ひかりとしずく(虹の伝言)

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「放射線に安全値はないという。・・・」雑誌クロワッサンの特集記事の紹介

2011-10-07 | 季刊誌なな色メールより
クロワッサンに放射線についての特集があった。6月号だったか?
女性たちにもわかりやすくいろんな専門家の意見が載っていて、絶対これはなな色メールに挿入して紹介したいと思った。

特集テーマ”放射線に安全値はないという。これから「いのちと暮らし」は、どうなるのか”

以下に、一番賛同できた柳澤さんの文章を抜粋し、掲載させていただきます。

放射線に安全地はないという。
これからの「いのちと暮らし」はどうなるのか。
大量の放射性物質が飛散した、東京電力福島第一原子力発電所の事故。
この事故にどう向き合えばいいのでしょうか。
 
放射線が、生命をおびやかすのはなぜですか。
柳澤桂子さん 生命科学者 お茶の水女子大学名誉博士

「人間は“核”に手を出してはいけないと思うのです。」柳澤桂子さんは分子生物学者として、長年、先天性異常の研究に携わってきた。放射線が人体に影響を及ぼすのかは、よくわかっていました。」柳澤さんは科学の発達それ自体を否定はしない。「わからなかったことが、研究によって解明されるところまではいいと思うのです。ただ、危険が明らかな場合は、それを技術として用いないことが人間の良識なのではないでしょうか。」

20世紀初め、ウランの原子核を分裂させると膨大なエネルギーが生じることがわかった。そのエネルギーを兵器に応用したのが、1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾だ。原子力発電もそのエネルギーを利用したものだ。ウランが分裂して生まれる放射性物質に、原爆と原発の違いはない。

福島第一原子力発電所の事故後、政治家や専門家はくり返す。「直ちに健康に影響が出るものではない」、「100ミリシーベルト以下は安全」だと。「放射線に関して安全だという言い方は改めていただきたい。放射線と人間とは、相容れないものなのです」

人間の身体(大人)はひとつの受精卵が分裂を繰り返してできた約60兆個の細胞で構成されている。その、ひとつひとつの細胞の核の中には、柳澤さんが「いのちの総司令部」と呼ぶDNAが収まる。DNAも細胞が分裂するときに、コピーされてゆく。「DNAは情報テープのようなものです。人間のDNAには人間を人間たらしめる情報が書き込まれています」

一方、放射線には物質を通り抜ける強い力がある。放射線を浴びると、(急性症状が起きるような強い放射線を浴びていない場合でも)細胞に変化が起き、DNAに書き込まれた情報が変更されたり、情報テープが切断されたりする。そして、細胞が分裂するときに、DNAに起きた間違いもそのままコピーされていきます。癌との関連では、固体一代限りの問題として捉えてしまうが、DNAは人類が存続する限り、未来へ受け継がれてゆく。「表面にはあらわれないDNAの傷が、子孫に伝えられていきます」危険だとわかったら、技術として用いないと決断することが、人間の良識ではないでしょうか。この問いは、人間の“心”に対してつきつけられたものだ。
「遠くから食べ物を取り寄せて、喜んで食べる。トマトもキュウリも一年中出回っている。クリスマスケーキには立派ないちごが飾られている。そのためにどれだけのエネルギーが使われているのでしょうか。そのことを不思議に思う人がどれくらいいるでしょう。」
その代償として、次代を担う「子どもたちから旬の喜びを奪った」という。
「春になったら、芽吹いて、やがて実をつけ、それをいただくことで、生命の循環を感じ、自分の来る由縁を意識するきっかけになると思うのです」

自分が何者かを知ろうとするような“何かをつかむ”意識は進化すると柳澤さんは考えている。
「文化人類学の知見から考えると、人の意識も進化すると思います。戦争、核をおく意識。まだまだ進化しなければなりませんが、そう早くは進みません。いま、私たちにできることは、文化の進化です。精神科医の臨床研究によると、芸術は意識レベルの高いものだそうです」

多くの人が質の高い芸術に触れる機会をたくさんつくる。遠回りに思えるが、文化を進化させ、意識レベルの底上げを図る一番の早道だという。
「そのことによって、日常や個人を超えた、自然や宇宙に対する感謝の気持ち------それが祈りだと思いますが--------を抱けるようになれば、と思います」
太古からの生命を受け継ぎ、未来へとつないでゆく結節点に自分があることを意識したときに、その連続性を切断しかねない原子力を利用することは、必要不可欠なものなのかという根源的な問いが立ち上がる。「震災で亡くなられたかた一人ひとりの方が、恐ろしい思いをして、苦しまれたんですよね。そしていま、放射能の不安に苛まれている方がたくさんおられるんですよね。大変多くの人が無念の思いをされたのですから、生きている者として、その無念に応えることを考え、行動を起こさなければならないのではないでしょうか」


以上、クロワサンより・・・

柳沢桂子さん(生命科学者、お茶の水女子大学名誉博士)の言葉”危険だとわかったら、技術として用いないと決断することが、人間の良識なのではないでしょうか。”には拍手喝采。

他には『原発のウソ』の著者、小出裕章さんや、飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長)今中哲二さん、チェルノブイリに支援医師団を送った鎌田實さんの記事があった。





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1 コメント

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双手をあげて共感! (ポルカ)
2011-09-28 23:20:31
「人間は”核”に手を出してはいけないと思うのです。危険だとわかったら技術として用いないと決断することが人間の良識なのではないでしょうか。」
柳澤桂子さんのことばに双手をあげて共感。もやもやしていた思いにぴったりの表現をもらった気がします。
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