Tony's One Phrase

観察日記

ナイアガラ暮色を追え!

2020-03-22 14:11:49 | EACH TIME

 デビュー50周年記念盤として、3月21日に発売された大滝詠一『Happy Ending』。非常に楽しませてもらっています。


 ファンは図々しいので、願わくば、冊子としての別販売でよいので、判明した範囲でよいので、『Debut Again」と『Happy Ending』の録音データを補遺集として、出版してほしいと思います。「つけて欲しいんだから、書き付けぐらいは~♪」、なのです。


 そんな中、本日の大瀧詠一bot(@each_bot)のツイートが。

 これもちょっとだけ踏まえながら、1言づつコメントを(これが似ているとか書く意味がないといわれているにもかかわらず、少し書いたりしてみます(><))。


"Happy Ending" 大滝詠一
1.Niagara Dreaming
→巷でも話題になっているようですが、2011年に開催された、ロンバケ30周年記念パーティで流れた「恋するカレン」のサビ部分。ここで聞けるのが最後と思って、一音声たりとも漏らすべからずと思いながら、コーラスの大洪水に耳を埋めた曲。
 「カレン」を作っていた80年代初頭には、第一線から距離があったBB5も4Seasonsなど、ホワイト・ドゥーワップのオマージュをこれだけしっかりやっていたとのかと、感動に打ち震えながら聞いていました。
 頭の中で思っていた曲は、もちろん「Hushabye」に加え、「Ballad Of Ole' Betsy」、さらに『Brian Wilson』(1988)の 「One For The Boys」、「Let It Shine」 なども一緒に浮かび非常に幸せなひと時でした。
 あれから10年、もう3月・・・ 耳を澄ませば さようなら。


2.幸せな結末 (Album Ver.)
→『EACH TIME』を即日購入していない、若手(!)ナイアガラファンにとって、初めてのリアル・タイム曲。キムタクのラジオから流れたバージョンが”親”のため、個人的には、アルバムにもそちらを入れていただきたいという勝手な願いを持っております。
以前、エヴァリーに加え、ナンシーシナトラ「True Love」も、追ってみたこともありますが、ソニー・カーティスのクリケッツ然としたサウンドという評があったように、きちんとドラムがいて欲しいサウンドです。


3.ナイアガラ慕情
→最初のイントロ1分のみ、ドラマの中で聞いたことがあったのですが、もともと予想していたカヴァーではなく、大滝詠一のスキャットが出てきて、これは得をした!と感じた曲。今回のアルバムの中で一番気にいっている曲です。
ゆったりとした曲調で、大滝詠一がのびやかに歌う、この曲にこそ、「ゆらりろ」とつけて欲しかったぐらいです(^_^)

今回の「ナイアガラ慕情」に際してのツイートでは、metalsideさんの慧眼に、いたく感銘を受けました。

 

このマリンバのトレモロは、斎藤高順の音楽作品では、ところどころで見られるものです。

例えば、小津安二郎の『早春』(1956)

 リンクをつけている予告シーンでは、ちょうど2分以降の部分を聞いてもらうと、マリンバのトレモロがはじまります。一度、お聞きあれ。この弦楽器の奏でるメロディと、後ろでかかるトレモロを聴いていると、続けて聞いてみたくなります。小津安二郎作品では、「彼岸花」のメインタイトルが一番好きですが、今回のトレモロ体験は改めて、斎藤高順作品に向き合おうというよいきっかけになりました。

小津以外では、「あじさいの歌」(1960) 日活などにもトレモロはふんだんに使われています。


テロップが終わり、石原裕次郎が神社の長い階段を上るシーン、東野英治郎が足をくじいて、裕次郎が負ぶって家に連れていくシーン、いずれもマリンバのトレモロが全開です。

 似ているとか似ていないとかではなく、大滝詠一も劇伴音楽を作るなら、こういう曲がバックに流れていると良いなぁと思って作ったのではないかとは思うのですが。意図的に「早春」をモチーフに、「春立ちぬ」を作ったというような仮説などあれば面白いと思うのですが、それには、小津安二郎研究をやっていた時期とこの曲を作った時期がカブっているかといった検証なども面白いかもしれません。

 最初に書いた通り、特にデータがないので推測になりますが、前者は2010年頃(成瀬・小津研究)、後者は1998年頃(雨のマルセイユと同時期としたら)または、2003年(恋するふたりのころ)と、思われるので、直接の影響があるわけでもないと思ったほうがよいと思います。
 
(追記 2020.06)
Bobby Vintonの「There! I've Said It Again」
れんたろうさんがボビー・ヴィントンの「ブルー・ファイア」だと書いてました。

マリンバもそのまんまトレモロ。
コンダクターは、Stan Applebaum!
Neil Sedaka, Ben E. King, Sam Cooke, the Drifters, the Coasters, Connie Francis, Bobby Vinton, Brook Benton and many others.ということで、ここでも原点回帰のアレンジでした。

