野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

山の思い出 過去編 2009年4月29日御正体山から石割山以西

2014年04月25日 | 山の思い出 過去編
(石割山から富士山)

前回に引き続き、過去編の更新です。
若干記憶が曖昧な所があり、記述に不明瞭な点があります。ご了承ください。


道志という公共交通機関で訪れるには大変不便なところに御正体山なる変わった名前の山がある。一応日本200名山とされているらしく、入っている人が多いようだが特に展望もなく登るには少々つまらない山とされているようだ。その御正体山から南に延びる尾根を辿ると富士山の展望で有名な石割山まで行くことができる。GWに歩く長めの日帰りルートにちょうど良いところなので一度行ってみることにした。

大月から富士急行線に乗ると白い富士山が見えてくる。富士山というのは意外にも4月・5月が最も雪が降るそうだ。御正体山は展望のない山と聞いているので石割山まで富士山はお預けである。都留市駅に着くとまだ7時を少し回ったくらい。バスは8時10分発なので一時間ほど待つ。都留市駅から道坂隧道行きは土日しかバス便がなく、しかも8時10分発は休日しかないという代物である。駅には構内にトイレがあり、また駅前にはコンビニではなく小さなスーパーがある。8時6分に着く河口湖行きの電車の到着を待ってバスが出発。座席が埋まる程度の混み具合である。バスに揺られること20分で御正体入口に到着。ここでは私を含め3人しか降りず、他の人は道坂(どうさか)峠から御正体山か今倉山へ登るのであろう。ここで降りた人の中にマラソンスタイルの人がいた。この山を走って登るのであろうか。とても真似はできない。もう一人の人も年季の入ったストックを持っていたのでかなりのベテランであろう。先に行ってもらうことにする。

(御正体山登山口)

登り始めは地形図にもあるように林道を進む。結構長い林道だが最初は植林の中なので日差しも遮られて涼しい中快適に歩ける。通行止めのゲートを過ぎると真新しい林道が続いている。この辺りになるとたいぶ木を切ったのか日にあぶられて辛いところである。砂防ダムを過ぎ林道が大きくカーヴするところから山道に入る。山道自体は以前に作られたものだろう、現在はその脇に真新しい林道を作っている途中のようである。ロープが張られた道を辿ると皮肉にも林道建設によって大きく切り開かれた展望地に出る。ちょうど道志の二十六夜山から今倉山、そして道坂峠を経て御正体山へと続く尾根が見える。道坂峠からの尾根は結構アップダウンがあって地形図で見るよりもきつそうな印象である。植林の道はやがて雑木林となり、林道を離れると傾斜が急になる。雰囲気は奥多摩にある鷹ノ巣山の稲村岩尾根に似ている。所々トラロープが垂れ下がっているが下り以外には必要ないだろう。きついと言いつつも山道に入ってから1時間10分ほどで池の平からの道との合流点に到着。ここで先行していた中年の男性が道を譲ってくれる。うーん、本当は後からのんびり付いていこうと思ったのだが…。合流点から少し行ったところが峰宮跡。ここからの富士山の眺めがよいとのことであったが、男性の話によるともう少し下がった所だというので、面倒になって先を急ぐことにする。峰宮跡から直ぐの岩場が抱付岩だったようだが、のんびり周りを見る余裕もなく見過ごしてしまった。岩場を過ぎると傾斜が緩くなりアップダウンを繰り返しながら山頂に向かう。やがてバイケイソウが目立ち始めると山頂まではほんの少しで到着。

(植林の中の林道)


(山道 当時は結構新しめだった)


(林道からの眺め 左は今倉山辺りだろうか?)


(新緑の道)


(芽吹きを迎える森)


(トラロープの下がる急坂)


(峰宮跡)


(山頂手前 いくらかバイケイソウがある)

御正体山(1681.6)は噂通り展望のない樹林に囲まれたピークである。まだ新緑にも早いのか木には葉も無く冬枯れの雰囲気である。一等三角点の脇に小さなお宮が建つ以外にはベンチと標識があるだけの地味な山頂である。私と男性の一番乗りかと思ったが初老の夫婦がベンチで昼食をとっていた。男性が声を掛けると池の平から来たとの答えが。やっぱり最短ルートは池の平からのようだ。お昼には早い時間だが朝が早かったのでここで簡単に昼食をとることにする。同行してきた男性は池の平に下りるか迷っているようで、私は石割山まで行くことを伝えてもまだ迷っている様子。その内道坂峠から初老の男性が一人上がってきたので独りで先に進むことにした。

