◇中世§111.中世・近世歌謡史の覚え方◇C
[ゴロ]人形浄瑠璃は/恋う歌(こううた)の/流ぎだよう節
(人形浄瑠璃(じようるり))(小歌(こうた))(隆達節(りゅうたつぶし)・義太夫節(ぎだゆうぶし))
[句意]人形浄瑠璃は人を恋う歌の流儀、すなわち恋唄からの流れの芸能だよう、という句の末尾に勢いで「節」をつけたもの。
[point]
1.中世から近世の歌謡は、小歌→隆達節→義太夫節と変遷し、義太夫節に合わせる人形浄瑠璃公演がおこなわれた。
[解説]
1.小歌は、流行歌などの小歌曲。室町時代から広く流行。恋の歌が多い。小歌の歌謡集に『閑吟集(かんぎんしゅう)』(1518成立)があり、小歌を中心に310余首を収録している。当時の庶民生活を知る好資料でもある。
2.隆達節(隆達小歌)は、堺の商人高三隆達(たかさぶりゅうたつ)(1527~1611)が三味線(しゃみせん)(琉球の蛇皮線(じやびせん)を改良したもの)の伴奏でが節付(ふしづ)した小歌節(こうたぶし)。
3.浄瑠璃は、室町中期、座頭(ざとう)(僧形の盲人のこと)が語るように歌った物語的音楽。のち江戸元禄期の竹本義太夫(たけもとぎだゆう)(1651~1714)が義太夫節として完成し、盛んになる。人形浄瑠璃はその浄瑠璃に合わせて人形を操る日本独特の芸能。竹本義太夫は1684年大坂に竹本座を開き、近松門左衛門の作品を口演し全盛を迎える。
4.なお、常磐津節(ときわづぶし)・清元節(きよもとぶし)・新内節(しんないぶし)は義太夫節から派生。また明治以降の人形浄瑠璃公演は文楽座(ぶんらくざ)が中心になったため文楽(ぶんらく)と呼ばれる。
〈2019早稲田大・文2/17:「
問7.下線e(室町時代には……)庶民に好まれる芸能が多く見られてくるに関連して述べた文のうち誤っているものはどれか。1つ選べ。
ア.狂言は風刺性が強く庶民にもてはやされた。
イ.絵入りの御伽草子が人気を博した。
ウ.小歌の歌集である『閑吟集』が編集された。
エ.宗祇が正風連歌を確立した。
オ.山崎宗鑑が『菟玖波集』を撰した。」
________________
(答:問7オ× ※菟玖波集→犬筑波集)〉
〈2019同志社大・グロコミュ法2/8:「
(元禄文化は……)。あるいはまた、( ク )は、浄瑠璃作者として竹本義太夫のために作品を書く一方で、坂田藤十郎のために歌舞伎脚本も書き、時代物・世話物を通じて、義理人情の葛藤を細やかに描いた。」
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(答:ク近松門左衛門)〉
〈2018立教大・文2/11:「
3.庶民の嗜好が、芸能の繁栄につながることもある。室町時代に民衆に好まれた芸能として、曲舞の流派である( へ )舞や、その他に古浄瑠璃・小歌があった。このうち小歌の歌集として編集されたのが『( ト )』である。」
________________
(答:ヘ幸若、ト閑吟集)〉
〈2017同志社大・済文2/6:「
人間五十年化天の内を比ぶれば、夢幻のごとくなり。
一度生を受け滅せぬ者の有るべきか。
是を菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりし次第ぞ
上記は織田信長が好んだ「敦盛」の一節、( ク )と称される舞の曲の歌詞である。( ク )は越前国の舞踏集団の舞である。室町時代には民衆の地位が向上し、庶民が参加して楽しむ庶民芸能がひろがった。( ク )や江戸時代に登場する義太夫節の源流である( さ )が人々に愛好された。また小歌、宴曲、童謡などを収め永正15年(1518)に成立した( し )は庶民生活の様子を知るための好資料であり、「何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へふの一節はよく知られている。その他、『一寸法師』や『浦島太郎』のような( す )も、室町時代の庶民に親しまれたものである。
【設問ク】空欄( ク )に相応しい語を漢字で記せ。
【設問ケ】空欄( さ )~( す )に相応しい語を下記の語群から1つ選べ。
1『菟玖波集』 2『閑吟集』
3説話集 4御伽草子
5『往生伝』 6『節用集』
7古浄瑠璃 8生世話物」
________________
(答:問ク幸若舞、問ケさ7、し2、す4)〉
〈2016関西学院大・全学部2/2:「
問4 次の文章a・bをよく読み、各々の正誤を判定し〇×で示せ(問題形式変更…東海林)。
a 平安時代になると仏は神の化身であるとする本地垂迹思想が広まった。この思想を反映する美術作品で早いものとしては、薬師寺僧形八幡神像がある。
b 院政期には後白河上皇によって、民間の流行歌である今様を収録した『閑吟集』が編まれた。」
________________
(答:a×神が仏の化身であるが正しい、b×今様ではなく小歌を収録)〉
〈2014同志社大・文:「
また、琉球渡来の蛇皮線を改良した三味線を伴奏楽器にして、操り人形を動かす人形浄瑠璃も流行した。これは室町時代に語り物の1つとして生まれ、元来、琵琶などによって伴奏されていた浄瑠璃節と、古代以来行なわれていた芸能の1つである人形繰りとが結合したもので、この時期、三味線を導入したことによって大いに広まった。k堺の商人が小歌に節づけをしたものも民衆に人気があり、盆踊りなども各地で盛んに行なわれた。
【設問k】この商人の名前は何というか。漢宇で記せ。」
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(答:高三隆達)〉
〈2014明治大・農:「
問10 下線部(キ)都市や村の祭礼、芸能、住宅建築などで現在の日本の生活様式に直接つながる文化に関連して、当時の庶民の間では、盆踊りや幸若舞・古浄瑠璃や小歌などが愛好されたが、1518年に編集されたといわれる小歌の歌集を何というか。下記から最も適切なものを一つ選べ。
A大筑波集 B御伽草子
C閑吟集 D新撰菟玖波集
E節用集
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(答:C)〉
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