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まぁ長続きしないんです。アウトドアと酒とサバゲとカスタムドールとイラスト。「めいんてなんす」再開しますた。

オカルト小噺 「塵芥;ごみ」

2011-09-05 22:55:39 | オカルト


【塵芥;ごみ】

日付も変わってしばらくした真夜中。飲み会の帰りに、夜道を自転車でとばしてた。
かなり飲んでいた。夜風が気持ちいい。でもこの先のあの交番の前を通ると捕まるかも…
今日は別の道を迂回して帰ろう。

遠回りして、小路のカーブに差し掛かろうとしたとき、ドテラを着てゴミを両手で胸に抱えた、茶髪の若い女が、正面からとぼとぼと歩いているのに出くわした。

ぶつかる程に危険な距離とスピードではなかったが、時刻はまだ日曜日の未明。
ここら辺のゴミの回収は月曜日だろ…とか思い、一瞬、何を捨てるつもりなのか気になってそちらを注視した。

暗がりの向こうに見える彼女が抱えていたゴミは、まるまると布にくるまれていた。
人の形をして、あーあーとか細い声で泣いている。ゴミではなかった。
赤ん坊だった。

『ああ、夜泣きして、外にあやしに出たんだな。若いのに大変だな』当然、おいらはそう思ってカーブに進入しようとしたそのとき、真横で甲高い女の怒号が飛んだ。
叫び続けている。声が後ろに遠のいていく。

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茶髪の母親はこう叫んでいた。
「この野郎!いくらおべっかを使っても無駄だ!」
「おまえさえ居なければ######!」
「だからお父さんに@@@を%%%される!」
「おじちゃんそれは止めて!」
「だからどうした!」
「い、いぃぃ、いいいーー!」
「俺が嫌いなのか?」
「がぁあ、ああ!」
「お母さん、お母さん!」

育児ノイローゼか?それとも統失か?
若い母親だしな。もしかしてDQN親か?父親の方は、ほったらかしかよ…。
あんなことを赤ん坊の頃から怒鳴られ続けるなんて、可哀想だな…
やはりDQNはDQNの輪廻からは逃れられないな…
なんて思いつつ、カーブを曲がり切り、ペダルを踏み込んで加速しようとしたとき、

うしろでゴキュ!という音がした。

面倒くせぇ。音の原因なんて知りたくもない。おいらはもう眠い。帰りたい。
どうせDQN親子の問題だ。おいらは関係ない。
気持ち悪い。猛烈に頭が痛い。割れる様だ。
酒の勢いを借りて、我慢して振り返らずに、無理やりそのまま家に帰った。

家に着き、バファリン飲んでとっとと寝ようと歯を磨いている時、遠くでサイレンが鳴りはじめた。頭が痛い。
洗面台の鏡に写る自分を見て、涙が出た。
止まらなかった。

-終-


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