JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
 猫小説とか色々書いています。
 

聖闘士学園へようこそ・番外編 5

2007-07-21 04:00:20 | ノンジャンル
 阿部、井上、植田、江藤、小野田は部屋に潜み、タバコをふかしていた。
 阿部たちはこの学園へ転校させられる前は「白金学園」という私立校に通っていた。
 学園内でも地元でも悪で通っていた。
 阿部の父親は暴力団の組長であった。
 誰も阿部と阿部の取り巻きに逆らうものはいなかった。
 だが、時期外れの転入生は違った。
 その転校生は金髪碧眼で、上流階級の家庭の息子に見えた。
 カツ上げをしようとしたら、あっさりと無視された。
 殴りかかったら軽く躱され、逆襲された。
 その端正な容貌に似合わず凶暴な転校生であった。
 阿部は転校生のあまりの生意気さに肚を立てた。
 組員に命じて拉致しようとさえ思った。
 だが、学生同士のいざこざに組員を使ったのでは、周囲のものに示しがつかないと、思いとどまっていた。
 どうしてくれようと思っている間に、今度は学校にフラリとやってきた人相の悪い男に、取り巻き全員が殴り倒された。
 こう立て続けに、転校生や通りすがりの男にコケにされたのでは高向の生徒に舐められると、自ら出向き阿部はその男の強さに舌を巻いた。
 あまりの強さにあの生意気な転校生を痛い目に合わせてくれるよう依頼し、10万を渡し、転校生を体育館裏に連れてくるよう、仲間に命じた。
 そのとき阿部は、男とあの転校生が知り合いだとは知らなかった。
 二人は顔を合わせ、言葉を交わしたと思ったらたちまち殴り合いの喧嘩を始めた。
 人間離れした動きに呆然としていた阿部たちを、突然沸き起こった突風が体育館に叩きつけ、阿部たちは意識を失った。
 気がついたときには警察に囲まれていた。
 この惨状の元凶の二人は消え失せていた。
 阿部たちは警察に連行された。
 体育館と隣接する雑木林の殆どを吹きい飛ばしたのは、阿部たちが爆弾を作っていたからと警察は判断したらしかった。
 周囲の破壊があまりにも激しかったからだ。
 阿部たちは見たまま、体験したままを警察に訴えたが無駄だった。
 生身の人間にどうやって体育館をフッ飛ばし、雑木林の殆どを薙ぎ倒せるのかと、警察官は嗤った。
 面会に来た父親には、薬でもやっていたのかと罵倒された。
 だが、阿部たちは証拠不十分で釈放された。
 現場に火薬の反応がなかったからだ。
 警察官の言うとおり、生身の人間にはあの状況は作り出せないからだ。
 警察署を出た阿部たちに待っていたのは退学処分と新たな学校への転入の命であった。
 いかな阿部でも、父には逆らえない。
 阿部の仲間もまとめて全寮制だという「聖闘士学園」に放り込まれた。
 だが、阿部は楽観していた。
 寮など抜け出せばよいと思っていた。
 だが、ヘリコプターで到着したのは富士の樹海のほぼ中央に建設された鉄筋の建物であった。
 これでは寮を抜け出すどころではない。
 敷地から出れば、たちまち路を失い、樹海で野垂れ死ぬことにもなりかねない。
 
「つづく」

 なんか、長いなー。
 でも次は一輝も氷河も出て来ますッgood

聖闘士学園へようこそ・番外編4

2007-07-19 03:16:27 | プチ・原稿
「あと、何人だ」
 暗黒・アンドロメダは部屋でタバコをふかしていた生徒を食堂に蹴りいれ、瞬に声をかけた。
「17人」
 瞬が目の前の光景に戸惑いながら口を開いた。
 今では、やはり寮のあちこちに潜む生徒を食堂に追い立てた暗黒・ペガサスが腕相撲に加わり、星矢と負かす生徒の数を競い合っている。
「スワンとドラゴンは?」
 腕を押さえテーブルにうつ伏せる者、星矢に負けペガサスに向かっていく者、またその逆の者を見ながらアンドロメダが口を開いた。
「まだ、寮中をまわってくれてる」
 もう、寮会議などどうでも良い、早く入浴し宿題に取り掛かりたいと思いながら瞬が応えた。
「まったく、あちこちに…」
 アンドロメダは舌打ちし、食堂を出た。

