パンピーテッケナー専用メモ

鉄拳プレイ中のメモ

格ゲーにおける「読みあい」と「運ゲー」

2022-04-28 10:04:20 | ゲーム

 昨日、格ゲーにおける基本「投げ」に関して記載した。

 2D格闘ゲームにおいて「投げ」は、「ガン待ち大有利」にならないために作られたシステムだと説明した。

 だが、3D格闘ゲームにおいては、「投げ」は「投げ」ではない。

 

 

 鉄拳7のトップ層の試合を見たことがあるだろうか。

 

 いや、おい、地味だなあ… と思いませんか?

 

 両選手とも技を撃ち合わず、ステップを使いカサカサ動きながら、見合う時間が長く技の撃ち合いも極端に少ない。つまり、互いに2D格闘でいう、「ガン待ち状態」なのである。

 

 

 もちろん、2D格闘でいう「投げ」がないだけで、そうなっているわけではない。

 「リスクとリターン」、そして「読みあい」について考えてから、プロの動きを見返して欲しい。

 

 

1. 期待値と運ゲー

 「読みあい」とはつまり、算数でいうところの期待値の考えをもとに構築されている。

そのため、今回はモデルを簡略化して、サンプルを考えてみる。

 

 【状況】

 ・お互い プラスマイナス0フレームの状態からスタート。

 ・仮にフェン対ブライアンを想定し、フェン側が攻めるブライアン側が守る という構図とする。

 

フェン側選択肢      /     ブライアン側選択肢

(1) 9RK(中段技)             a. 立ちガード

(2) 1RK(下段技)             b. しゃがみガード

(3) 4LP(暴れ技)           c. LPRP(暴れ技)

 

そして、その勝ち負けと、ダメージが以下の通り フェン側目線

(1)の選択肢 a.-24dmg b.+64dmg c.-45dmg*

(2)の選択肢 a.+14dmg b.-70dmg c.+34dmg

(3)の選択肢 a.-15dmg b. -10dmg* c.+50dmg

*上級者の場合、もっとダメージを増やせる場合もあるが、今回はこれで説明する。

 

以上のように、仮定した場合の、(1)~(3)の選択肢に対する、期待値は以下のようになる。 

各選択肢の確率は等しい場合。プラスマイナスはお互いの相対的な体力差(結果)

(1)の期待値 -1.6dmg

(2)の期待値 -7.3dmg

(3)の期待値 +8.3dmg 

*この攻防の全体の期待値は、-0.6dmg(フェン側不利)となる。

 

フェン側が何も行動をしない場合、

ブライアン側からの能動的な期待値は0のため、ゲームとしては勝利することは出来ない。 

*ただし、フェン側も(1)~(3)をすればするほど期待値はどんどん不利になる。

 

期待値を見る限り、フェン側は、(3) 4LP が良い選択肢ということが分かる。

他の選択肢は期待値がマイナスのため、リターンよりリスクが大きく、使わない方が良いという結果だ。

 

その結果として、フェン側は (3) 4LP を打ち続けることになる。

対して、ブライアン側は a~c を等しい確率で選択する状態が

 

ブライアン側が

「運ゲーしている」や「かみ合えば勝てる」「対策してない」などと呼ばれている状態である。

*2/3でブライアン側がdmgゲット、1/3でフェン側がdmgゲット。 

先に全体力分をゲットした方が勝ちなので、確率が偏れば、ブライアン側が勝つ場合も当然ある。

 

格闘ゲームで指す「運ゲー」とは

「相手の取りうる選択肢の期待値がこちらより高く、こちら側は確率の偏りが絡まないと勝つことが難しい」状態を指しているのである。

 

 

2. 「読みあい」と期待値

 

上記の例から、ブライアン側からすれば、相手の(3) 4LP が自分にとって一番効率が悪い選択肢なのだから、

(3) 4LPに対してリターンが取れる選択肢を多く選びたいところだ。

ブライアン側が (3) 4LP がマイナスの期待値に転じる、 a. を他の選択肢の3倍、選択するように仮定する。

 

前提条件から、相手の(3) 4LP という選択肢が多いことをとして「読み」それに対して回答を用意する。

 

これが「読みあい」ということである。

 

 

以下が「読みあい」の結果。 a. を増やしたことで、どうなるのか。

*あくまでも、目線はフェン側で表記する。

 

(1)の選択肢 a.-24dmg(3/5) b.+64dmg(1/5) c.-45dmg*(1/5)  期待値 -10.6dmg

(2)の選択肢 a.+14dmg(3/5) b.-70dmg(1/5) c.+34dmg(1/5)   期待値+1.2dmg

(3)の選択肢 a.-15dmg(3/5) b. -10dmg*(1/5) c.+50dmg(1/5) 期待値 -1dmg

*この攻防による全体の期待値は、-10.4dmg (フェン側不利)

 

フェン側の技の選択が確率的に等しい状態でも、フェン側の不利が先程にも増して拡大しているのがわかるだろう。

 

そして、当初は期待値が高いとされていた (3) 4LP の期待値も-1となっており、(3) 4LP 打ち続けてもフェン側が不利になってしまうのである。(これがキャラ対策の部分的説明でもある)

 

長くなったので、次回のブログ 「じゃあ、初心者はどうするべきなの?」 に続きます。


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