あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

悪い奴しか出てこねぇ

2016-06-18 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』を読みました。
『グラスホッパー』の続編で、塾講師の鈴木とか出てきます。いつもの小気味よいテンポで物語は展開してますが、この結末を「めでたし・めでたし」と言って良いのかどうか……。

東京発盛岡行きの東北新幹線。幼い息子を殺されそうになり、その復讐を企てる元・殺し屋の「木村」。しかし彼は東北新幹線の車内で、復讐相手である「王子」に拘束された。一方、大金の入ったトランクの争奪戦が、腕利きの殺し屋「蜜柑」と「檸檬」の二人組と、天道虫と呼ばれているとことん運のない殺し屋「七尾」の間で、同じ新幹線車内で繰り広げられる。

北海道新幹線ができる前の、まだ「下りの終点・盛岡」の頃の話です。これだけの長編ではあるけれど、新幹線が東京から盛岡に着くまでの、時間にして2時間チョイのストーリー。それをこれだけの濃さで描けるのは、流石としか言いようがないのです。
しかしまぁ、ここには悪い奴と元悪い奴しか出てこねぇ。普通の人はすぐに消えちゃうか、消えかかっているか、通りすがり。ちょっとした犯罪なんて、彼らにしてみたら何てことないフツーのことで、人を殺めるのは「仕方ないよねー」くらいの感覚。だから読んでいるうちにこっちも若干マヒしてしまいそうになります。
それでも、機関車トーマス好きの檸檬とか、まったく運のない七尾とか、木村の両親とか、憎めない。
いちばんヤバいのは中学生の王子で、こいつと比べたら、檸檬なんて可愛い・可愛い。なので王子の末路には「ま、仕方ないわな」と、若干感覚がマヒした私は思ってしまいました。本当に「因果応報」なのです。

「終点に着いたときには死体がゴロゴロしている新幹線」になるので、そういうシーンが苦手な方にはおススメいたしません。でも面白かった!
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