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『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『第四の手』 ジョン・アーヴィング

2011-11-13 | Books(本):愛すべき活字
『第四の手』ジョン・アーヴィング(米:1942-)小高高義訳"The Fourth Hand"by John Winslow Irving(2001)2002年・新潮社2009年・新潮文庫【ちょっちゅネタバレ】++++新幹線が東京へ着きそうになった頃、車内の女生徒のグループと引率の教師が彼に気づいたようだった。額を集めて相談というところらしい。思いきって誰か一人を使者に立て、ライオン男のサインをも . . . 本文を読む
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『ダンス・ダンス・ダンス』 村上春樹

2011-10-27 | Books(本):愛すべき活字
『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹(日:1949-)1988年・講談社1991年・講談社文庫++++「そりゃそうだよ。僕も昔は君と同じくらい熱心にロックを聞いてたんだ」と僕は言った。「君と同じくらいの歳のころにさ。毎日ラジオにしがみついて、小遣いを貯めてレコードを買った。ロックンロール。世の中にこれくらい素晴らしいものはないと思ってた。聴いているだけで幸せだった」「今はどうなの?」「今でも聴いてい . . . 本文を読む
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『そうざい料理帖 巻二』 池波正太郎

2011-10-10 | Books(本):愛すべき活字
『そうざい料理帖 巻二』池波正太郎(日:1923-1990)2004・平凡社2011・平凡社ライブラリー++++私が、はじめて入った資生堂パーラーの二階の席へ坐ったとき、白の制服に身をかためた少年給仕が来て、注文をきいた。この少年が、山田君だった。二人は、共に小学校を出て、すぐさま、はたらきに出た身であることを、目と目を見かわしたとたんに確認した。二人とも、もう顔へニキビが出はじめていた。私が注文 . . . 本文を読む
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『希望の大地 パタゴニア』 藤井正夫

2011-10-02 | Books(本):愛すべき活字
『希望の大地 パタゴニア』藤井正夫(日:1937-)1996年・丸善ブックス++++一五三五年のインカ帝国征服後、マゼラン海峡を通って本国に財宝を運ぶスペイン船が増え、南大西洋は財宝船を狙うイギリス、オランダ、フランスなど多くの海賊船や私掠船が跳梁(ちょうりょう)する場となった。なかでも著名な人物はカリブ海で名を馳せ、最後は世界周航を果たしてナイトに序爵されて「女王陛下の海賊」と呼ばれたサー・フラ . . . 本文を読む
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『長い終わりが始まる』 山崎ナオコーラ

2011-10-01 | Books(本):愛すべき活字
『長い終わりが始まる』山崎ナオコーラ(日:1978-)2008年・講談社++++貴重な男友だちも、四年で縁が切れた。芸術的共感は愛情には繋がらない。演奏が終わると、みんなに揶揄されながら離れ離れに。趣味のオーケストラの中でだけ親密だった関係は、金を稼いで生活するようになれば、気色の悪い思い出にかわっていくのだろう。++++ビックリするくらい肌に合わない小説だ。冒頭、主人公が渋谷の街を歩くシーンから . . . 本文を読む
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『少年』 ロアルド・ダール

2011-09-28 | Books(本):愛すべき活字
『少年』ロアルド・ダール(英:1916-1990)永井淳訳”Boy  Tales of Childhood” by Roald Dahl (1984)1989年・早川書房2000年・ハヤカワ・ミステリ文庫++++わたしが十二歳のとき、母がこういった。「きょうマールバラとレプトンにあなたの入学を申し込んだわ。あなたはどっちに入りたい」両方とも有名なパブリック・スクー . . . 本文を読む
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『ディビザデロ通り』 マイケル・オンダーチェ

2011-09-17 | Books(本):愛すべき活字
『ディビザデロ通り』マイケル・オンダーチェ(加・1943-)村松潔 訳2009年・新潮クレスト・ブックス"Divisadero" by Micheal Ondaatje (2007)++++猫背でがっちりした体格のドーンは、シエラ・ネヴァダ出の男たちのなかで、いちばん冷静なカード・プレイヤーだった。彼の説によれば、毎日二時間ハンドボールをやれば、飲酒やコカインや毎晩長時間煙草の煙のなかに坐っている . . . 本文を読む
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『ジャズ・カントリー』 ナット・ヘントフ

