首都ではないけれども、人口では二位を大きく引き離して断然一位の都市、スイスにおけるチューリッヒは、そういう主要都市です。その中央駅(Zürich HB)は、文字通り、市の真ん中あたりにあって、スイス最大の鉄道ターミナルでもあり、最大の乗降客数を誇る、大きな駅です。
この都市は、市内交通のうち、Sバーン(日本の国電のようなもの)やそれ以上の鉄道交通を除いて、純然たる市内交通機関であるバス、トロリーバス、トラムの3つで輸送量を比較すると、3分の2ぐらいをトラムが占めるのだそうです。最大の都市にもかかわらず、チューリッヒに地下鉄はありません。
トラム路線の多くが、中央駅を経由しています。中央駅を起終点とする系統はなく、ここが南北や東西を結ぶ各路線の中間地点になっています。中央駅はトラム同士の乗換駅としても、チューリッヒ最大ではないでしょうか。そういう場所なので、駅前に立っていれば、続々とトラムがやってくるのを眺められます。
スイスでは大都市ですし、立派なビルが立ち並ぶ国際金融都市でもありますが、どことなくゆとりもあって、のんびりもしています。
良く言われるように、スイスは人口密度の割に公共交通機関が発達しており、利用率も高いです。確かに車もバンバン走っているのですが、それでも日本の地方の政令指定都市程度の規模ですから、もっと車依存が進んでいてもおかしくありません。国民の環境意識が高いという説明もありますが、所詮は同じ人間。それだけの理由で、便利で楽な車を手放す人がそんなに沢山いるとも思えません。運賃だって安いわけではありません。
訪れたのは、夏の終わりの爽やかな気持ち良い日でした。車輌がこれまた、どことなく味があって、街並みにいい感じで溶け込んでいます。そういう良い日に短時間訪問しただけなので、良い所しか見えていないとは思いますが、こんな街で生活してみたい、そう思わせるいい街でした。
(Zurich, Switzerland/Schweiz. August, 2002)