JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
 猫小説とか色々書いています。
 

24 (2) 眠る鳥より

2008-01-15 00:37:06 | 原稿
「オレが承知すると思うのか」
 そら来たと、氷河は思った。
「うるさい、オレがどこでなにをしようと勝手だろう」
 よりにもよって一輝にガードされているという現実が、肚立たしいことこの上ない。
「キサマ、誰に向かってそんな口を聞いている」
 雄豹のような素早さで傍らに来た一輝が氷河の頬を摘み、引っ張った。
「やめろッ」
 氷河は一輝の腕を振り払った。
「この程度のスピードも避け切れんとは、のろまめ」
 一輝は窓脇の壁に背をつけ、腕を組み嗤っている。
「黙れッ!」
 氷河は一輝を睨みつけた。
 この眼光が相手を射るスピードでバカを叩きのめせない自身が口惜しかった。
「黙らんな、そんな身のこなしで跳んでくる弾丸から避けきれるか」
 一輝に正面から見据えられ、氷河は唇を噛み締めた。
 事実だからしかたがない――が。
「弾丸なんか跳んでくるかッ! ここをどこだと思っているッ!」
 ここは銃の規制の厳しい日本だ。
 氷河の立場からすればそういう事態もなくはないが、そういうことには目を瞑(つぶ)ることにした。
「とにかく、授業が終わったら屋敷に戻って宿題だ」
「うるさいッ」
 氷河は一輝に背を向けた。
 まさか、一輝の口から『宿題』などという言葉が出るとは思わなかった。
「うるさくはない、解ったら返事をしろ、それが年長者に対する態度か?」
 上から押し付けるような物言いに、氷河は猛烈に肚を立てた。
 今すぐ、子憎たらしい顔に拳を叩きこんでやりたかった。
「黙れッ! バカッ!」
 氷河は部屋を出、後ろ手に扉を叩きつけるように閉めた。
「いいか? 迎に行くからな」
「うるさいッ、ジジイッ!」
 毒づき、氷河は学校へ向かうべく歩を踏み出した。

「続く」