2011-09-14 | Books(本):愛すべき活字
『ジャズ・カントリー』ナット・ヘントフ(米:1925-)木島始 訳"Jazz Country" by Nat Hentoff (1964)1997年・晶文社(ベスト版)++++ 「ダニー、きみ、ほんとにぼくにトランペットの可能性があるって思うかい?」「ぼくひとりでそんなのにピシリと答えられるくらいなら、いまよりずっとぼくは晴ればれした感じだろうな。どこかから、だれかから指示(サイン)が欲しいなん . . . 本文を読む
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『いのちのパレード』 恩田 陸

2011-07-18 | Books(本):愛すべき活字
『いのちのパレード』恩田陸(日:1964-)2007年・実業之日本社2010年・実業之日本社文庫++++母親の話によると、物心ついた頃から、納屋の前を通る度に彼はそうしていたらしい。てっきり納屋が怖いのかと思い、彼がひどい悪戯をした時に懲罰として納屋に閉じ込めたことがあったが、嫌がったり怖がったりするでもなく、納屋の中ですうすう眠っていたので首をひねったという。親は不思議がっていたものの、その一件 . . . 本文を読む
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『モデル・ビヘイヴィア』 ジェイ・マキナニー

2011-07-16 | Books(本):愛すべき活字
『モデル・ビヘイヴィア』ジェイ・マキナニー(米:1955-)金原瑞人訳”Model Behaviour” by Jay McInerney(1998)1999年・アーティストハウス++++パラスは、映画スターの恋人にふさわしい高慢そうな物腰で、ぶらぶらとテーブルにもどる。椅子に座ると、崇拝者たちの執拗なまなざしにつかまらないように、周囲などきにしていないふりをして店内を見回 . . . 本文を読む
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『分福茶釜』 細野晴臣

2011-07-16 | Books(本):愛すべき活字
『細野晴臣 分福茶釜』細野晴臣(日:1947-)聞き手:鈴木惣一郎2008年・平凡社2011年・平凡社ライブラリー++++いやなんだよ、あの体勢が。今、そういう歌を書こうと思ってるんだけどね。「背中がかゆい」って。動物はみな掻いてもらえないから、木にこすってるでしょ。あの状態に近いね。動物も体は洗わない。ぼくのお手本は動物なんだよ。だから理想的な排便は、紙もウォシュレットも使わないことなの。拭く必 . . . 本文を読む
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『小津安二郎 美食三昧 関東編』 貴田 庄

2011-06-19 | Books(本):愛すべき活字
『小津安二郎 美食三昧 関東編』貴田 庄(日:1947-)2011年・朝日文庫++++お土産を希望する人には、二千円から、気の利いた朱色の缶に入れてもらい、おでんの持ち帰りができる。また、おでんや焼き魚などの千円の定食コースもある。その他に、懐具合の温かい人には、刺身やコノワタなどの小料理屋のメニューも用意されているので、酒飲みの人は、お多幸で、まさしく至福の時間を過ごせる。店内は清潔で、働いてい . . . 本文を読む
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『リトル・シスター』 レイモンド・チャンドラー

2011-06-12 | Books(本):愛すべき活字
『リトル・シスター』レイモンド・チャンドラー(米:1888-1959)村上春樹訳"The Little Sister" by Raymond Chandler (1949)2010年・早川書房++++ドクター・ラガーディーはまた親指の血の玉を舐めた。私はじっと彼を見ていた。しかしどれだけ見ても、彼の正体は見抜けなかった。物静かで、暗く、打ちのめされているように見えた。人生のすべての悲惨さがその目に . . . 本文を読む
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『ヌレエフの犬』 エルケ・ハイデンライヒ / ミヒャエル・ゾーヴァ

2011-03-06 | Books(本):愛すべき活字
『ヌレエフの犬 あるいは憧れの力』エルケ・ハイデンライヒ(独:1943-) 作ミヒャエル・ゾーヴァ(独:1945-) 絵三浦美紀子 訳”Nurejews Hund oder Was Sehnsucht vermag” by Elke Heidenreich(2002) , Michael Sowa(2005)2005年・三修社++++「醜い犬だ。」カポーティは言った。「連れ . . . 本文を読む
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『夜想曲集』 カズオ・イシグロ

2011-03-05 | Books(本):愛すべき活字
『夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』”Nocturnes  Five Stories of Music and Nightfall” by Kazuo Ishiguro(2009)カズオ・イシグロ(英:1954-)土屋政雄 訳2009年・早川書房2011年・ハヤカワ文庫++++肝心のあの若いハンガリー人マエストロのことも、今日広場で見かけるまではずっと忘れ . . . 本文を読む
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