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JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
 猫小説とか色々書いています。
 

24 (3) ~眠る鳥より~

2008-01-17 02:37:31 | 原稿
 放課後、氷河は周囲の様子を窺いながら校門の裏手に回っていた。
 正門脇では一輝が氷河を確保せんと、てぐすね引いて待ち構えているに違いなかった。
 一輝は口にしたこともしなかったことも、心に抱けば必ず実行に移す厄介な男であった。
 氷河は今まで、カラオケというものを体験したことがなかった。
 氷河の通う有名私立校には、名門といわれる家の子弟が多い。
 登下校を車で、という生徒も珍しくない。
 その生徒たちにしてもカラオケやクラブなどには出入りしているのだ。
――1回ぐらい…。
 クラスメイトの口にするカラオケに、一度は行ってみたかった。
「なにをしている」
 不意に声をかけられ、氷河は文字通り飛び上がった。
「学業が終わったら帰るよう、一輝様に言われているのではなかったか」
 聞き知る声に、氷河は周囲を見回した。
「姿ぐらい見せたらどうだ、暗黒スワン」
 声以外の気配を立っている暗黒スワンに、氷河は言葉を叩きつけた。
「このぐらいの気配も感じ取れんとは――」
 言葉と共に頭上から降り立ったスワンの表情に浮かぶ嘲りに、氷河は柳眉を吊り上げた。
「ずっと、そこでそ見張っていたのか」
 氷河はスワンと、スワンの降り立った木とを見比べた。
「キサマの考えなど、一輝様はお見通しだ」
 スワンが唇の端を吊り上げた。
「それで木の上で烏(からす)のように見張っていたのか? 暗黒とはいえ、スワンの名が泣くぞ、それとも黒繋がりか?」
 氷河は大げさに肩を竦めてみせた。

24 (2) 眠る鳥より

2008-01-15 00:37:06 | 原稿
「オレが承知すると思うのか」
 そら来たと、氷河は思った。
「うるさい、オレがどこでなにをしようと勝手だろう」
 よりにもよって一輝にガードされているという現実が、肚立たしいことこの上ない。
「キサマ、誰に向かってそんな口を聞いている」
 雄豹のような素早さで傍らに来た一輝が氷河の頬を摘み、引っ張った。
「やめろッ」
 氷河は一輝の腕を振り払った。
「この程度のスピードも避け切れんとは、のろまめ」
 一輝は窓脇の壁に背をつけ、腕を組み嗤っている。
「黙れッ!」
 氷河は一輝を睨みつけた。
 この眼光が相手を射るスピードでバカを叩きのめせない自身が口惜しかった。
「黙らんな、そんな身のこなしで跳んでくる弾丸から避けきれるか」
 一輝に正面から見据えられ、氷河は唇を噛み締めた。
 事実だからしかたがない――が。
「弾丸なんか跳んでくるかッ! ここをどこだと思っているッ!」
 ここは銃の規制の厳しい日本だ。
 氷河の立場からすればそういう事態もなくはないが、そういうことには目を瞑(つぶ)ることにした。
「とにかく、授業が終わったら屋敷に戻って宿題だ」
「うるさいッ」
 氷河は一輝に背を向けた。
 まさか、一輝の口から『宿題』などという言葉が出るとは思わなかった。
「うるさくはない、解ったら返事をしろ、それが年長者に対する態度か?」
 上から押し付けるような物言いに、氷河は猛烈に肚を立てた。
 今すぐ、子憎たらしい顔に拳を叩きこんでやりたかった。
「黙れッ! バカッ!」
 氷河は部屋を出、後ろ手に扉を叩きつけるように閉めた。
「いいか? 迎に行くからな」
「うるさいッ、ジジイッ!」
 毒づき、氷河は学校へ向かうべく歩を踏み出した。

「続く」
 

(無題)

2008-01-14 04:33:14 | 原稿
■お詫びとお知らせ■

 いつも「アリシア」を見に来てくださり、ありがとうございます。
 更新がないことは本当に心苦しいです。
 で、中断して他のモノを書き込むと見づらくなるような気がして迷っていたのですがこの際、何もないのも心苦しいのでとりあえず「24」というお話を、と…。

