2020年から始まるコロナ禍により、サラリーマンゲーマーの在宅時間は増えたものの、可処分時間は、在宅時間に比して増えたわけでもなく、家にいるのに仕事はあるという状態が続いている。
そんな中、サラリーマンゲーマーたちは、限られた時間というリソースをどのゲームに割くか、日々思案し、やりたいゲームをやりきれないまま積み上げたり、作品の途中でプレイをストップしていることだろう。
ゴーストオブツシマ(DLC含む)、ラスアス2、ニーア完全版、バイオ7、テイルズアライズの大手大作ゲーム、その他多数のインディーを含めたゲームたち…これらのゲームを先おいて、コロナ禍で再評価、再ドハマリしたゲーム… そして限られたリソースを無限につぎ込んでしまいたくなるゲーム...
それが
ディアブロ3(ディアブロIII エターナルコレクション Switch版)
2018.12月発売
である。
今回、バトルフィールド2042のレビューを記載したのも、実はこのディアブロ3というゲーム、発売当初は、誤解を招くのを承知で、クソゲー寄り(マニア志向)のゲームだったのだ。
筆者は、初期PS3版を凡そ300時間は軽くプレイした…しかし発売当時のディアブロ3はマゾゲーと言っても過言でなく、一人用のMMOかよ、と言わんばかりの時間がかかるクソゲー寄りのゲームだった。要因は様々あるがここでは割愛したい。
しかし、10年に亘る継続的なアプデと運営 (*課金要素が一切ないのに継続運営が出来るのはすごい)Switchというゲーム機への移植と合致して、クソゲー寄りのゲームは、一般ユーザーにとっても神ゲーへと改善され、当時とは別ゲーになっている。(*とっつきづらさは変わらずあるけども…)
そして、ディアブロ3は虚無ゲーにも関わらず、最高の遊びを提供している。
以下、ディアボロ3とはいったい何の遊びなのか。順に説明していく。
(0-5まで)
0.何のゲーム? ボタンを押しっぱなし、あるいは押すだけのゲーム。
ディアブロ3は2012年にPC版、2013年にPS3版が発売され、その後、拡張版などのタイミングでPS4、Switchと移植されており、何と発売して10周年が経過しようとしている作品だ。
このゲームの基本は、ハクスラと呼ばれる、ボタン押して攻撃し、敵を倒していく「だけ」のゲームである。
ストーリーも存在しているが、あくまでオマケ程度。要するにグラフィックとアクションを極限まで簡略的に表現した無双シリーズである。今のスマホのポチポチゲーに近いゲーム性だ。
やることは、ダンジョンに潜り、ひたすらに敵を屠り、ボスを殲滅し、そして拠点に戻って、アイテムを整理して、またダンジョンへ戻り、敵を屠る。その繰り返しの中に、面白さが用意されている。
1. じゃあ何が面白いの?、それは射幸心を煽る「ガチャ」ゲー。
要するにディアボロ3は一見「作業ゲー」だ。
確かにキャラクターのビルドや、使用スキルのバリエーションの多さなど、プレイヤーを飽きさせない工夫は随所に感じられる。ただ遊びの構造は無双ゲーと大差ない。なのにプレイヤーは「作業」をやめられない原因がある。
それが、ガチャ要素(ランダムドロップアイテム)である。
一旦、話しは逸れるが筆者はソシャゲガチャ中毒である。
やりもしないソシャゲをインストールしてはWIKIを覗いてトップティアのキャラが引けるまでリセマラを繰り返し、ゲーム自体はプレイせず放置して詫び石などが溜まってきたら、またガチャを回して一喜一憂を楽しむ…
まさにディアブロ3にあるのは、レアが出たときの高揚感、達成感と、さらにプレイを続ければ、より強い武器やアタリの武器が出るんじゃないか、という射幸心をくすぐられるゲームということである。ガチャが「無課金で、自分の好きなだけ何回も」出来るゲームなのだ。
そして、ディアブロ3におけるガチャのアタリとは…そのキャラクターでのゲーム性が変わるほど、キャラがスーパー強化されるアイテムである。そのアイテムがドロップした時の興奮は、10連ガチャでSSRを2体や3体、同時に引っ張て来た時にも劣らないのである。
2. 画期的だと思う、シーズン・ジャーニー制の開始
ディアブロ3の運営が英断だったこと、それはシーズン・ジャーニーというある種のシーズン制を取り入れたことだ。
これはプレイヤー全員に強制するものではなく、あくまで遊びの選択肢のひとつとして用意されている。(しかし、恐らくプレイヤーの80-90%はシーズンで遊んでいると思われる)
