道東を発見する旅 第3の人生

背広で通勤、白衣で勤務、洗脳そして

背広で通勤

毎朝、電車が混むのは嫌なので、朝早く出かけることにしているのだが、随分肌寒くなってきた。先週くらいから、背広を着て電車に乗っている。電車の中では、女性が寒くなるのを待ってましたとばかり、カラフルなセーターや上着、スカーフ、マフラーなどで、オシャレに着こなしている。

本当は、自分も上から下まで服を買いそろえて私服で通勤したい。だけど背広を着て出かけるのに慣れると、何を着るか、全く考えずに済むので本当に楽だ。それとコーディネートにはお金がかかる。

背広を着て電車に乗ると、サラリーマン一色の世界に自分も入れて貰ったようで嬉しい。

実は、毎朝、背広を着て通勤するのは、自分の人生で初めての経験だ。これまでずっと私服で通してきたのだ。だから、還暦を過ぎて初めて世間並みになったのだ。

白衣で勤務

病院から、白衣はケーシー型の半袖の上着、ズボン、それと背広の上着型ジャケットの3点セットが支給されている。女性はワンピースのスカートも選べるようになっている。

特徴的なのは、職種により色分けされていることだ。医者が白、看護師はピンクか白、薬剤師さんや技師さん達はブルー、病棟や外来のヘルパーさん達は黄緑と、制服を見れば職種が分かるようになっている。

その結果、自分が白衣姿で病院の廊下を歩いていると、よっぽど偉い先生に見えるのか、通りすがりの外来患者さんからよくお辞儀をされてしまう。

白衣を着るなんて

実は、背広通勤と同じで、自分がケーシーと呼ばれる襟が丸くなった白衣を着るのは生まれて初めてなのだ。白衣のズボンをはくのも初めてである。早い話が白衣という制服を1日着用して勤務するのも、生まれて初めてである。

20年近く勤務したのが大学だったので、ほとんど私服で通してきた。どうしても白衣を着なければならないときだけカッターシャツの上から白衣を着た。ネクタイを締めるのも、職員全体に講義するときや、行政による監査があるときだけだったので、年に数回ネクタイをしめ白衣を着て、それらしく見せていただけである。

普段白衣を着るとすれば、寒いから、とか実験で汚れたら困るときとかに限られていた。どちらかと言えば、白衣を着るなんて自分の沽券にかかわるというような姿勢であった。

私服で通してきた理由

自由な服装で通してきた理由は、海外での研究生活にさかのぼる。アメリカでもフランスでも背広を着ているのは、唯一所長とか一番トップの人だけであった。日本に戻ってからでも、大学で基礎研究者が背広を着ているのは、ほんの一部であった。

だから、自分の生き方が反映されるような気がして、ことさら私服にこだわったのかもしれない。それは自分だけではなかったと思う。大学では、大学の方針に対して自分の信念を貫くために、私服にこだわっている人が結構いたようだ。

今の病院

今の病院に就職してから、病院の方針に従わざると得ないので、白衣を着ているのだが、やってみると、これが実に楽である。電車の中では背広、病院では白衣という格好をするだけで、その世界に同化して一員になってしまい、実に居心地良く時間を過ごすことが出来る。

結局、何も考えずに着替えるだけで、その世界にとけ込むことができてしまうのがいい。

背広、白衣、毎朝の朝礼の日々を続けていると、同質の世界一色の中で自分も溶け込んでいて本当に気楽である。これを世間では洗脳というのかもしれない。

橋下市長のこと

昨日から橋下市長の週刊朝日に対する対応拒否が問題になっている。その背景に、差別問題が隠れているようだ。

自分もオープンにしたくない、してほしくない部分はあるのだが、同質の社会においては、その小さな違いをことさらに強調して相手より優位に立とうとする人がいるし、今回の雑誌も売り切れ続出らしい。そこに、人間の悲しい本性が見え隠れする。

この病院でも、居心地がよくなった分だけ、だんだんとそんな面がみえてくるようになった。それでも所詮、人間の考えること、することなので底が浅く、すぐ明らかになってしまう。

神はどこにいるのか

昨日の朝礼では懇意にしている小児科の先生が、「神様はどこにいるのか、誰も姿を見たことはないじゃないか?」という質問に対して、「目を開けてよく見てごらん、大自然はあまりにも厳しく美しい、今見ているこの大自然の造形者がいてもおかしくないと思わないか」というメッセージを発信していた。

今朝、電車の窓から見えた赤く色づき始めた木々の葉っぱを見ていると、人間社会の小さなしがらみを超越できるような気分になれることを実感した。

今日は金曜日です。みなさん、週末はだんだんと深まりつつある秋のひと時を味わいましょう。
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