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きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ラタトゥイユと残暑

2024年09月06日 | ヘルスリテラシー
先日、フランス語会話教室で、ラタトゥイユについて書かれた文章を勉強しました。

ラタトゥイユはフランス南東部の伝統料理で、「ラタrata」は「煮込む」、「トゥイユtouille」は「かき混ぜる」という意味があります。

基本的な材料は、タマネギ、ニンニク、そしてナスにトマト。

子供には苦みのあるピーマンが入っていないほうが人気。
ピーマンを使わないラタトゥイユは「ボヘミアン風」というそうです。

それぞれの家庭で作り方が代々受け継がれ、愛情たっぷりの料理である・・・といった内容でした。

残暑が今月半ばくらいまでは続くようですね。

先日、腕にひどい火傷をした方が病院にいらっしゃいました。
聞けば、日焼けなんだとか。

肌は免疫の働きをガードするための大事な「臓器」でもあります。

暑さと紫外線対策をしながら、もう少し夏を楽しみましょう。











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認知症施策

2024年09月03日 | ヘルスリテラシー
今朝、病院での出来事。

車椅子でご来院の高齢女性を、付き添ってこられていたご家族に代わって、ご案内したときのことです。
その患者さんは病気が進行して、体力・気力がだいぶ落ちてしまっている様子で、あまり体調は良くないようでした。

順番がきて採血室に入る際、患者さんの夫と思われる方が、「たくさん血採っちゃってやって!(頭をくるくる指さしながら)これだからさ!」とおっしゃるので、ビックリしてしまいました。

つまり、「こいつ、頭が変になっちゃってるから、たくさん血を抜いて、もっと弱らせてしまってくれ」みたいな意味でおっしゃっているのでした。

冗談にしたって、かなりキツイ・・・


ご自身も高齢である夫君は、介護で心身ともに疲れてしまっているのかもしれません。

それで思わず、憎まれ口をたたいてしまったのかもしれません。

でも、ちょっと聞き捨てならないなあ・・・と心配になりました。

私の両親も数年前、老々介護で共倒れは時間の問題・・・という状況になりました。
認知機能が低下気味で忘れっぽくなったり、怒りっぽくなった母に対して、父がイラついたり、父自身も精神的に不安定になることが多くなっていました。

核家族化の進んだ高齢化社会では、こういう状況は決して珍しいことではありません。

実際に、介護疲れで、殺人や無理心中などといった事件も世間では起こっています。

病気になって体が言うことをきかなくなるだけでなく、認知機能が低下して、コミュニケーションがうまくとれないとなると、精神的ストレスが大きくなり、よけいに状況は悪化します。


今日のニュースから・・・
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認知症施策推進基本計画の重点目標
①新しい認知症観の理解促進
②認知症の人の意思尊重の促進
③周囲と支え合い、地域で安心して暮らせる環境の整備
④認知症をめぐる新たな知見や技術の活用
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夏野菜を食べる

2024年08月27日 | ヘルスリテラシー
野菜不足に陥りがちな生活。

夏はもっぱら、色々な野菜をいっぺんにおいしく食べられるラタトゥイユを週末に作りおきすることが多いです。

スーパーやあぜ道に並んでいる色とりどりのつやつやした元気な野菜をみていると、料理する意欲がわいてきます。

材料はその時によって若干変わりますが、基本はナスやズッキーニとピーマンやパプリカ、そしてインゲンやアスパラガスなどにトマトを加えています。

私はつい煮込んでしまいがちなので、材料はそれぞれ大きめに切るようにします。
そうすると、煮込んでも形が保たれ、食べ応えがあり、便利なおかずの一品になります。

今回はコリンキーを使いました。
かぼちゃの仲間で、生のままサラダでも食べられますが、味があまりなくて、ラタトゥイユのような料理にも便利です。

夏は冬瓜もよく食べます。
先日は冷たい冬瓜スープを作りました。
       

どんな野菜も1年じゅう食べられるようにな時代ですが、やはり旬のものをいただくと、からだに良いエネルギーが満ちる気がします。


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人となり

2024年08月15日 | ヘルスリテラシー
突然ですが、あなたは旅行を計画するとき、AとBのうち、どちらの思いのほうが優先されますか?

A)世界遺産に登録されているようなすばらしい景勝地を観たい!
B)伝統工芸や人々と触れ合える旅がしたい!

医者にも色々な人がいますが、外科系の医師はA、内科系の医師はBを選ぶ人が多いかもしれません。
もちろん人それぞれで、一概にはいえませんが・・・

私は内科医で、だんぜんBタイプです。

ちょっと乱暴な言い方になりますが、外科医は「病変」を診て治療に取り組み、内科医は「病人」を診ているという言い方をすることがあります。
そのことを旅の目的に例えると、景勝地観光好きか、人や現地の生活に興味があるかに分けられるというわけです。


患者さんの「人となり」を知らないままに、単に病気だけを治療しようとすると、病変は無くなったけれど、患者さんは幸せになっていない、むしろ治療前よりも不幸せな状況に・・・なんていうことが、実は少なからず起こりえます。

「人となり」とは、キャラクター、性格、気質、人格などと言い換えることができますが、がんや根治困難な慢性病を患った場合や、高齢の方の病気の治療に関わる医療現場にいると、その方がこれまでどんな人生を送って来たのか、人生においてどんなことを大切に思っているのか、どんな人生観を持ちながら生活しているのかなど、その人の広い人間性を考慮して、倫理的配慮が重要になるといった場面に多く遭遇し、議論になることがあります。

