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私の考えてること。

私の唯一の取柄は、あなたを心から愛しているということ。

帰途/田村隆一

2014-11-20 01:03:10 | コトバ
言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで掃ってくる

夏の終わりの王国

2014-09-14 08:46:11 | コトバ
ニシノユキヒコの恋と冒険/川上弘美

私の大好きな本だ。
これは、西野幸彦というもてもて男を愛した10人の女性が、
それぞれの女性目線で西野のことを語る、連作集。
10人の女性、それぞれになんとなく共感できる。

高校生の頃、「おやすみ」が好きだった。
最近、「通天閣」と「しんしん」も好きだけど、
何よりも「夏の終わりの王国」が好きだ。





「ねえ、将来っていう言葉で思い浮かべるイメージって、何」
うーん、と西野くんはうなった。
「わたしはね、城壁、かな」
西野くんがうなってばかりで一向に答えないので、先に私が言ってみた。
「王国なんだ、そこは。いつも夏で、蝉が良く鳴いてて、高い城壁に囲まれていて、とても年とった王様がひっそりと治めている、そういう王国」
「でも、例と、その年とった王様とか、蝉とかと、どう結びつくの」
「そういう王国に住むと、幸せそうじゃない」



西野くんは、何人かの、わたしではない女の子と、平気でセックスした。真剣に西野くんを見つめていれば、そのくらいのことはわかるものだ。
でも、わたしはかまわず西野くんのことをたくさん愛した。
ただ、愛した。
愛されることは、ほんの少ししか望まないで(いくら私でも、ほんのぽっちりも愛されることを期待しないで誰かを愛することはできない)。







愛するってことは、愛するって決めること、
好きになるってことは、好きになるって決めることだと思う。
決意に近い気持ちだ。


愛すると決めたからには、愛しとおして見せるわ。

眠れないので

2013-06-18 01:29:34 | コトバ
徹夜続きで生活リズムが狂い、眠れないので

素敵なコトバを思い出します







君を自由に出来るのは
宇宙でただ1人だけ
君を不幸に出来るのは
宇宙でただ1人だけ
ーーースピッツ、8823

恋をしてたのは
僕の方だよ
ーーースピッツ、アパート

ハニー、ハニー
脱け殻の町で会おうよ
もうこれで無敵だ、
最後の恋
ーーーhoney,スピッツ

君に会えた
夏蜘蛛になった
ーーープール、スピッツ

消えないように
傷つけてあげるよ
ーーー猫になりたい、スピッツ

本当は切ない夜なのに
どうしてかしら?
あの人の笑顔も
思い出せないの
ーーーそばかす、JUDY&MARY

青い心を無くしながら
しがみつく日々を選んだ。
そして続きがあるのならば
今僕が演じるのさ
ーーー初恋に捧ぐ、初恋の嵐

SPITZの好きな歌詞

2013-06-03 23:11:12 | コトバ
「限りある未来を搾り取るとる日々から抜け出そう」と誘った。
――愛の言葉

「あなたのことを深く愛せるかしら?」
風に吹かれたきみの冷たい頬に触れてみた。小さなこと。
――冷たい頬

ハネた髪のまま飛び出した。今朝の夢の残り抱いて。
「届くはずない」とか、つぶやいてもまだ予想外の時を探してる。
――正夢

目覚めてすぐのコウモリが飛び始める夕暮れに、
ばれないように連れ出すから、鍵は開けておいてよ。
君の記憶の片隅に居座ることを今決めたから、
弱気なままの眼差しで夜が明けるまで見つめているよ。
――涙が☆(キラリ)

可愛い君が好きなもの、ちょっと老いぼれてるピアノ。
寂しい僕は地下室の、隅っこでうずくまるスパイダー。
――スパイダー

誰からも好かれて、片方じゃ避けられて。
前触れなく叫んで、変なとこでもらい泣き。
たまに少しクールで、元気ないときは眠いだけ。
ガラス玉のピアスキラキラ光らせて。
お茶濁す言葉で、周りを困らせて。
日に焼けた強い腕、根元だけ黒い髪。
憎たらしい笑顔、よくわからぬ手振り。
君と生きていくことを決めた。
――ナナへの気持ち

モノクロすすけた工場で
こっそり強く抱き合って
最後の雨が止むころに
本気で君を連れ出した。
――虹を越えて

消えた電球を今取り替えれば
明るく桃の唇
初めて色になる
――桃

胸高鳴る点と点
にわか雨冗談でしょ?!
真っ直ぐに君を見る。
斜めの風の中。(←雨だから。ウマイ!!)
昨日の朝飯も思い出せそうだし、
一緒にいようよ。
――点と点

ありふれた人生を探していた。
傷つきたくないから。
――ありふれた人生

愛しいあの子の笑顔で、楽しい時間になりそうさ。
いじめだらけの世界でも、どこかに光があるもんだ。
――ナンプラー日和

思い出せないのは君だけ。
君の声、目の感じ。
思い出したいのは君だけ。
ぼやけた優しい光。
――恋の始まり

喜び、悲しみ、心ゆがめても、
寒がりな二人を暖めて。
無邪気なままの熱で。
――スカーレット

柔らかな心を持った、初めて君と出会った。
唇をすり抜ける、くすぐったい言葉の
たとえ全てが嘘であっても、それで良いと。
分かち合うものは、何もないけど、
恋の喜びに、あふれてる。
偽りの海に、体ゆだねて、
恋の喜びに、あふれてる。
――フェイクファー

流れ星、流れ星。
すぐに消えちゃう君が好きで。
――流れ星

いつか、あなたには、全て打ち明けよう。
一人強くなるために、壊れたボートで一人、コイで行く。
――愛のしるし

「心のひだに挟んだ傷は、隠さなくてもいい」と。
消えかけた傷かきむしるほど、愚かな恋に溺れたら
何にも知らないお前と触れてるだけのキスをする。
それだけで話は終わる。解けて流れてく。
――俺のすべて

明かりを消したまま話を続けたら
ガラスの向こう側で、星が1つ消えた。
空回りしながら通りを駆け抜けて、
砕けるその時は、君の名前だけ呼ぶよ。
猫になりたい。君の腕の中。
寂しい夜が終わるまで、ここに居たいよ。
――猫になりたい

困らせたのは、君のこと。
なぜか眩しく、思えてさ。

寒い都会に降りても
めぐる風によろけても
変わらず夏の、花のままでいて。
――Sunshine

ある本の、好きな一節

2013-05-25 00:06:06 | コトバ
姉が妙だった。
「ユリエちゃん、なんだかへんじゃない」と聞くと、
「そうなの」と姉は答える。
「あたしね、恋してるみたい」
そんなふうにいって、十二回もため息をつく。
恋か。恋であるか。
そこらじゅうが恋または愛またはそれに類するものに満ちあふれている。

―――『いとしい』川上弘美より


半分 愛してください
のこりの半分で
だまって海を 見ていたいのです

半分 愛してください
のこりの半分で
人生を考えてみたいのです

―――寺山修二『少女詩歌集』「半分」


「ひとつ忠告していいかな、俺から」
「いいですよ」
「自分に同情するな」と彼は言った。
「自分に同情するのは、下劣な人間のやることだ」

―――村上春樹「ノルウェイの森」


ふと、病気になりたく思う。
うんと重い病気になって、汗を滝のように流して細く痩せたら、
私も、すっきり、清浄になれるかも知れない。

―――太宰治「女生徒」