きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

精密検査中の心得

2023年03月13日 | ヘルスリテラシー
医者をやっている友人として、相談をもちかけられることが時々あります。

医療機関を受診しているご家族についてのご相談などは、ご本人を直接診察させていただいているわけではないですし、専門知識の乏しい非医療者であるご家族の立場である友人からの情報しかないので、限りある情報から、これまでの経験をいかして、大いに想像力を働かせて、アドバイスしなければいけません。
大切なのは、そういう状況であることをお互い理解の上で、やりとりするということです。

先日も、ある友人から、家族が、痛みがあるので近くのお医者さんを受診したところ、他の総合病院を紹介され、いくつも検査が予定されたが、どんな病気なのか心配だ・・・と相談されました。

がんなどの病気では、正式な診断から治療方針が決まるまで、順調にいっても1か月くらいはたいていかかります。
その1か月間は、当事者にとって、とても不安な日々です。

実際に症状があるばあいは、確定診断がついていなくても、必要であれば症状に対しての治療を並行して開始します。

検査結果を聞く予定の受診日はまだ先だけれど、痛みが強くなって、咳や息切れも出てきて、見ているだけでつらいのだけれど、どうしたらいいかと再び友人から連絡がありました。

痛みや咳などのような症状は、じょうずにコントロールしないと、本人の不安が強くなったり、食欲も落ちて、体力を消耗してしまいます。

特に、痛みが強くなっていたり、前回受診した時にはなかった症状が出るようになったような時は、早めに担当医に連絡をして、受診日を早めてもらう必要があるかどうかなど、指示をあおぐべきです。

ですが、とかく患者さん側は、医者に対して遠慮して、受診予定日までがまんしていようと考えがちです。

たとえ根本的治療ではなく、対症療法だとしても、症状がひどくなってしまうと、薬が効きづらくなりますし、そういう時は「どうしてもっと早く来てくれなかったのか」などと医者は思っています。

すぐれた医者は、予想される状況変化をある程度見越して、たとえば、「痛みどめがたりなくなったり、効かなかったりしたときには、薬を追加したり変更したりしますので、早めにご連絡ください」とあらかじめ説明して、患者さんが気兼ねなく連絡してこれるようにしますし、その旨をカルテに残し、他の人が対応してもすぐにわかるように、情報共有します。

医療機関によっては、担当医不在のこともあって、電話での問い合わせには、適切な医療判断のできない受付事務員が対応しただけで終わってしまうこともありますから、要注意です。





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