4.恋するふたり(Album Ver.)
→このバージョンは、ハンド・クラッピングとカスタネットの臨場感が強く、今までの中でも一番好きなバージョンとなりました。「春立ちぬ」という題名だったと聞いていたせいもあったのか、発売当初は、「風立ちぬ」の2番煎じといった印象が非常に強かったですが、サウンドの味付けは近いけれど、メロディが違うし、このアルバムの核になっているなと思います。
ただ、やはり最後の曲となったからか、余計に松本隆作品の「春立ちぬ」も聞いてみたかったです。

5.イスタンブール・マンボ

→「ウスクダラ」と「悲しき60才」をあわせたような音でしょうか。大滝作では異色ながら、中原理恵の「風が吹いたら恋儲け」で使ったリズムパターンを使っているなぁと思いました。
中原理恵の「東京ららばい」と、庄野真代の「飛んでイスタンブール」は筒美京平なので、混同することがあります(^^;

6.Happy Endで始めよう (バカラック Ver.)

→原点回帰のB面曲として、よろしいのではないかと。ハル・ブレインのような軽快なドラムの響く歌。
以前、この曲は「フラフープ・ソング」の影響があるのでは?と考えていました。
「街でも村でも~フラフープ♪」と「村でも」の歌い方が、「ハピーエン」に似ているのではと思ったのですが、チョット違いそうですね。伊東ゆかりと中島そのみのバージョンがありますが、伊東ゆかりを貼っておきます。
伊東ゆかり「フラフープ・ソング」(1958)
すぐに、「Let's Ondo Again」が始まりそう。

7.ガラスの入江

→アルバムであれば、「風立ちぬ」の流れでまとめて聞きたい曲です。

となると、このアルバムも再編成が必要です。
例えば、
A1    冬の妖精←「Happy Endで始めよう」で始める
A2  ガラスの入江←この曲。
A3  一千一秒物語←「ナイアガラ慕情」(恋するカレン・・カレン・カーペンターズ・・悲しき慕情の連想)
A4  いちご畑でつかまえて ←「恋するふたり」(特にダンドゥビのところ)
A5    風立ちぬ←「So Long」
という曲順になりますかね。

ニール・セダカ「Bad Girl」(悲しいあの娘)と言われていますが、自分の中では

Buffalo Springfield「Sad Memory」のようなバラード曲を作りたかったのではないかと思っています。


8.Dream Boy

→ロビン・ウォードと同名異曲となる。「夢で逢えたら」のカヴァーであるが、なぜ「Dream Girl」としなかったのか?が気になります。やはり、女性歌手用に歌ってあげた曲に日の目を浴びさせたということなのでしょうか。男性が歌うので「バチェラ・ガール」と「バチェラ・ボーイ」のどちらがよいかまで気を遣ったはずなので、もし公開を前提としていたら、「Dream Girl」としていたのではないかなと思うのです。

まぁ、「Dream Girl」とすると、Davy Jonesと山下達郎の「Dream Girl」が控えているので、しづらかったのかもしれませんね。

9.ダンスが終わる前に

→弦だけかぶせているようなので、歌と時期がずれているのかもしれません。

タカタッタ、あるいは、ドドドッドとドラムが入らないのが残念です。

10.So Long

予想が大きく外れました。1997年7~9月のリハビリセッションの前後でしょうか。「幸せな結末→恋するふたり」のミッシングリンクのような曲でした。もう1回、2回転調してもよさそう。

あとは、邦題を何かつけて欲しかったです。
自分がつけるとしたら、「ナイアガラ暮色」!でお願いします。
(←ナイアガラ慕情と非常に紛らわしいのですぐ却下される・・・)
ディック・ミネ「或る雨の午后」とか「二人の並木道」に触発されて、「或る雨の夜明け」とか「雨の並木道」(←同名異曲がある(><)。

1つ、ナイアガラとまったく関係ない個人的な体験ですが、「めぞん一刻」という漫画で主人公の男の子を好きな女の子が「LONG GOOD-BY!」に“SO”を足して、「SO LONG! GOOD-BY!」にしてしまうシーンがありました。今回の歌詞から考えて、シッカリお別れするようでもあり、そうなら、「そー」でよいのかな、やっぱり「そー」なのかなぁと思いました。


11.Happy Ending
→こちらもエルヴィスではなかったですね。
いずれにしろ、どう終わるかじゃない、どう始めるかだぜ。
お後大勢_(. .)_



So Long

2020-03-02 00:28:39 | GO! GO! NIAGARA
"Happy Ending" 大滝詠一の続きです。

やはりファッツ・ドミノなのでしょうが、
「Blue Moon」のようなこの曲を聴いて、このカヴァーでもよいなぁと思いました。

The Four Aces - So Long (1954)


制作側も「So Long」を最後にするか、
「Happy Ending」を最後にするか迷ったでしょうね。
思い切って、A面の最後を「So Long」にしてもよかったかも!?
まぁ、言うは易し行うは難し。出るだけ有難いことなのです。