少年トッパ

『目線を上げて』全曲感想!

 拍手コメント、たくさん頂戴しております。ありがとうございます!
 で、返事って書かなくていいんだよね? うわー、すげえラク。みなさん、もっとジャンジャン書いて! ……って調子こくとソッポを向かれるもんだよね、世の中。

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 さて、本題。ショッピングセンターの中にあるCDショップに寄ったら、甲斐バンドのニューアルバム『目線を上げろ』が試聴コーナーにあるじゃん!
 もちろん、さっそく聴いてみました。家だとパソコンもラジカセもボロくて貧弱な音なので、こういうのは実にありがたいです。で、ついつい20分ぐらい居座って聴いておりました。

 というわけで、多数のリクエストも頂戴していることだし、『目線を上げて』の全曲感想を。いや、そんなにリクエストが多かったわけでもないですが。

1. エメラルドの爪先

 最初にイントロを聴いた瞬間、「カッコいいじゃん!」と思った。どんな内容の曲かも分からない段階だったけど、なんとも心が浮き立つようなリズムとメロディーなのだ。『夏の轍』の1曲目である『眩暈のSummer Breeze』にも似た濃密さを感じさせつつ、なおかつアッパーで開放的な味わい。これは名曲じゃないか、と思った。
 二度目は、歌詞カードを見ながら聴いた。過ぎ去った過去を悔やむ内容であり、描かれる心情はつらく痛ましいものなのだが、曲調は明るく陽気で、どこか祝祭的なムードを感じさせる。そういう意味では『観覧車'82』に通じるものがあるんじゃないかな。甲斐バンドの新しい代表曲になりそう。

2. ひかりのまち

 TOKIOへの提供曲。そっちを最初に聴いた時は、素直に「いいじゃん!」と思った。それだけに「なんで甲斐さん、自分で歌わないんだ?」とも思ったものだ。
 この甲斐よしひろボーカル版は、予想に違わぬカッコいい歌いっぷり。スプリンクラーという外来語をこんなに小気味よく聴かせる曲は史上初めてかも。

3. 目線を上げて

 アルバムのタイトルでは「上げろ」だが、曲のタイトルでは「上げて」。ややこしい!
 それはともかく、アルバムの顔となる曲であるのは間違いない。「目線を上げろ 胸をはれ 下を向くな」と疲れた生活者たちを励ますメッセージソングであり、これまた甲斐バンドの新しい代表曲になりそう。とは言いながらも、実のところ、お気に入り度は『エメラルドの爪先』や『ひかりのまち』の方が高いけど。

4. ラン・フリー(スワン・ダンスを君と)

 これまたTOKIOへの提供曲。ただし、『ひかりのまち』と違って、こちらは好きになれなかった。なんとなく「間延びした曲調だなぁ」と思えてしまったのだ。まあ、ただ単に自分が「ゆったりした曲よりも速いテンポの曲の方が好き」ってことでもあるけど。
 そんなわけで僕にはイマイチな曲だったんだけど、甲斐よしひろが歌うと妙に引き締まって聴こえるから不思議である。悪くない、いや、いいじゃん、などと不覚にも思ってしまった。不覚ってのもナンだけど。

5. 朝まで待てない

 このアルバムの欠点は、既発のカバー2曲を混ぜたことじゃないだろうか。もちろん、『朝まで待てない』も『浮気なスー』もポップス史に残る名曲だ。甲斐よしひろによるカバーも悪くない。というか、かなり良い。ただ、アルバム全体の雰囲気とは合っていないように聴こえるのだ。やっぱり全曲オリジナルで勝負してくんなきゃ。カバーを入れるにしても、甲斐バンドのメンバーでの新録音でなきゃ。
 どうしても『朝まで待てない』と『浮気なスー』を収録したかったのなら、ボーナストラックという形で最後に入れればよかったのに。