聖闘士学園へようこそ・番外編 3

2007-07-17 23:32:40 | プチ・原稿
 瞬は目の前の光景に溜息をつき、柔らかな髪を掻き上げた。
 城戸沙織がグラード財団のコネと莫大な財力を注ぎこみ学園を建設し、学業年齢の聖闘士たちを強引に入学させ、ついでに全国の不良・不登校学生たちを次々と入学させ始めた。
 ナイフや警棒などで教師を威嚇し、無断で親の車を乗り回し少女の輪姦に勤しむ凶悪な学生たちを、だ。
 もっとも、校内暴力など聖闘士にかかればなんでもない、素手で断崖をも打ち砕くのが聖闘士だからだ。
 但し。
 校内の備品及び建築物を破損させることは厳に城戸沙織に禁じられていた。
 星矢たちはともかく、瞬は学校の備品に傷一つつけたことはない。
 学校生活は順調に送れていた。
 その瞬までも、強引にこの富士の樹海に囲まれた学園に転校させられた。
 だが、この学園にはあれほど学校生活などバカバカしくて送れるかとのたまっていた一輝がいた。
 兄がいるのなら天国も地獄と瞬は上機嫌になったが、華奢な外見の瞬は苛めの対象になった。
 女が混ざっている、などという軽口から始まって色素の薄い髪を黒く染めろ、挙句の果てには複数の生徒に押さえ込まれ髪を切られそうになった。
 だが、その場にいた生徒たちはたまたま間近にいた一輝に叩きのめされ、以来それらの苛めはパタリと止んだ。
 城戸一輝。
 城戸瞬。
 外見はまったく似ていない二人が兄弟だということはすぐに知れ渡ったからだ。

 第1回寮会議。

「聖闘士学園」と命名された学園には全国津々浦々から両親・学校では手に負えない学生が揃っている。
 学園・寮建設に当たり、一応。城戸沙織は全国の学校をリサーチし、建築士たちと話し合い、建設に当たった。
 だが、何か過不足があれば全員の意見を聞き、レポートを提出するようにと理事長である沙織から命が下った。
 議長には瞬が当たる事になった。
 なんといっても瞬は一輝の弟だと周囲に知れ渡っている。
 それに、マイペースの氷河や星矢が議長では纏まるものも纏まらなくなる、紫龍は書記。
 しばらく待っていて紫龍が生徒たちを迎えに出た。
 沙織の命は「生徒全員の意見を聞くこと」だからだ。
 だが、何十人という生徒を相手に紫龍一人では時間がかかり過ぎると星矢がエスケープした生徒たちを探しに食堂を出て行った。
 そうこうしている間に、いやいやその場に集まっていた生徒たちから苦情が出始めた。
 生徒たちの不満が高潮に達したところで一輝と一緒に入学してきた暗黒聖闘士たちが睨みを効かせながらエスケープ狩りに食堂を出て行った。
 だが、一度噴出した不満はそうそう収まらない。
 そこに髪を金色に染めた男を肩に担ぎ星矢が帰ってきて生徒たちを説得した。
「ここを出たければオレを倒してからにしろ」と、腕をまくって見せた。
 以来、食堂は腕立て伏せ大会の会場に変貌してしまっている。