 C○Uも、ジャック・○ウワーも生物兵器も出ない一輝・氷河ですが、よかったら読んでやってください。

 それでは、本編いって見ましょう。

■ ■ ■

「なに、カラオケだと?」
 三連休前日の朝、制服のネクタイを締めながら発せられた氷河の言葉に、一輝は片眉を吊り上げた。
「カラオケだよ、カラオケ…お前、カラオケも知らないのか」
 ブレザーに袖を通しながら氷河は続けた。一輝の姿は極力見ないよう努めた。
 自身のボディガードを勤める一輝が、なにを口にするのかが氷河には解る。
 かつて、氷河は一輝を始め星矢・紫龍・瞬と共に肩を並べ聖戦を戦い抜いた聖闘士だった――。
 だが、今は違う。
 聖戦を終え間もなく、氷河は病に罹った。
 当時の医学では、氷河の病を治すどころか進行を遅らせることさえできなかった。
 氷河はその肉体を病に蝕まれ、その生を終えた。
 しかし、闘いのみに生き、病に散った氷河を悼み、地上に降臨した女神の化身・城戸沙織は、自身が総帥を勤めるグラード財団の持つ化学を粋を集め、氷河から取り出した細胞の培養にとりかかった。
 人間の生死に、女神がその力で干渉することはできない。が、化学の力ならとの、城戸沙織の苦肉の策であった。
 氷河は城戸氷河として生まれ、城戸沙織の庇護の許育った。
 ハイスクールまで海外で過ごした氷河は病が発病したのと同じ年、発病を危惧した沙織に、事情を知らされないまま促され日本に戻った。
――そこで、一輝に出会った。
 そのときは氷河に、一輝に関する記憶はなかった。
 一輝だけではなかった。
 折に触れて氷河の許を訪れる星矢も紫龍も瞬も、沙織の親しい友人だとの認識としか氷河にはなかった。
――そして、運命の日。
 氷河は冥闘士の残党に襲われ、聖闘士としての記憶を取り戻した。
 記憶は取り戻したが、当時の能力をそのまま取り戻せたわけではなかった。
 次期グラード財団総帥に擁立された氷河には、常に危険が付き纏った。
 冥闘士の残党だけではなく、誘拐やテロリストを警戒する必要もあった。
 一輝はそのためについたボディガードであった。
 記憶が甦る以前からの関係が、記憶を取り戻した今でも続いていた。
 氷河の記憶が甦ったのを知った一輝は、年甲斐もなく氷河に襲いかかった。
 父親と評してもおかしくないほど年の離れた一輝は、氷河の行動に異様なまでに干渉する。
 自身が氷河の年齢の時はアルコールを呑み、タバコを喫いしていた一輝が、今は氷河の飲み物一つ取っても干渉する。
 氷河とてファーストフードや炭酸飲料などを食べて見たいし飲んでもみたい。
 そのことごとくを一輝は阻止する。
 隙を突こうにも高速移動するからどうにもならない。
 そこまで氷河の行動を縛る一輝が学校を終えてのカラオケなど、許可するわけがないのだ。

「続く」

 すみません、まったく違ったお話で。
 一生懸命完結までもって行きますのでよろしかったらお付き合いくださいませ。

アリシア 12

2007-10-17 01:54:40 | 原稿
「――久しぶりだな氷河よ」
 唐突な師との再開に、氷河は当惑していた。
「カ…カミュ、なぜあなたがここに? 水瓶座のあなたがここにいる以上、ここは宝瓶宮なのですか…」
 氷河は師と辺りを見比べた。
「違う! 宝瓶宮はまだずっと先だ! ここは7番目の宮、天秤宮だ!」
 天秤宮の名には訊き覚えがあった。
「て、天秤宮といえば紫龍の師である老師の…」
 紫龍から伝え聞いた天秤宮の黄金聖闘士の姿を思い描いた。
「そうだ、本来なら五老峰の老師が預かるこの天秤宮だが、老師は長い間…廬山を動かん、いわばここは無人の宮」
 無表情に告げる師の姿を氷河は呆然とした面持ちで見つめていた。
「そ…その天秤急に、なぜあなたが…」
 12の宮はそれぞれの名を冠せられた黄金聖闘士が守護しているはずだ。
 自身が護る以外の宮に黄金聖闘士が立ち入るとは、奇異な気がする。
「氷河、お前をここで止めるためよ!」
 全身を凍りつかせるような双眸で見据えられ、氷河は身を竦ませながら師の言葉に耳を傾けていた。
「師である私の命令だ! これ以上…先に進むな! 死にたくなければここで止まれ氷河」
「そ…それは…残念ながら師のお言葉でも従うわけにはいきません…」
 友でも兄弟でもある星矢たちが、巨大な敵と相対しているのを尻目に、氷河だけがその戦闘から退くわけにはいかない。
 適わぬまでも氷河が敵に与えた一撃が、星矢たちの勝利の一因になるのなら、氷河は闘う。
「ならば力をもって止めねばならないか…」
 師が言葉を切るのと同時に、氷河の背に悪寒が奔っていた。
 避けることも受けることもできなかった。
 吹き荒れるブリザードに打ち倒されるように氷河は石畳に叩きつけられていた。
「来い、氷河…進むためにはこの私を倒さねばならないのだぞ…」
 師の言葉に、氷河は呻いた。
「そ…それも、それもできません」
 氷河は上体を起こした。
「師であるあなたに拳を向けることは…」
 師であるカミュに拳を向けることなどは、考えたこともなかった。

「続く」

メチャメチャ楽しいッ!

2007-06-01 22:54:02 | 原稿
 今、オリジナルサイト「jinxx」http://tonari.chu.jp/jinxx/index.htmlの日記で「マン・イーター」というssを日記の日だけやっているのですが(お暇な方は見てやってください)いつもは原稿を打ち出すときはノートに全部書き終えてから、一応、おかしなところ、食い違っていないところなんかをチェックして打つのですが、今回はノートは途中なんです。
 でも、火曜日と金曜日には入力をしていないといけない(まぁ、数時間ズレることはありますが)
 だからノートを必死にやっていて、途中で時計を見たら朝の4時近くになっていて「ヤバッ、仕事じゃん」なんて思っていたら(いつもは3時には切り上げるのです)なんとこの日はシフト外してあったのを思い出して、調子付いて更に原稿をやってしまいました。
 なんか、書いているときってサイコーに楽しいですッ。
 でも、私が楽しいときは大抵、主人公を大変な目に合っているんですよね(テヘッ)