goo blog サービス終了のお知らせ 

昼行灯(だった)トキの大雑把なひとりごと

クレヨンしんちゃんよりもユルく生きていた(当面過去系)私の備忘録と、大雑把なひとりごと。時々細かく語ることも。

ふたたび『砂漠』

2006-12-28 22:11:19 | 読書
 書き忘れていたことがある。
 これまで読んだ伊坂作品では、問題の解決は非日常が担っていた事が多い。
 『砂漠』は、そうではない。事件(問題)自体がミステリに比べて小規模だということもあるが、本作で『非日常的な解決』にこだわる西嶋の役割は、そこにはない。むしろ彼のそういう「主義・主張」が、その意図とは異なる形で力を発揮する。仲間の力を借りて。
 また、非日常性を担うもう一人の南は、徹底して「明るくも控え目」な性格として描かれる。彼女もまた「自分だけ」では、問題解決をするキャラクターにはなれない。
 ならば本作ではどうなっているのか。この作品では、問題を起こすのも解決するのも彼ら自身だ。無論、意識的であれ無意識的であれ、つるんでいる仲間の影響、助け、励ましがあってのことだ。そこに、これまでのような「解決を非日常に委ねざるをえない」というペシミスティックな構図は見られない。
 それは、作者の大学生活を反映しているからなのか、作家としての構成の故か。
 いずれにせよ、そうでなければ面白くないのだ。そのストレートさだけは、変わらない。