Art=Art。Popular=Popular。英語の意味がそのまま使えます。ただし読み方はポルゴ訛りでアルチ・ポプラール。
90年代を代表する、ポップなパゴーヂを歌うグループとして成功を収めています。と言いつつも自分がこの人達の曲を本格的に聞き始めたのはほんの3年ぐらい前なんですけどね。もっと前から知っておきたかった!
パゴーヂとはサンバの一つの形体で、楽器編成としては弦楽器がカバキーニョ、バンジョー、ギターなど。そこへ打楽器のタンタン、ヘピキ・ジ・マオン、パンデイロなどが加わる・・といった感じです。これ以外にもいろいろ味付けできるみたいですけど。最近やたらとこの中の一つ、カバキーニョに挑戦したいという思いが強くなってきてヤバイです。でもなかなか日本じゃ種類も少ないし、手にはいらないんですよねえ。
土曜日のお昼(日曜じゃないのが日本人としてはポイント。だって次の日仕事したくないんだもん)にどこからともなく近所の人達が楽器を持って現れ、即興のサンバ演奏が始まる・・・そんな気取らない雰囲気のなかで生まれたスタイルがパゴーヂらしいです。そういえばサンパウロでもそのような光景を何度かみたことがあるような。本場はやっぱりリオだと思いますが。
元祖パゴーヂといえば、やはり70年代後半から台頭してきたFundo de Quintal(フンド・ジ・キンタル)。90年代にはいると、このパゴーヂをより大衆受けしやすくしたポップ&バラード調のパゴーヂを演奏するグループが次々とでてきます。アルチ・ポプラールはその代表選手ですね。
サンパウロ発のアルチ・ポプラールはドロ甘い恋心を歌う、ムイトホマンチコなパゴーヂグループとして都会に生きる若者の心をとらえたのではないでしょうか。サンバの基本はしっかり押さえつつも、その発展形として次々と新しい試みにチャンレンジしています。サンバをゴスペルやソウル、セルタネージョ、バイーアスタイルなどと合体させて、新しい「サンバポップ」なるジャンルを開拓したのが彼らでしょう。
Samba Pop Brasil2という作品ではオルドゥンばりのサンバ・ヘギ(レゲエ)調の曲やアメリカの教会で録音したゴスペル・サンバ、Take6やBilly Paulをゲストに迎えての作品も収録されています。偉そうですが、このSamba Pop Brasil2はあまりブラジル音楽に馴染みのない洋楽好きの人達にも、ブラジル音楽を聞き始めるとっかかりとして、かなりおすすめしたいです。曲もすべてはずれなし!音楽自体にそれほど造詣が深くないボクでもおすすめできるのですから・・間違いなし。
上の画像の~Sem Abuso Ao Vivo~は彼等の最新ライブ音源です。Falando Segredo、Eternamente Felizなどなど、キャッチー&ヒット曲盛りだくさん。こちらもかなりおすすめ。
メンバーは
Leandro Lehart :ボーカル&カバコ&ギター
Marcinho :ボーカル
Denilson :ヘボロ
Evandro :ヘピキ・ジ・マオン
Malli :タンタン
Tcharlinho :パンデイロ
レアンドロくん以外はみんな打楽器!というのが日本のバンドにはなかなかない編成です。サポートメンバーがいないと成り立ちません。レアンドロくんはちょっとぽっちゃり気味なのですが、相当なやり手のようでボーカル、カバコ、ギター、曲づくりとこのバンドのすべてを一人で支えているという印象を受けます。
本ライブ版はDVDでも発売されているのですが、Tcharlinhoのパンデイロの叩き方がくねくねしていて笑えます。また相変わらずレアンドロが大活躍なのですが、もう一人のボーカルのMarcinhoが自分の歌うパートじゃない時に、手持ち無沙汰を紛らわすかのようにマイクのついてない(ほとんど音聞こえない)パンデイロを仕方なく叩いてる姿が切なくていいです。
またDVD版は「Amigos」として、彼らと関係の深いグルーポ・センササオンなどのバンドの演奏が前座的な扱いで収録されているのもお得感があってさらにgood!
←レアンドロはソロ活動もしているみたいですね。
六本木のアカラジェ・トロピカーナでも彼らのSai da Frente、E no Pagode、Agamamouなどの曲が昔は頻繁ににかかっていました。
これからもこういうポップ・パゴーヂスタイルなバンドって増えるんでしょうね。
でもArt Popularが一番!いまのところ。