小限に、との部分は私も同意見です。将来の少子化を考えて、ということではないですが、結果として、予定よりも平面上で多くの面積を高架橋が占めることになるのは、米原のような交通の結節点としてならともかくも、県都の中心部としてはどうなのか?と感じています。
今後ますますの少子高齢化の進行と、それにともなう交通とまちのあり方についても、この件に関わらず、考えていくべき課題ではありますね。(これに関しては、ここでこれ以上の言及は行いません。別の話になってしまいますので。)
景観も高架を気にするほど福井は重視してますか?
ほとんどの県庁所在地クラスの地方都市で高架事業を行ってる現状でまったく不思議でありますわ
・高齢化→交通弱者に対する公共交通の確保
・少子化→利用者減による公共交通の整理・統廃合
の二つの点で意見が対立しているようです。私は高齢化の面から考えたことはありますが、最近の北陸新幹線開業に伴う並行在来線の第三セクター化に関連して、少子化についての問題も上がっているようです。
高架化に関しては、「景観」という点で2階建てのまま高架を平面上に広げる新案を批判したわけではなく、高架化するのであれば元々の3階建て案でできなかったのかという点について疑問に思ったまでです。(2つ上のコメントが明らかに景観に言及したように誤解を与えてしまいました。申し訳ございません。)高架化についての恩恵は、私の住んでいる旭川でもJR線の高架化により市内の交通が大幅に改善されていることを存じています。
えちぜん鉄道の高架化も、先のコメントでは「無理にする必要はない」と言いましたが、観音町商店街の踏切閉鎖の問題があることを失念しておりました。よって、早急に高架化か踏切新設のいずれかで解決すべき問題であると思っています。
ただ、「少子化」と「高齢化」の意見対立が、えち鉄高架化の是非あるいは県内交通の将来に関わるとのことであれば、それはここで問答を繰り返して結論を出そうとするよりも、行政など然るべき所へ意見を出す、あるいは新聞投書などより広く意見を求められる・閲覧できる場に出すのが良いのではないでしょうか?
※ 最後に、繰り返すようで申し訳ございませんが、あくまで私は交通の専門家でも、行政の担当者でも、いわゆる「プロ市民」と言われるような、市民団体などに属する者でもございません。
よって当ブログで取り上げる個々の問題につきましては、私自身の考えを入れるとしても、あくまでそのまま行政等へ提言できるような「結論」ではない(単にメモ程度のものである)ことを念頭に置いていただければと存じます。