務のよしなしごと

ハンプトン・コート宮殿の人々(完成時期未定)
「オペラ座の怪人」勝手に解説
住んでいる近辺の紹介

「オペラ座の怪人」第1幕 第8場 -1

2021-07-27 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

舞台が明るくなると軽快な旋律のBGMが始まり、場面は支配人の部屋。中央の机で上機嫌のフィルマンが高笑いをしながら新聞を読んでいる。カルロッタは役を降りたまま、クリスティーンは怪人に連れ去られて行方不明のままである。

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"NOTES"

FIRMIN:(フィルマン)
'Mystery after gala night,' it says, 'Mystery of soprano's flight!' 
「初演後の謎」、「ソプラノの失踪」だそうだ。
'Mystified,' baffled Sûreté say, 'we are mystified - we suspect foul play!' 
「不思議だ」保安当局は困惑し「謎だらけの事件」と言っている
Bad news on soprano scene - first Carlotta, now Christine!  
ソプラノに関しては悪いニュース、最初はカルロッタで次がクリスティーン
Still, at least the seats get sold - gossip's worth its weight in gold...    しかし、席は売れてゴシップの重さは金の重さと同じ価値
Diva tenders resignation.  Cover does a moonlight flit             歌姫は辞任、代役は夜逃げ
Half your cast disappears, but the crowd still cheers!        役者は半分去ったが、それでも観客は喝采する
Opera!      To hell with Gluck and Handel –          オペラ様々だ! グルックやヘンデルと一緒に地獄まで
Have a scandal and you’re sure to have hit         スキャンダルがあればヒット間違いなし

(そこへアンドレがあたふたと登場。)

ANDRÉ:(アンドレ)
Damnable!  Will they all walk out!           ひどい!皆出て行くのか?
This is damnable!                                     これはひどい!

FIRMIN: (フィルマン)
André, please don't shout...  It's publicity!        アンドレ、喚かないでくれ。これは宣伝だ。
And the take is vast!  Free publicity!                 実入りは大きい。しかも無料の宣伝だ。

ANDRÉ:(アンドレ)
But we have no cast...               しかし、役者がいない。

FIRMIN:(フィルマン)
But André, have you seen the queue?  Oh, it seems you got one, too.
でも、アンドレ、列を見ただろう。おや、君にも(手紙が)来てるみたいだ。

(アンドレは、最初、怪人から来たものとは気づかず手紙を読みだす。)

ANDRÉ:(アンドレ)
'Dear André, what a charming gala!  Christine enjoyed a great success.
「親愛なるアンドレ、初演は素晴らしかった!クリスティーンは大成功を収めた。
We were hardly bereft when Carlotta left –
カルロッタが去っても気にならない。
Otherwise, the chorus was entrancing, but the dancing was a lamentable mess!'
コーラスは魅力的だったが、踊りは嘆かわしいほどバラバラだった。」

FIRMIN:(フィルマン、自分宛ての手紙を読む。)
'Dear Firmin, just a brief reminder: my salary has not been paid.
「親愛なるフィルマン、ほんのお知らせだが、私の給料がまだ支払われていいない。
Send it care of the ghost, by return of post - P.T.O.:
幽霊宛てに郵送してほしい。裏に続く。
No-one likes a debtor, so it's better if my orders are obeyed!'
誰も借金は好きじゃないから、私の要求どおりにした方がいい。」

FIRMIN/ANDRÉ:(フィルマンとアンドレ)
Who would have the gall to send this?      Someone with a puerile brain!
こんな厚かましい手紙を送るのは誰だ?子供じみたやつだ!

FIRMIN: (フィルマン、2通の手紙を見て) 
These are both signed 'O.G.'...         2通とも O.G.とサインがある。

ANDRÉ:(アンドレ)
Who the hell is he?           一体彼は誰なんだ?

BOTH: (二人、すぐに気づいて)
Opera Ghost!     オペラ座の幽霊(怪人)だ!

FIRMIN: (フィルマン、興味なさげに)
It's really not amusing!       全く興味をそそるものじゃない!

ANDRÉ:(アンドレ)
Hle's abusing our position!       彼は私たちの立場を犯している。

FIRMIN:(フィルマン)
In addition, he wants money!       その上、給料まで要求している!

