記憶力が良くないので、観た映画の内容は片っ端から忘れていく。十年以上も前に観たものなんて、設定すら覚えちゃいない。しかし、さすがに『転校生』は記憶に残っていた。思春期の男女の心が入れ替わる、という斬新かつ素晴らしい発想はそうそう忘れるもんじゃないからね。ただ、情けないことに結末は覚えていない。いや、おぼろげには覚えているけど、いまひとつ鮮明ではないのだ。えっと、原作同様「二人は元通り自分の身体を取り戻して大団円」だったよね?
そんな状態で、『転校生』のリメイクである『転校生 さよならあなた』を観たものだから、後半の展開には面食らった。なんで難病モノ? しかも、そのまま死んじゃうの? な〜んの救いもないじゃん。イヤな後味が残るだけ。オリジナルもこんな風だったっけ? いや、さすがに違うよなぁ(だよね?)。
もともと序盤から面白いとは言い難い。心が入れ替わってからの二人は「やたらナヨナヨした男(中身は女)」と「ガサツな女(中身は男)」というキャラになるのだが、入れ替わる前のヒロイン、そんな気性じゃなかったじゃん。もっとサバサバした性格だったよね? そもそも「女=クヨクヨ・ナヨナヨ」「男=粗暴・ガサツ」って、すげー時代錯誤じゃない? フェミニストが怒りそう。
その二人を取り巻く家族は当然混乱してバタバタするのだが、その様子がさっぱり面白くない。さらにシラケるのが、二人にちょっかいを出す不良青年だ。ふざけた言動で笑いを取りたいのかもしれないけど、そんな演技でウケを狙おうなんて観客を舐めすぎじぇねえか。まあ、役者の演技ではなく、監督の演出やセンスに問題があるのだろうけど。
しかしまあ、その辺はまだ我慢できなくもない。だが、さっきも書いた通り、ヒロインが他界してしまうという結末は、あまりに酷すぎる。「美しい少女を美しい状態のまま、思い出の中に封じ込めておきたい」という男の歪んだエゴイズムがあからさますぎて、吐き気まで催してしまう。
この映画を観て、自分が好きになれない映画のタイプが明確になったような気がする。それは「作り手が登場人物を愛していない」ということが分かってしまう作品だ。もしくは「物語を自分が都合のいいように進める(もしくは終わらせる)ために登場人物を駒のように動かす」という姿勢が見え見えの作品だ。この『転校生 さよならあなた』は、その典型である。ああ、虫酸が走る。
驚くべきことに、ラストシーンでは監督の言葉が画面上に映し出される。50年後の子供たちへのメッセージであるらしい。ああ、なんちゅう自己陶酔。もう呆れて何も言えません。
最新の画像もっと見る
最近の「<映画> 映画の感想」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- 新作映画公開情報@名古屋(981)
- 映画に関する話題アレコレ(109)
- <映画> 映画の感想(246)
- <音楽> 好きな歌の紹介など(115)
- <本> 本の感想など(81)
- テレビ・ラジオに関する話題チラホラ(87)
- いわゆる身辺雑記、もしくは雑感(588)
- ライブレポもどき(67)
- 「されても構わない程度の勘違い」シリーズ(3)
- お宝自慢、またはお宝もどき紹介(20)
- 愛・地球博の思い出(10)
- 告知モノ(36)
- 「映画バカ一代」関連(7)
- とりとめのない思い出話(11)
- 「このカバーが正しい」シリーズ(10)
- 分類なし(16)
- 日本語について語らせて(名古屋弁ネタ含む)(7)
- ミーコのページ(44)
- 「甲斐トリビュートLIVE」関連(26)
- 日記(0)
- 旅行(0)
- グルメ(0)
バックナンバー
人気記事