(御正体山頂)

地形図通り最初は緩やかな道でバイケイソウが随分生えている。広い尾根を快調に下ると木に「注意」との張り紙が巻きつけてあり、斜面が急になる。バイケイソウもなくなり笹の生い茂るジグザグの急坂を下ると前から若い男性がやってくる。この後256の送電鉄塔まで人に出会わなかったので比較的人気のないルートと言えるかもしれない。紙の地形図だと1436のピークへ向かう道が分岐しているはずだが、道が真南を指しているので分岐は通過してしまったようだ。終始展望のない尾根だが少しだけ富士山を眺められる所もあった。緩やかに登り返すと前ノ岳(1471)である。ベンチと標識があるだけの展望のないピークで、山頂というよりは尾根の一部といった雰囲気である。前ノ岳を過ぎても傾斜は比較的緩やかで特に変化はない。木の葉がまだ茂っていないので尾根は明るい雰囲気だが、もう少し時期が進めばだいぶ鬱蒼としてくるのではないだろうか。傾斜がきつくなりヒイコラ登ると中ノ岳(1411)。ここもベンチと標識があるだけの地味なピークだが、ちょっとした小平地となっているのでグループで休憩するには良いところだろう。やや急な坂を下り鞍部を少し過ぎた辺りに道標が立っている。「鉄塔巡視路(外ヨリ林道)」とあるので西のほうにある林道からここまで登ってこられるようだ。山伏峠分岐までは20分とあるが結構厳しめの数字ではないだろうか。256の鉄塔を示す黄色いポールに励まされながら登り始めると下のほうでガザガザと音がする。何か獣か、と思ったが良く見ると人が登ってくるのが見える。さっきの林道から来たのだろうか。植林の道を緩やかに登ると右手が幼木となり明るい雰囲気になる。正面には鉄塔が見える。息を切らして鉄塔下まで上がると芝草の草原となっており、尾根を除いて大きく切り開かれている。

(石割山方面を行く)


(富士が眺められる所があった)


(前ノ岳)


(尾根は広い とても快適)


(ヤブレガサ)


(GW頃だとまだ冬枯れの雰囲気なのかもしれない)


(中ノ岳)


(落葉松の道)


(鉄塔巡視路分岐)


(鉄塔は近い)

256の鉄塔からは石割山の向こうに富士山の白い姿が見える。石割山から右に見える大きな山は杓子山と鹿留山のようだ。尾根通しは見通しが利かないが東側は丹沢の山々が見えている。のんびりしたいところだが風が強く寒いので早々に退散することにする。樹林帯を進むと直ぐに奥ノ岳(1371)に到着。ここも地味なピークだが山頂標識の向こうには樹林越しに中ノ岳と思しき山が見える。ここからは笹とバイケイソウが現れるようになり、山伏峠への分岐を過ぎると尾根が痩せ、崩壊地を進むようになる。かつてのエアリアではこの辺りは破線扱いになっていたようだが、確かに多少山の経験はあったほうが良さそうである。笹が生い茂るところは綺麗に刈り払いされているところもあれば道を覆い隠すほどに茂っているところもあり、藪が苦手な私にはきついところだ。ただ奥ノ岳までの道に比べると展望の良いところがいくつかあり、変化のある面白い道と言えるであろう。尾根が広くなると南側に三国山方面を広く見渡せるところがある。その先は大きなピークを巻くように道が付けられている。おそらく1446のピーク(日向峰)であろう。道標らしきものもいくつか見るのだがどれも朽ちていて現在地が今一つかめない。背丈ほどある笹薮を漕いで進むとバイケイソウが広がる道となる。ここからは笹も道を覆い隠すほどはうるさくならない。朽ちていない立派な道標を過ぎると富士山や御正体山が見えるようになり、急坂を登れば石割山である。

(256号鉄塔から 西面)


(東面)


(奥ノ岳)


(バイケイソウが増えてきた)


(山伏峠分岐)


(日向峰を巻く)


(所々笹薮が煩い)


(北側が開けた辺りだと思う)

 
(この辺りも尾根は広い)




(三国山稜を見渡す)


(山桜 咲き始め)

 
(藪に覆い尽される)


(バイケイソウの道)


(鹿留山だろうか?)

