少年トッパ

『いぬのえいが』の感想<ネタバレあり>

 犬にまつわるアレコレを描いたオムニバス映画。いろんな犬が登場するから、とりあえずそれだけで楽しめる。ま、犬が好きな人なら退屈はしないんじゃないかな。ただし、こういうオムニバス映画ってのは作品によって出来不出来があるもんだよね。なので、パートごとに簡単な感想&ツッコミを。

<A Dog's Life:good side>
 これはアニメ。タイトルバックかと思ったら、独立した作品だった。こういうポップな感じの絵は好きだし、音楽も良い感じ。

<うちの子No.1>
 これはミュージカル。「このノリを楽しめなきゃ、このあとツラいかも」と思って、とりあえずノリノリの気分になってみた。でも、ちょいとツラいわ。振り付けは悪くないんだけど、歌詞に工夫が足りないし、踊りに躍動感が欠けてるもん。

<CMよ、どこへ行く>
 ドッグフードのテレビCM制作の裏側を描いた作品。僕も広告業界の隅っこの端の端の底辺近くで生きているので、こういう成り行きは痛いほど理解できる。いろんな立場の人からの意見を聞いてるうちに、どんどん変な方向へ行っちゃうものなんだよねぇ。
 それにしても伊藤美咲はキレイだね。ドキドキしちゃったよ。

<ポチは待っていた/思い出>
 前のパートの主役だった山田の少年時代が描かれる。療養のために田舎に引っ越してきた山田少年と野良犬ポチとの出会いと別れの物語。パン屋の女の子が可愛いし、ポチが柴犬ってのも良い。
 気になったのは、看護婦さんが少年に言うセリフがおそろしく棒読みだったこと。ありゃヒドくない?

<恋するコロ>
 犬と飼い主、それぞれの片想いの顛末が描かれる。パグ犬君の「心の声」が楽しい。オチは予想できるものだったが、そのあとさらにオチを用意していたのはお見事。乙葉のコメディエンヌぶりも、なかなかのもんだよね。

<ポチは待っていた/唄う男>
 この話は余分じゃないか? あんまりポチは関係ないし、あの男女の行動には全然共感できないし。川平滋英の演技は暑苦しいのみ。

<犬語>
 バウリンガルの開発秘話。これは笑える。田中要次のキャラを最大限に活かした、といっても過言じゃない気がする。
 ただし、最後の言葉の意味を明かさなかったのは不自然。思わせぶりにして終わりたかったのかもしれないが、そういうのは観客への不親切でしかない。

<ポチは待っていた/病院>
 少年を追って都会に出てきたポチは、すでに少年が退院してしまった病院に辿り着き、そこに住み着くようになる。病院に訪れる者たちにとって、ポチは格好の「癒し」の対象となる――という展開は美談のように思えるが、現実的に考えると病院の経営者はポチを追い出そうとするんじゃないだろうか。患者の中にも犬が苦手な人はいるだろうから、苦情も出るんじゃない? 裏でこっそり面倒を見るならともかく、ずっと玄関の前にいるわけだからね。そんなこんなで、どうも話に説得力がないのが難点。

<ポチは待っていた/空き地>
 まだまだ山田とポチの話は続く。ちょいと引っ張りすぎじゃない?
 ここでは成長した山田がかつて療養のために住んだ町を訪れ、パン屋の少女との再会を果たす。山田が描いた絵をもとにしたパンが作られている、というエピソードにはウルウルさせられた。でも、最後の空想シーンは蛇足だし、草むらに入ったポチを山田が追っかけないのは不自然すぎ。

<A Dog's Life:bad side>
 オープニングのアニメの別バージョン。前のとは一転して、家族から疎んじられるようになった犬の悲哀と、流行り物に熱狂する浅はかな消費社会への皮肉が描かれる。これまた音楽が良い。お見事。

<ねぇ、マリモ>
 これは反則! こんなもん見せられたら誰でも泣くって。ゴルゴ13でも泣くんじゃないか? 当然、僕も泣いた。泣かずにはおられんって。しくしく。

 ラストに思いっきり泣かされたので、観た直後の印象は良い。ただ、全体を通して言えるのは「着色料や甘味料が多い映画である」ということ。もっと犬そのものの魅力を見せてくれればいいのに、なんて思ったりもした。

 画像は昨年10月に撮った「カイ」。生後1年2ヶ月だから、人間なら20歳ぐらいかな。

コメント一覧

トッパさん
猫姫さん、ようこそ! こちらこそ半年もトラックバック返し
せず、失礼しました。超ものぐさなヤツなんです。

>子供の頃の自分と決別したと言うことで、
>すごく自然に思えました。

そう言われれば、そういう気もします(笑)。ともかく、今後と
もよろしくお願いします~。
猫姫さん
http://blog.livedoor.jp/nekohimeja/
ご、ごめんなさい、、、2回目TBしてしまいました。汗
ポチを追いかけなかったというのは、子供の頃の自分と決別したと言うことで、
すごく自然に思えました。
トッパさん
こういう動物映画は代役を大勢用意するのが普通ですから
ねぇ。まあ、バレバレでも大目に見ましょう(笑)。

あのシーン、たぶんそういう意図だったんでしょうね。でも、
単に身体が硬直して動かなかっただけにも見えたし、どう解釈
させたいのか不明確に感じました。こんなこと言っちゃナンで
すが、演技か演出に問題があったように思います(笑)。
ケイケイさん
ポチってトリプルキャストだったでしょう?(笑)。友人と観ましたが、エンドクレジットで二人で大うけだったんです。大人になった山田君がポチを追いかけなかったのは、この幻影の中で、自分の心の奥底のポチへの思いというか、当時の自分から卒業したかったのかな?と感じました。だってきちんとお別れしていなかったでしょう?
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