星空Cafe

//satoshi.y

古本に保存されたタイムスリップ

2021年01月28日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ

    焼き芋みたいな
    エッセイ・シリーズ⑱
    『古本に保存されたタイムスリップ』


     先日、友人からこんな話を聞いた。

     街の書店で古本を買い、

     喫茶店でコーヒーを飲みながらその古本を読んでいたら、
     ページの合間に古い領収書が挟まっていた。
     それが偶然にも、

     今座っている喫茶店のレシートだったので驚いたと。

     その本の持ち主だったであろう人が、

     過去にここでコーヒーでも飲みながらこの本を読んでいた。

     そしてその人が売った本を、数年の時を経て友人が買い、
     たまたま同じ喫茶店で読んでいる。

     何か不思議な気がしたと。

                  

     そんな話を聞いた数日後のこと。
     僕は仕事帰りにブックオフに立ち寄り古本を買った。
     「ケインとアベル」だ。

     
     これは20代の頃に夢中になって読んだ小説で、
     この本がきっかけでジェフリー・アーチャーの大フアンになり、
     彼の小説を片っ端から読みあさったものだ。
     
     その夜、ベッドに横たわり、その古本をぱらぱらと捲ると、

     ページの間に一枚の領収書が挟まっていた。    
     2001年4月6日付けの、
東京駅地下スタバの領収書だった。

     僕の場合、友人のケースのように、

     偶然にも同じ店で読んでいたわけではないが、
     友人の話が頭に残っていたせいか、

     その領収書を思わずしげしげと眺めてしまった。

     20年前の4月6日に、この本の持ち主は、

     東京駅地下のスタバでアイスショートモカを飲みながら、
     この「ケインとアベル」を読んでいたのだろう。

     あの辺りだと八重洲のオフィス街に勤めていた人かな?
     それともこれから東京駅発の新幹線でどこかへ出張だった?
     その逆もあるなあ。何となく女性のような気もするけど。

     この人は現在,、何をしているんだろう。
     元気でいるのかな?
     そんなことをしばし、あれこれ想像してみた。

     2001年4月6日・・
     僕はと言えば、さて、どこで何をしてたんだろうな。





              星空Cafe、それじゃまた。
                  皆さん、お元気で!




                











最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゴールデンリング)
2021-01-29 17:45:05
ゴールデン・リングです。

こういう場面、確かにあるよね。共感します!
返信する
ゴールデン・リングさんへ (S.Y)
2021-01-29 19:08:31
むはは。共感って。貴殿から聞いた話でしたよ。笑
返信する

コメントを投稿