石割山(1413)は主に西側が大きく開けていて富士山が大きい。下には山中湖と大平山などが見える。また木を挟んで鹿留山も見える。流石にここまで来ると家族連れや軽装の人が多い。私の姿がちょっと場違いなくらいである。土が露出しているところを避けて富士山を眺める。雲が離れるのを待ったのだが1時を回っては難しいようである。名残惜しいがバスの時間もあるので下山に取り掛かることにする。石割山からの下りはかなり急で道も抉れているため、これまでの道の中でもかなり歩き難くなっている。先行する男性二人組みの内の一人が派手にコケていた。確かにそのツルツルの靴底では歩くのは大変であろう。急な坂を下りきってしまえば後は緩やかな尾根道である。富士山や山中湖を眺めながらののんびりハイキング。平野からの道も合流しておりザックすら持たない観光客の姿も目立つ。地形図には名前がないが古屋に下る分岐があるのが平尾山。ベンチと芝草の山頂は富士山と山中湖を眺めるには良いところである。最後のオニギリを食べていると次々と人がやってくるので先を急ぐ。



(石割山からの眺め)


(石割山から急な下り)


(緩やかな尾根道)


(平尾山手前でも展望が開ける)


(平尾山)




(平尾山からの眺め)

別荘地を眺めながら急階段を下り、大窪山へはハードル状の木段を上がる。ここにきての木段はかなりきつい。大窪山は標識のないピークで山中湖が見える程度。別荘地に近いせいかハンドバックを肩に掛けたオバチャンとすれ違う。御正体山辺りとは大違いである。大平山手前のピークを越えるとパラグライダー場になっており車も止まっている。大平山(1295.5)へ登ると山中湖が一望である。この山もパラグライダー場として利用されており吹流しが設置されている。ここも富士山がデカい。眼下にはホテルマウント富士も見える。あれを目指してあと二座登らなければならない。まずは飯盛山(いいもりやま)。山頂手前のハードル木段が恨めしい。ベンチがあるが傾いている。木段が腐った道を下ると今度は長池山(1178)。振り返ると飯盛山と大平山が見える。この辺はどこも似たような雰囲気である。エアリアだと長池山を越えた先が花の都公園への分岐になっているが、実際には長池山手前に分岐がある。整備中の木段を緩やかに下り、ハリモミ純林への分岐を過ぎると車道にぶつかる。

(別荘地を見下ろす)


(平尾山を振り返る)


(おそらく大窪山辺りからの眺めだろう)






(大平山からの眺め)


(大平山からの下り 周囲は開けている)


(飯盛山)


(長池山)

振り返るとクマ出没注意の黄色い看板が掛かっている。クマは流石にノーマークだった。鈴をジャンジャン鳴らして歩くほどではないような気はする。結構長い車道を下ると目の前が山中湖。初めて来たが大きな湖である。ボートの爆音が雰囲気をぶち壊しにしていたのが残念。5月間近だというのに白鳥が羽を休めている。こんなところでも飛来してくるのかと驚く。風が強く寒いが、湖の周りをのんびり歩くのもなかなか良いものである。ホテルマウント富士バス停に行く前にお土産を買いに行ったがGWだというのに空いている。やっぱり不況なのだろう。バス停からは富士吉田行きの路線バスのほか、山中湖の周遊バスと新宿・東京行きの高速バスがある。本数はそれぞれ同じくらい。ただ周遊バスについては、料金は路線バスと変わらないが、時間は倍くらい掛かると見込んでおいたほうが良いであろう。
 
(山中湖)


(白鳥)

コース:
7:34都留市駅(富士急山梨バス20分)8:30御正体入口(大平)~中河原橋~9:09林道終点~10:26峰宮跡~10:49御正体山~11:21前ノ岳~
11:41中ノ岳~12:04送電鉄塔~12:18石割山分岐~12:48日向峰の肩~13:08石割山~13:38平尾山~14:18大平山~14:37飯盛山~
14:53車道出合~15:11大出山入口~15:44ホテルマウント富士入口(富士急山梨バス18分)富士吉田駅

富士急山梨バス 都留市駅~御正体入口 (道坂隧道行き)

山中・登山口などにトイレはない

地形図 都留 御正体山 富士吉田 


現状はわかりませんが、本文中にもあるように当時は奥ノ岳から石割山までは背丈ほどの笹薮を抜けていく必要がありました。
藪のレベルとしては小金沢連嶺に比べると距離が短い分、楽なほうだと思います。
大平から御正体山へは標高差が大きく、体力的にはきつめ。御正体山から山伏峠分岐までの道のりもアップダウンが多く、やはり体力的にはきつめ。
御正体山から縦走してきた場合、石割山から平野へと下るのが一般的で、長池山まで縦走するのは時間的に厳しいと考えてください。

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