東洋はり医学会 大阪支部

(一社)東洋はり医学会は60年、大阪支部も50年以上、経絡治療はり専門臨床家の学術を支えてきた勉強会・講習会の団体です。

2月17日支部会の感想 其の2 東洋はり医学会大阪支部

2019年03月09日 01時23分44秒 | 支部会感想
2月17日支部会の感想 其の2 東洋はり医学会大阪支部

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事業報告・3分間スピーチ
基礎講義 わかりやすい経絡治療.24 第18章「治療法則」
支部年間研究テーマ、「刺鍼と脉状変化の検証 其の5 瀉法の脉状変化」

午後1時00分より  
実技 基礎班、研修班合同「経絡治療の実際」基礎班主体
指導講座 高等部「補助療法 奇経治療・子午治療・刺絡治療」実技

 実技纏め・質問、臨床質問、本部会音声を聞いて
    午後5時 終講
   

感想 其の2の1
実技(基礎班):経絡治療の実際

一つ目
 今回は、経絡治療の実際として、担当講師指導の元、模擬患者に対して四診から治療までの一連の流れを体験させて頂きました。
 今回の主訴は、右手薬指のバネ指及び左肘内側の痛みでした。
 先ずは問診から進めていきますと、睡眠では早朝覚醒、二便では大便が平素より柔らかめ、五味は塩気を欲する等の情報を得ました。
これに、主訴部の経絡流注、右手中指は心包経、左肘内側は心経。
これらから病証の経絡弁別をしようとした所、講師の先生から「左肘の病症部をよく確認する旨」の助言を頂きました。
 これは、痛みが皮膚に波及していれば肺経の変動。
肘を動かし筋(スジ)に痛みが現れるようであれば肝経の変動。
脈動するような痛みであれば心経の変動。
肌肉の痛みであれば脾経の変動。
痛みが骨或いは骨に近い深部であれば腎経の変動と見做すとの事で、相手に色々聞いてみると、病症部位は肘内側深部の筋(スジ)でしたので、腎経か肝経の病症を疑いました。
 最後に切診として切経、腹診、脈診を行うと、腹診では小腹部腎の診所が最も凹んでいて、次いで大腹部肺の診所が虚しており、六部定位比較脉診では左手尺中が沈めて最も虚、続いて左手寸口沈めて虚。
右手寸口沈めて最も実。
これらの所見から肝虚肺実と証を立て、適応側は主訴が左右にばらつきが有り、男性であるので、左としました。
(左肘内側は新病、右手薬指のバネ指は、久病。)
 治療(本治法)は難経六十九難の治療法則を基に、「虚する時は其の母を補う」に従い、肝の母、即ち、五行穴に於ける木経の母穴である合水穴(左曲泉穴)に銀鍼を用いて補法を行い、次いで腎経の合水穴(左陰谷穴)に同様の補法を行った所、左手尺中腎の脈も少しでたように感じました。
只、先輩方や講師の先生によると、脾経にも問題があるとの事でしたので、副証として脾を補う事とし、先ずは心包経の右大陵穴(兪土原)に補法を行い、次いで脾経の右太白穴(兪土原)にも同様に補法を行った所、脈状が全体的に和緩を得たように感じました。
只、陽分を診ると左手寸口(小腸)の脈に邪実を感じましたので、小腸経の絡穴に瀉法をしようと思いましたが、講師の先生より、陽経でも、瀉法を行う前には、虚を認めたのなら補法を先にする様にと助言を頂きました。そこで、陽経の比較脉を行いましたが、陽分の虚は中々判りにくい旨、申し上げると、実している小腸経の相剋関係にある経絡を診るようにと助言頂けましたので、左手寸口(小腸)の脈と右手寸口(大腸)の脈と左手尺中(膀胱)の脈を其々比較した所、左手尺中の脈の方が虚しているように感じましたので、膀胱経の原穴(京門穴)に補法を行いました。
その上で小腸経の支正にステンレス鍼を用いて瀉法を行いましたが、やり方が未熟な為に気を漏らしたらしく、脈が硬くなり、また数脈になってしまいました。
そこで先輩の先生より三焦経を補う旨の助言を頂きましたので、右手四瀆穴が陥下していたので、その部に補法を行いました。
これにより、脈状が少し落ち着いたように感じました。

二つ目
模擬患者になりました。
わかってはいても、する方、される方、どちらも長い時間は大変ですね。


感想 其の2の2
指導講座 高等部「補助療法 奇経治療・子午治療・刺絡治療」実技
一つ目
本治法はこれで終了し、続いて補助療法として子午治療に移りましたが、なんだか、もう頭が殆ど停止したのかよく判らなくなりました。
それからの事は、他の先生が金の三十番鍼を用いて治療されていましたが、よく覚えていないのです。すみません。

二つ目
子午療法
主訴、左肘内側の痛み(心経)…胆心で、
右胆経・光明穴を使い金の三十番にて子午療法をする。
(子午療法における)光明穴の反応、金の三十番を使った刺鍼、良い経験に成りました。

三つ目
模擬患者でした、終わると長い1日だったと思うのでした。


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次回、大阪支部会は、平成31年 2019年
3月17日 第3日曜日 エル大阪608号室 
治験研究発表・霊枢九鍼十二原編


東洋はり医学会 趣意書

 文化の進展は瞬時の猶予をも許さず、今や鍼灸術も世界の医学界に登場するところとなった。
 翻って国内においては、これが科学化の掛け声と共に種々な研究が進められてはいるが、その大勢は鍼灸の臨床における諸現象を現代医学によって解明せんとするものの如くである。即ち、経穴を刺激の部位となし経絡はほとんど顧りみない状態であるが、かくては数千年の伝統を誇る東洋医学の真髄を学ぶことは全く至難となる。
 病体を気血の変動とし、その病変を経絡の虚実として統一的に把握し経穴を診断と治療の場として補瀉調整する経絡治療こそ鍼灸術本来の正道である。しかして、この学理と術技を体得せしめて、真に病苦除去の実力ある鍼灸人を育成することこそ、その科学化に優先すべき必須要件であるが、不幸にしてこれを誤る時は、その鍼灸術、すなわち我が祖先の偉大な文化遺産を後世に伝承することは全く不可能となる。
 ここにおいて、我々志を同じうする者、相図って東洋はり医学会を結成し別紙綱領の完遂を期す。
 以上の主旨を諒とせられる同志は、来って本会に投ぜられんことを広く業界の諸君に訴える次第である。

綱  領
1.我々は臨床を通して古典を再検討し、病体を通じて経絡経穴を把握し、以て伝統的な鍼灸術の本道を体得せんことを期す。

1.我々は正しい経絡治療の学理と術技を修得することによって、鍼灸人としての人格と実力を涵養し、以て鍼灸家の社会的地位を確立せんことを期す。

1.我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し、経絡経穴の普及啓蒙に努め、以て偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことを期す。






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