「続く」

聖闘士学園へようこそ・番外編2

2007-07-15 04:31:51 | プチ・原稿
「なにをしておると聞いている」
 一輝は腕立て伏せを続けている氷河の背中を踏みつけた。
「くッ」
 一輝に背に乗られ、氷河は呻いた。
「なんだ、氷河? もう降参か」
 氷河の背に乗ったまま一輝が口元を歪めた。
「うるさい、だが、靴ぐらいは脱いだらどうだ」
 氷河は一輝を背に乗せたまま、腕立て伏せを続けた。
「オレはお前の体力作りを手伝ってやっているのだ、贅沢をいうな」
 腕立て伏せを続けながら、氷河は口を開いた。
 腕を震わせる氷河を見て、一輝が唇の端を吊り上げた。氷河はもうかれこれ2時間以上、バカの一つ覚えのように腕立て伏せを続けている。
「誰が頼んだ」
 切の良い数で腕立て伏せはやめようと思っていたのだ。そのやめようと思っていた直前に現れたバカに背に乗られての腕立て伏せに、氷河の筋肉が悲鳴を上げている。陰険な一輝のことだからそれを見越してわざと背中に乗っているのだ。
「お前…学校なんかに入らないんじゃあなかったのか」
 沙織に高校への編入を進められたとき、一輝はガラではないからと、沙織の申し入れを突っぱねている。
「退屈なんでな」
 一輝は苦しげに腕立て伏せを続ける氷河から視線を窓外の風景に移した。
「学校も、退屈だと言っていなかったか」
「お前のいない場所なんぞ、どこだって同じだ」
 いって一輝は氷河の上に腰を下ろした。
「バカッ、やめろ」
 懐からタバコを取り出し、ライターで火を点けようとしている一輝に氷河は瞼を見開いた。
「やめろといわれて、オレがやめた事があったか?」
 一輝が嗤った。
「黙れッ」
 氷河は右腕に力を込め、左腕で一輝を跳ね除け、言葉を続けた。
「お前も学生なら校則には従え」
 氷河は一輝を睨みつけた。
「オレを従わせるものは力のみよ」
 一輝は嗤い、それでもタバコはしまった。
「力だけでは、変わらない、変えてはいけないものがある」
 もう、勝ち負けだけが全てを制するような闘いの場からは氷河は退いたのだ。
 聖衣を返還したこれからは「人」としてこの世の生を全うするのだ。
 そのために氷河はここで学ばねばならない。一輝ごときにかかわっている暇はないのだ。
「そうか、ならばオレも変えてみるか?」
 心の奥底を射抜くような一輝の視線を、氷河は弾き返した。
「私闘は、女神に禁じられている」
 やがて、氷河は視線を伏せた。
 全ての闘いにおいて唯一、氷河に土を付けた男が一輝であった。
 あの当時、一輝は自身の理性ではどうにもならないほどの憤怒を自身の内に燃え滾らせていた、それは幼い弟を死地へと追いやった城戸光政に対する憤怒と、自身の愛する少女を自身の至らなさから目の前で死なせてしまった自己に対する憎悪と憤怒であった。
 だが、憎むべき城戸光政の血を自身が受け継いでいると知ったとき、一輝の内部で駆け巡る憤怒の全てが光政の血を受け継ぐ、当時、一箇所に収容されていた少年たちに向いた。
 自身の出生の秘密さえ知らされずに、ただ聖戦と対峙するために聖闘士となった少年たちに…。
 だが、その中で一人だけ、氷河だけは自身の父親が光政だと知っていた。
 氷河にとって顔も知らぬ父親など、どうでも良い存在だった。
 まして、母の死を悼む氷河に冷たい一瞥を残し、その場を去った男など、父などと認識できるものではなかった。
 だが、事実を知っていた。その一事だけで一輝の憎悪は氷河に向いた。
 氷河は一輝にこれ以上はない屈辱を味合わされ、一輝に憎悪を向けたこともあった。
 だが、もういい。
 仮に一輝と私闘ったとして、氷河が勝てば、一輝の唯一の弟、瞬が悲しみ、一輝が勝利すれば瞬が氷河を思い心を痛める。
 どの路、ろくなことにはならない。
「また、女神か」
 一輝が嗤った。
「うるさい」
 氷河は壁にかけられている時計に視線を移し、言葉を続けた。
「それより寮会議の時間だ」
 月に一度、寮での出来事の報告を行う。
「それがどうした」
 くだらないことをいうなという一輝の表情に氷河が唇を吊り上げた。
「議長は瞬だ、遅れるなよ」
 どう、取り繕おうが、一輝は瞬には弱い。
「瞬だから、なんだ」
 全てを見透かしているような氷河に、一輝が虚勢を張った。
「さあな、だが…寮生は地元の高校で見放された悪ばかりだからな」
 議長も周囲が大人しい瞬に押し付けたものだ。
「フッ、悪だからなんだ? 瞬とて聖闘士、そんな悪ども一瞬で…」
「そうかな? 相手は瞬だ、生徒に殴られてもそうダメージを受けないのなら黙って殴られるのではないか?」
 一輝の物言いを氷河は遮った。
「な、なにをバカな…」
 そう口にしながらも一輝は氷河に背を向け歩き出す。
「いいな、お前も早く来い、寮生が揃わねば瞬が困るだろうが」
 背中越しに振り向き、のたまう一輝に氷河は目を見張った。
 目を見張ったときにはもう、その場から一輝の姿は消えうせていた。

