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ノロウイルスは変異しているからこんなに流行したのか?

2006-12-11 18:20:38 | 小児科医

最近の報告から。。。

ノロウイルス。

今年すごく流行していますが、どうしてなんでしょうか?

IASRより。。。。

英国からの報告で以下のような物があります。。

ノロウイルスの新しい変異株の出現-英国

(Vol.27 p 239-239:2006年9月号)

健康保護局(HPA)感染症センターのウイルスレファレンス部門(VRD)は最近、ノロウイルスgenogroup II.4(GGII.4)の新しい変異株[Bristol/1993/UK(Grimsby)]による集団発生が増加していることを報告した。同じ遺伝子型で別の株であるFarmington Hills株やHunter 284株(2005年末までは最も多かった)と比較して、ウイルスのキャプシド領域で保存されているアミノ酸の変化が認められた。この新しい変異株は2005年12月に初めて検出された。2006年4月と5月では、本変異株として確認されたGGII.4の割合は、それぞれ27/93 (29%)、36/63 (57%)であった。本株はオランダ、フランス、デンマークからも報告されている。最近数週間、英国のメディアとヨーロッパの他の国で、クルーズ船での集団発生が数件報告されているが、これらのうちの2件で検出された株は、本変異株であることが確認されている。

現在、HPAの環境・腸管疾患部門(EEDD)とVRDは、このような集団発生について、疫学的おび微生物学的情報の検討を行っている。このような集団発生をより詳細に調査するために、2005年と2006年のデータを入手すべく、通知が出された。調査の目的は、本変異株と他の変異株によって生じる集団発生について比較することである。通常、ノロウイルスの流行は夏季までには減少するので、本変異株の示す季節的パターンは珍しい。過去に通常と異なる季節的パターンが生じたときには、新しい株が出現しており、今後、この新しい変異株が集団発生を起こす株として多くなるのか否かにつき、さらなる調査が必要である。

(HPA, CDR Weekly, 16, No.25, 2006)

また千葉衛生研究所からもこんな報告があります。

千葉県におけるノロウイルスGII/4の遺伝子変異

(Vol.26 p 327-327)

ノロウイルス(NV)は、2つのgenogroup(GI、GII)に大別され、それらはさらに33の遺伝子型に分類されるが、患者から検出されるNVの多くはGIIである1)。なかでも、Bristol virusに代表されるGII/4遺伝子型は、世界的な流行を引き起こし、医療・社会福祉施設における集団発生で検出される主要な遺伝子型として知られている。近年GII/4の変異株の検出と変異株による胃腸炎事例の増加がEUの研究グループにより報告された2,3)。本報では、千葉県で検出されたGII/4遺伝子型関連事例における検出株の遺伝子変化について報告する。

千葉県では1999年秋~2005年春までの間、GII/4はすべてのシーズンで検出されて、最近では学校・病院・介護福祉施設等での集団胃腸炎事例でも多く検出されている。この間に検出されたGII/4株のキャプシド蛋白をコードするORF2を解析した結果、標準株を含め5つのサブタイプが認められた1)(GII/4a~GII/4e;図1)。そのうち、2002/03シーズン以降に検出された2つのグループ(GII/4d、/4e)では高度可変領域(P2領域)に1アミノ酸の挿入が認められ、P2領域を中心としてアミノ酸変異の蓄積が認められ、抗原性に影響を与えている可能性も示唆された1)。

EUの研究グループによって報告されたRNAポリメラーゼ(RdRp)領域での変異について解析を実施したところ、2002年以前に検出された株と異なり、2002~2004シーズンの株では2002年型と呼ばれる "AATCTG"の配列を持つ株が認められ、さらに2004/05シーズンでは2004年型といわれる特徴をもった株も検出され、EUの研究グループによる報告と一致した。しかしながら千葉県では、2004年型以外にSaitamaU1株4)に近い別の特徴をもった株も検出されており、複数のRdRpタイプをもつGII/4株が混在していた。このシーズンのRdRp領域の主流株は2004年型ではなく、SaitamaU1型であった。

本解析で、GII/4遺伝子型に年次的な遺伝子レベルの変化が生じていることが明らかになった。しかしながらGII/4関連事例の増加と遺伝子変化との間の関係や抗原性の変化は不明であり、今後さらなる解析が必要と思われる。

 文 献
1) Okada et al., J Clin Microbiol 43: 4391-4401, 2005
2) Lopman et al., Lancet 363: 682-688, 2004
3) Kroneman et al., Eurosurveillance Weekly 2004 (52):23/12/2004 [ http://www.eurosurveillance.org/ew/2004/041223.asp#1]
4) Katayama et al., Virology 299: 225-239, 2002

ということは。。現在日本でこんなに流行しているノロも変異株って?

多分予研とか各保健所などでは検討中なのであろう。。

アミノ酸が変化してしまうって事は抗体、つまり今まで感染の既往がある方も

今回のノロには無防備だって事なんじゃないかと。。

これは新型インフルの考えと同様に考えていいのかと。。 

本当に恐ろしいことである。。。

 

これは人類への自然界からの逆襲かもしれない。。

ようするに人間は自然に逆らってはいけない。

自然とともに暮らしていく人類。

 

もっと視点を広げて、この世の中を見ていきたいものである。

 

 

 

 

 

 

 

そうそう。。。

 

この時期、生ガキは食べてはいけないのである。。美味いけど。。

コメント (24)
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