6. 世界で一番あまいメロディー

 タイトル通り、あまーい歌。それも愛だ恋だの甘さではなく、子どもたちへの慈しみを歌った甘い歌である。こんな風に歌われる子どもたちは幸せだよね。

7. 冬の理由

 今回のアルバムの良さはいくつもあるけど、そのひとつは「日本語を大切にしていること」じゃないだろうか。日本のロックや歌謡曲には安易に英語や外来語を使ったものが多く、もちろんその中にはカッコいいのもあるのだが、「ワケわかんねーよ」と言いたくなるものも少なくない。切々と心情を語っておいてサビで唐突に英語、なんて歌を聴くとガッカリしたもんだ。
 甲斐よしひろの作る曲で英語が使われる比率は割と低いが、サビの頭に英語や外来語をキーワード的に使う、というパターンは多い(『HERO』『感触』『BLUE LETTER』『シーズン』『MIDNIGHT』『マッスル』『電光石火BABY』『ミッドナイト・プラスワン』などなどなど)。それはそれで悪くないが、そればっかり続くと平坦な印象になってしまうものだ(よね?)。
 今回はアルバム全体での英語・外来語比率も低いけど、この『冬の理由』に関しては完全に日本語のみ。素晴らしい。もちろん、「日本語のみだから素晴らしい」ってわけじゃない。冬の夜に押し寄せる悔恨の情を切々と描いた歌詞とメロディーは極めて完成度が高いものであり、情景が目に浮かぶようなサウンドづくりも見事だと思う。甲斐さん、やればできるじゃん! ……偉そうなことを言って失敬。

8. 浮気なスー

 なんともユーモラスな味わいの曲。ものすごく好きなんだけど、だからこそ、この「新作アルバム」には入れてほしくなかったなぁ。でも、今回のアルバムで初めてこの曲を聴いた人には新鮮じゃないかな。

9. 胸いっぱいの愛2008

 言うまでもなくセルフカバー。正直言って、オリジナル版とさほど変わってないと思うけど……どうでしょ。

10. 立川ドライヴ

 土屋公平への提供曲。TOKIOへの『ひかりのまち』同様、これも「早く甲斐さんの声で聴きたい!」と思っていた曲だ。
 結果は期待を裏切らなかった。すげーカッコいいじゃん。いささか雑じゃないかと思えるほど前のめりな歌いっぷりが痛快。

11. TOKYO銀河

 ジェロへの提供曲。そっちを聴いた時は、はっきり言ってガッカリした。歌詞もメロディーも凡庸に思えたのだ。過去の作品からの切り貼りという印象も受けたし、ジェロの歌い方にも魅力を感じなかった。
 しかし甲斐よしひろが歌うとガラリと印象が変わり、切なさや無常感が心に沁みてくるから、なんとも不思議なものだ。はっきり言って、楽曲自体は今も特に良いとは思えない。しかし、それを輝かせてしまう甲斐よしひろの歌い手としての表現力には、ちょっと脱帽したい気分だ(帽子はかぶっていないけど)。

 そんなこんなで、このアルバムにはおおむね満足。まっさらの新曲に関しては不満はないので「大満足」と言っていいかも。しかも、日が経つにつれ、ますます気に入ってきている。現時点でのベスト3を挙げるなら『エメラルドの爪先』『立川ドライヴ』『冬の理由』かな。もう一曲、『ブライトン・ロック』とか『冷血』みたいにガツンと一撃くらわせてくれるような曲が欲しかったとは思うけど、それはまた次のアルバムで。期待してます。あ、それと、次は松藤さんと一郎の曲も入れてほしいなぁ。

 ところで、ジャケットに関する不満をひとつ。なんで佐藤英二さんとMac清水さんだけが一緒にいるの? いや、この二人が甲斐・松藤・一郎と並んでることには何の不満もない。ただ、坂井さんや前野さんも入れてあげればいいじゃん! というか、『夏の轍』の歌詞カードの時みたいに、ツアーメンバー全員で映ればいいのに。あ、今回、JAH-RAHと徳広さんはレコーディングに参加してないんだ。うーーーん。でも、坂井さんと前野さんは撮影に呼んであげて!

 最後に注意事項。コメントは大歓迎ですが、くれぐれも「その曲、ツアーでやりました」とか「それ、やってくれなかった」とか書かないようにお願いします。よろしく!
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