ANDRÉ:(アンドレ)
He's a funny sort of spectre...       幽霊にしては面白いやつだ。

BOTH:(二人)
…to expect a large retainer!       分け前を多く望むとは!
Nothing plainer - he is clearly quite insane!       何を言っているのか。彼は明らかにとんでもない気違いだ!

(シャニュイ子爵=ラウルが部屋に入って来る。彼はほんの少しの時間クリスティーンと離れた時に楽屋から姿を消した彼女の行方が気がかりで探している最中である。彼は自分に届いた手紙を手にしている。)

RAOUL:(ラウル)
Where is she?       彼女はどこだ?

ANDRÉ:(アンドレ)
You mean Carlotta?       カルロッタのことですか?

RAOUL:(ラウル)
I mean Miss Daaé - where is she?       ダーエさんだよ。どこにいる?

FIRMIN:(フィルマン)
Well, how should we know!       いやはや、知る由もありません。

RAOUL:(ラウル)
I want an answer - I take it that you sent me this note!       答えろ!お前たちがこの手紙を送ったんだな。

FIRMIN:(フィルマン)
What’s all this nonsense!       全くナンセンスです。

ANDRÉ:(アンドレ)
Of course not!       もちろん私たちじゃありません。

FIRMIN:(フィルマン)
Don't look at us!       私たちを見ないでください。

RAOUL:(ラウル)
She's not with you, then?       では、彼女はお前たちと一緒じゃないんだな。

FIRMIN:(フィルマン)
Of course not!       もちろん違います!

ANDRÉ:(アンドレ)
We're in the dark...       私たちも見当がつかないのです。

RAOUL:(ラウル)
Monsieur, don't argue - Isn't this the letter you wrote!       口論は止めよう。これはお前たちが書いた手紙じゃないんだな。

FIRMIN:(フィルマン)
And what is it that we're meant to have wrote? Written?       私たちが書いたとされる手紙はどんなものですか。
(※ここでフィルマンは興奮していたので文法上の間違いを犯す。written と言うべきところを wrote と言ってしまい、あわてて言い直したのがこの場面である。)

ANDRÉ:(アンドレ、ラウルに届いた手紙を見せてもらい読み上げる。)
'Do not fear for Miss Daaé. The Angel of Music has her under his wing.
「ダーエさんについては心配無用。音楽の天使が彼女を彼の翼で包んでいる。
Make no attempt to see her again:       彼女に会おうとしないほうが良い。」
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RAOUL:(ラウル)
If you didn't write it, who did?       お前たちがこれを書いていないとしたら、誰が書いたのだ?

(そこへカルロッタとピアンジが大そうな剣幕で支配人室へ入って来る。)


「オペラ座の怪人」第1幕 第7場

2021-07-27 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

舞台中央へと向かう階段が左右両側に配置されている。暗がりの中、両方向から十数名のバレリーナたちが、彼女たちの姿がようやく見える程度に明るいスポットライトを浴びながら落ち着かない様子で降りてくる。オーケストラピットと同じ高さに設置された舞台天井の渡り通路を大道具主任のブケが絞首刑に使う輪をしつらえたロープを持って下手から現れる。彼はバレリーナ達の上まで来ると、その輪を彼女たちの方へ垂らし声を出して脅す。

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"MAGICAL LASSO"

BUQUET:(ブケ)
Like yellow parchment is his skin…       彼の肌は黄色い羊皮の紙のようで
A great black hole served as the nose that never grew…       鼻は大きく黒い穴だった
You must be always on your guard, or he will catch you with his magical lasso!       常に気を付けていないと魔法の投げ縄に捕まるぞ

(と言ってブケはロープの輪を自分の首に掛ける。バレリーナ達は驚いて逃げ出す。すると、下手から渡り通路の上をブケの方へマダム・ジリーが近づいて忠告する。)

GIRY:(マダム・ジリー)
Those who speak of what they know find, too late, that prudent silence is wise.
知っていることを口に出す者は思慮深い沈黙が賢さだと後になって気づく
Joseph Buquet, hold your tongue - he will burn you with the heat of his eyes...
ジョゼフ・ブケ、口に気を付けないと彼に焼かれてしまうことになる
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マダム・ジリーの忠告を意に介さない様子のブケは、薄笑いの声を小さく出しながら上手へと通路を歩いて行く。舞台が暗くなり両側の階段が除かれ、第8場へと続く。