焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (34) 『味噌ラーメン』 高校バスケの部活の帰り道。 厳寒の吹きすさぶ雪に耐えながら 「寒っ!」「足の裏冷てえ」「ああ、もう凍る」 「腹へったあ!」 などと言いながら、 皆で通りのラーメ . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (33) 『まち』 「おいっ、今からちょこっとまちまで行っか!」 子供の頃、よくそう言って爺ちゃんが僕を呼んだ。 「行く行く!爺ちゃんちょっと待っててよ!」と 慌てて僕は身支度をして飛び出したものだ。 . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (32) 『オーロラ見たっしょ』 高校2年の夏も終わりの頃だったと思う。 僕は友人3人と、地元の山奥にあるダム湖へ自転車で出かけた。 皆でダム湖の周りをあちこち探検しているうちに道に迷い、 山を降りる頃にはすっかり陽が落ちていた。 . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (31) 『ガリレオの焼き芋』 バイク旅の夜。 焚き火にあたりながら沸かしたてのコーヒーを飲んでいる。 森の木々の隙間には、いつものようにぽつんと浮かぶ月。 僕は弱くなってきた焚き火の火をトングでかき混ぜたあと、 残り一本と . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (30) 『あの日の老紳士』森の風景を眺めようと部屋の窓際に立った時、目の前の「丘の階段」のちょうど真ん中辺りを、一人の御老人が杖をつきながら降りて来るところだった。僕はその御老人のおぼつかない足元が少し気にもなり、しばらく窓際から見守っていた。すると、ふいに、御老人が顔を上げ僕の方を見た。僕と老人の目が合った。距離に . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (29) 『Nの流れ星 』 高校時代のこと。 バスケの部活の帰り道、メンバー3人で流れ星を見た。 北海道の広大な夜空をスーっと長い曲線を描くように 山のスキー場の方へ落ちて行った。 突然、Nが叫んだ。 . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (28) 『空の雪ソリ 』 好きだった。 じきに夜が明ける前の、蒼くて白い雪の街。 氷点下のしんとした住宅街。 一軒、一軒、ポストに新聞を入れて行く。 高校入学時から3年間続けていた朝の新聞配達。 そろそろ受験も迫り、辞める . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (27) 『10円玉10枚 』 僕の父は46歳で亡くなった。「まだ若いのにねぇ」葬儀の時に親戚などが そう言っているのを聞いて、当時まだ子供だった僕はピンと来なかった。 僕から見る父はそれなりに年取ったオジサンだった。 だけど今、僕がその年代になってみると46歳なんて本当にまだ若 . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (26) 『僕の小芝居と母の贈り物 』 以前、当時まだ4才だった息子がデパートでオモチャをせがみ、床に転がりダダをこね始めた。「ワアーンワアーン、買って!コレ買って!」「駄目よ!家に帰ったら似たオモチャがいっぱいあるでしょ!我慢しなさい」と妻。「ドウわーん!カッテカッテ!もうホントにこれで最後だからあー! 大事にするからー買って! . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (24) 『 大襲来の夜 』 今から10年ほど前の、熱帯夜真っ盛りの夏の夜。 突然リビングの方から女性の悲鳴が聞こえた。 「キヤぁっー!!」 妻の声だった。 んっ何事っ!? 僕は階段を駆け下りた。 そこに、 ビニール袋を持った(当時)小3の息子が . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (23) 『 江古田マーキーの雪男yukiotoko 』以前、学生街で知られる「江古田」という街のライブハウスに何度か出演した事があった。昔から弾き語りライブの老舗として名を馳せて来た店だ。ある日、僕の出演する日ではなかったが、暇だったのでふらっと店に立ち寄った。その日は4組のアマチュア・ミュージシャンがそれぞれ20分程の弾き語り . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (22) 『視線』 んっ? んーん、やはり。 さっきから、ずっとこっちを見てる。 しかし、知らない顔なんだよなぁ。 まだ見てる。君、誰だよ? 人違いじゃないのか? . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ (21) 『 場末のバーのお使い少年 』
僕が生まれ育ったのは、北海道の中央に位置する人口3万人ほどの小さな街だったが、 駅から少し離れた飲み屋街の一角で親戚の叔母がバーを営んでいた。 当時小学生だった僕は、時々お使いを頼まれその店によく行っていた。 いわゆる場末のバーの「お使い少年」だ。 母が . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ⑳ 『 お盆とおはぎと千葉の月 』あれは僕がまだ大学2年生のお盆の夜のことだった。(まぁ、季節外れな話だこと)その日、ホテルレストランでのアルバイトを夕方に終えた僕はそのまま、北海道の函館から千葉県に引っ越して来た親戚の家へ泊まりに出掛けた。新橋駅から電車を乗り継ぎ、東京に隣接する千葉県の千葉駅に着いた。そして千葉駅から親戚の家がある新興 . . . 本文を読む
焼き芋みたいな エッセイ・シリーズ⑱ 『古本に保存されたタイムスリップ』 先日、友人からこんな話を聞いた。 街の書店で古本を買い、 喫茶店でコーヒーを飲みながらその古本を読んでいたら、 ページの合間に古い領収書が挟まっていた。 それが偶然にも、 今座っている喫茶店のレシートだったので驚いたと。 その本の持ち主だったであろう . . . 本文を読む