「続く」
 
 日記なのに続いていいのかなぁ?
 

プチ・原稿やります☆

2007-07-13 01:51:20 | プチ・原稿
 最近、オリジナルばかりやっていて更新が滞っているので気軽にできる日記でも何かやって行きたいと思います。
 こんなところでなんですが、リクエストとかありましたらお気軽にbbsなどに書き込んでやってください。

 それでは(聖闘士学園へようこそ)より。

 ■■■

 人気のない美術備品置き場で氷河は腕立て伏せをしていた。
 聖戦を終え、日本に留まる事になった氷河は沙織の勧めで学校へ通うことになった。
 将来、財団の仕事をしようとしまいと、この国にあっては学歴は助けにはなろうが、邪魔にはならない。
 それに氷河は勉学が嫌いではなかった。
 だが、氷河の学生生活を脅かす存在があった。
 それは、一輝だ。
 一匹狼を気取り、沙織の行為を突っぱねはしても一輝は退屈と性欲を紛らわせる為に学生をする氷河の許を度々訪れた。
 一輝が退屈をしようが性欲を溜め込もうが、氷河には解消してやる義理は一切ないから突っぱねた。
 だが、氷河もそうなら相手も聖闘士だ。
 揉め、力で捻じ伏せられそうになれば、氷河も応戦せざるを得ない。
 その結果が校内の破壊となる。
 何度かそれを繰り返しているうちに城戸沙織の元々頑丈にはできてはいない我慢の意とがプチンち切れた。
 このまま氷河を転校し続けさせるよりも、新しい高校を作ったほうが賠償にかかる費用より少なくてすむ、ついでに全国も問題児も引き受ける受け皿学校になれば入学金と寄付金で利益が出ると踏んだ城戸沙織は早速行動を起こした。
 城戸沙織は富士の樹海の国有林を借り受け、そこに学校校舎と生徒の寮を建設した。
 いかな悪ガキたちも富士の樹海を越えてまで学校を脱走はできない。
 そこに、氷河も強制的に転校させられた。
 一般の生徒と一緒では身体を鍛えるのにも気を使わねばならない。
 他の生徒と聖闘士では身体に宿している体力が違うからだ。
「なにをやっている」
 不意にかけられた声に氷河は眉を寄せた。
 氷河が一番聞きたくない、氷河がこの湿気の多い樹海に囲まれた学校に転校を余儀なくする原因を作った男、一輝の問いを無視し、氷河は腕立て伏せを続けていた。

「続く」

 日記なのに続くのか…!?