ソシャゲもそうだが、長年同じゲームをやっていると、ガチャを引いても、有効・有用なキャラ、アイテムというのが相対的に少なくなってくる。
そうなってくると、ガチャのアタリが少なく感じ、ラインナップ中のアタリが出ているにも関わらず、あまりうれしくない、盛り上がらない気持ちになることがあるだろう。ソシャゲでこれを解決するとなると「性能を極端にインフレさせる」あるいは「別の要素を追加し、既存の価値観を崩壊させる」という解決策がよく採用されているように思う。
ディアブロ3はどのように解決したのか。それが「リセット」である。
全プレイヤーの進行度をシーズン毎にリセット(文字通り、0から再スタート)させるモードを用意して、新しいキャラクターでゲームを開始する、それが「シーズン・ジャーニー」である。
こうすることで、無限にガチャを引く楽しさを継続させることに成功しているのである。
3.キャラごとに新しいRTAを走るような面白さ
前述したシーズン・ジャーニーの実装により、ディアブロ3のゲーム性は大きく変わった。シーズン制の導入前(特にPS3時台)は、プレイヤーのプレイ時間により差は無限に近いレベルで、性能の差が開いてしまう可能性があった。
しかしシーズン制という限られた時間の中で、どこまでキャラを強く出来るのかに主軸が置かれた結果、RTA要素を含んだゲームに変貌した。
現在は、主にグレーターリフト*GR(エンドコンテンツの高難易度ダンジョン)をいかに早く、高層まで駆け上がれるかが目標のひとつになっている。
基本的に、通常プレイヤーはGR75の到達が一つの区切りになる。ただ、上級者はシーズン内にGR150の到達(あるいは到達するまでの速さを競う)を目指していく。ちなみにランキング制となっており、毎日、誰がGR何階までクリアしたのか見ることが可能。
*ディアブロの難易度は全19段階ある。難易度が上がるほど経験値やレアドロップの可能性が上がっていく。GR75で最高難易度トーメント16相当である。つまりGR150とは、ざっくりその倍程度の難易度である。
しかしこれも、あくまでプレイヤーに与えられた選択肢の一つでしかない。
ゆっくりプレイをしてシーズンが終わったとしても、該当のシーズンで作成したキャラはノンシーズンキャラ(無期限)として引き続き育成することも可能だし、シーズン中に得た知識で、次回シーズンに、より早く新キャラの育成に励むということも可能だ。
この辺りがRTAのような(シーズンが3か月~長期期間ではあるものの)トライ&エラー&トライを感じさせるような構造になっており、それが複数のキャラ×ビルドで行うことが出来るため、停滞せず遊びが継続しているのである。
4. Switchとの相性の良さ
2018年以前、このゲームは、PCあるいはPS3/PS4の据え置きゲームでしかプレイすることは出来なかった。
色々な要素があるにせよディアブロ3はやっぱり「作業ゲー」だ。モニターの前で長時間周回ゲーをやるのは、精神的にも肉体的にもつらい。
しかし、2018年にSwitch版が発売されたことにより、Switchという筐体の性能と、このディアブロ3のゲーム性というものが究極的にマッチする。Switchの携帯モードでトイレの中、横になりながら、果ては電車の中でもプレイできるようになった。
また、ディアブロ3のプレイサイクルも非常にマッチする。ディアボロ3は色々な要素があるものの、プレイサイクルは凡そ15分間で一区切りが入る。(早いと5分で回れるものもある。)そのため、ちょっと遊びたいけどモニターを付けて、PCやPS4の電源をONするのもなあ…という人間のためにSwitch版は非常にマッチするのである。
筆者もSwitch版以外、やる必要ないなとまで思っている。
5.さいごに
簡潔にディアブロの面白さを書くことに挑戦してみたが、非常に難しい。なぜかというと、見た目は作業ゲー以外の何物でもないからだと思う。
ただ現在まで続いているMOゲームの中でもディアブロ3は10周年という重みもあり、それだけ支持されているゲームと言えると思う。
所要時間はどうだろうか、初見プレイでストリーモードを遊ぶと20時間程度だろうか。しかしクリア後の遊びと知識の吸収はハテがないので、地獄の淵までしゃぶりつくすには相当の時間が必要だ...
無人島に持っていくなら…
将棋盤か…ディアブロ3か…
そう思い、私はテレワーク中にSwitchのスリープを解除するのであった…
ダンジョンへ潜り、ガチャを回すために…