アオの国から~徒然日記~

TRPG&ゲーム感想・日々の感想・映画&アニメ&漫画感想・歴史(主に長宗我部関係)等、私的趣味の気の向くままに。

元親に関係する武将話(2)

2011-09-23 02:21:56 | 戦国

 さて、約一年ぶりの元親に関係する武将です。前回の佐竹氏に関係する方、独眼竜こと伊達政宗についてです。この方と元親が交流あったという史実を残す書物は全く伝わっていませんが、元親の孫を家康の命に背いてまで助けたという点で、何かしらの接点があったように思うのです。


「お主、齢八つにしては良い眼光をしている。…よし、気に入った。徳川(家康)には伝えよ。元親が孫はわしが預かった、手出し無用とな!!」
 大坂の陣の折、敗戦し逃亡を試みる者達の中で捕えられた三十代半ばの女とその息子。大坂方で参戦した長宗我部盛親の姉妹にして長宗我部元親の三女・阿古姫とその息子の佐竹仲次郎。夫・佐竹親直は盛親と共に出陣した八尾の戦いで討死し、いま大坂城も落城間近、一か八かの逃亡を企てるも伊達家の家臣に囚われて政宗の前へと引きずり出された。敗戦者の妻子は捕生きて捕えると家康の元に連れて行く事が命じられていたが、母子に面会した政宗は、仲次郎の臆することなく睨むように政宗を見返した仲次郎のその眼光に、幼いながらも只者ではないと感じ、家康に付きだすより保護することを選んだ…。やがて長じた仲次郎は、伊達家家老柴田家に養子入りし、家老として伊達家を支え続けた。

 そもそも、眼光が鋭かったとはいえ、八つの子供にいくら政宗とはいえ、そこまで感じることができるだろうか?

 これが私の一番の疑問でした。むしろ、その眼光に元親を重ねたのではないかとも思うのです。仲次郎と言うより、彼のルーツである元親をその瞳の奥に見て、保護したのではないかと。
 まあ…史実として政宗が恐らく出会った時期の元親は、信親を失って家中は割れ、土佐の為に秀吉にこれでもかと言わんばかりに尻尾を振っていて、四国統一に燃え信長や秀吉に真っ向から戦いを挑んだ最盛期の元親ではなかったはずなのですが。
 しかし、武田家の甲陽軍鑑にも『優れた武将なり』と記されている元親ですから、遠く離れた奥州でも元親の噂は耳に入っていたかと思います。政宗が豊臣政権下に入ったのは北条攻めの後なので、元親とあってもどこかくたびれた老人のような元親だったとは思います(言い過ぎ?)。でも、家や国を守る為に強大な相手にいつまでも意地を通すこともできない悔しさは政宗にも解かっていたと思う。
 それでも、政宗は秀吉と干戈を交えていない。元親は比べ物にもならないくらいの武装や兵力で秀吉に抵抗した。よく「抵抗しても二か月ももたなかったんだろ?」とか一部の方は馬鹿にしたように言いますが、逆に二か月も戦ったんだと言いたいのです。兵力差や物資を考えると戦わないに越したことはない。でも、誰にでも矜持はある。それまで自分が25年もかけて費やしてきた時間と失われた命、それらで得たモノをすべて放棄し差し出せ、と言われて「はい、そうですか」とは言えない。だからこそ、戦った。
 政宗が出会った頃の元親は、小さな老人であったとしても、その手や顔に刻まれた皺を見過ごすような政宗ではないと思う。後は、言ったと言われる宴会の席は政宗に出会う前と言う説が多いのですが、「天下を心掛けし候」の秀吉とのやり取りを聞いていたのではないか、その時に一瞬見せた表情がそれまでの小さな老人のそれではなく、戦国を生きてきた者としての眼光ではなかったのか?秀吉に尻尾を振りながら、どこか秀吉に対する怒りを持っていないのか?
 人の上に立つ者として、人を見る目は十分に備わってたはず。ならば元親の人となりを感じることもできていたのではないかと思う。

 そして…元親にとっても、政宗は自分より先に逝った二人の息子を思い起こさせたのではないか。政宗は元親次男・親和と同じ年。政宗の面差しは信親を思い起こさせたのではないか。親子ほどの年の差があるので、政宗の友人達(細川忠興とか)とはまた違った付き合いにはなったでしょうが、友人と言うより父子の側面を持っての親交があったのではないかなと。
 そうした親交があったからこそ、後年元親の娘と孫を見た時に、命令に背いてまで二人を守ろうとしたのではないかなぁと。地元では長宗我部家関係の書類はほとんど残っておらず、長宗我部家の歴史を知るには「元親記」や「土佐物語」といった物語物でしか確認できません。あとは「他家」に保管されていた実際に残っている史料のみ。山内家が土佐に入って来てから、ほとんどの長宗我部家に関する私的文書は破棄されたとみて間違いないでしょう。公的文書である長宗我部地検帳は土佐支配に役立てるためにしっかり利用していますけどね!!そういった理由で、破棄された私的文書の中には伊達政宗のみならず、親交があったとされる加藤清正や藤堂高虎との手紙もあったかもしれません。

 ああ、でも、元親と政宗は父子関係のような親交があって欲しいなと切に願います。政宗甘党っぽいから、ずんだ餅持って茶を飲みに来ていたりしたら嬉しいです(笑)。 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