いえ、むしろ、そういうことを議論しようとする視点を持つこと、議論できる場があることが重要なのです。

「人となり」というのは基本的に他者からの視点で判断されるものとされていますが、自分の性格やどんなことを大切に思っているのか、どんな人生を送りたいと常々思っているかなど、自分自身について時々考えてみると、大きな決断をしなければいけないような時に答えを得るヒントになるかもしれません。
簡単なことじゃありませんけどね・・・











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ミントの香りとベリーショート

2024年07月12日 | ヘルスリテラシー
今週末から夏季休暇に入ります。

休暇中、心がかりなのが、ベランダの植物たち。

できるかぎりの対策はしておくつもりですが、猛暑と水枯れのせいで、かなりダメージを受け、なかには枯れてしまうものもあるかもしれません。

元気よく育っていたミントの葉を思いきって刈り取りました。
もさもさとしていたのが、かなりスッキリとして、ベリーショートのスタイルに。

ミントは強いので、またすぐに伸びてくるとおもいます。

切ったミントを、職場に持ってきて水を入れたコップに活けておいたら、デスク周りが良い香りで包まれています。

ちょうど昨日ヘアスタイルをベリーショートにしたばかりですが、ミントの香りで頭の中までスッキリしています。

ミントは水に差しておくと、比較的容易に根が付きます。

毎日ゴミ集めをしてくれているおじさんに、ミントをお裾分けし、コップの水を時々追加してもらうように頼んでおきました。
ベランダの鉢植えも、持ってくればよかった・・・




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選択肢の提示

2024年07月02日 | ヘルスリテラシー
定期健診などで異常が見つかり、医師から詳しい検査や、ある治療法をすすめられたとします。

その際、「選択肢はひとつのみ」ということは避けられなければいけません。
必ず、二つ以上の選択肢が提示されるべきです。

医療現場に限ったはなしではありません。

たとえ勧める側が「これ以外ありえない」「ぜったいお薦め!」と思っていたとしても、一刻を争う医療現場での超緊急事態のような場合をのぞけば、それ以外の選択肢もきちんと提示したうえで、それぞれの長所短所を比較しながら、提供する側と提供される側が協力的に話し合いをし、合意の上で最終決定をするというのが理想です。

医療現場ではそのような意思決定の仕方を「シェアード・ディシジョン・メイキング Shared Decision Making:SDM (共有/共同意思決定)」と言っています。

ここで大切なのは、「一緒に考える」ということです。
たとえ選択肢を複数提示していたとしても、一緒に考えようとはせず、「どれにするの?自分で決めてくれ!」というのは、不親切ですし、信頼に値しません。

ショッピングの際も、店員さんがSDMの方法で助言・対応してくれると、「良い買い物をしたなあ!」という気持ちになれるはずです。








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長時間フライト中の飲酒

2024年06月25日 | ヘルスリテラシー
前回の「長時間フライトの必需品」の話が好評だったので、また飛行機にまつわるお話を。

以前、欧州行きの飛行機に乗った時、元気なご高齢の女性と隣り合わせになったことがあります。

夫に先立たれて以来、一人でツアーに参加して旅行を楽しんでいるという彼女は、ストッキングで作ったバンドを、椅子のマガジン入れに引っ掛けて、フットレストに利用していました。
なるほど便利だなあと思いましたので、私も真似させてもらって、長時間フライトの準備品として携帯していたことがあります。

その方が、食事時間になると、何杯もお酒を注文して飲み干していて、ビックリさせられました。
「飲むとよく眠れるのよ」と、食事が終わるやいなや爆睡していました。


飛行機内でお酒を飲むと、普段よりも酔いやすいということを経験上ご存じの方は多いでしょう。
高度飛行中の機内は気圧が低いので、アルコールが血液内に移行しやすく、いっぽうで血液中の酸素濃度は低下しやすいので、心拍数が速くなり、酔いが早くまわるのです。

けれども、心拍数が速くなるということは、それだけ心臓に負担をかけることにもなります。

飲酒(ビール2缶やワイングラス2杯相当)をしてから、飛行機の機内気圧の環境で寝るという実験をしたところ、健常者でも動脈血中の酸素飽和度の低下と心拍数の増加が長時間(およそ200分間)認められたというドイツからの研究報告があります。

つまり、飛行機内で飲むお酒は、危険を伴うものであると認識したほうががよいということです。
心臓や肺の持病のある方は、病気を悪化させ、寝ている間に突然死なんていうこともありえます。

たとえ心臓疾患や肺疾患を正式に医師に診断されていなくても、ある程度年齢が高い方や、喫煙既往のある方などは、潜在的にそのような状態になっている可能性が高いので、フライト中にお酒を飲むのはやめておいたほうが無難でしょう。

せめてお酒は地上で楽しみましょう。










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長時間フライトの必需品

2024年06月20日 | ヘルスリテラシー
コロナウィルスやインフルエンザウィルスによる感染者はいなくなったわけではありませんし、いわゆる夏風邪ウィルスによる感染症に気を付けなければいけませんし、人食いバクテリアなどと呼ばれる連鎖球菌感染症などはニュースにもなっています。

基本的には手洗いやうがいを日常習慣にし、日頃から寝不足を防ぎ、しっかりと栄養を摂り、暑さ対策、冷えすぎ対策などの温度変化への対応をめんどくさがらずににきちんと行うなどして、自分の体調管理をすれば予防できます。

パンデミック後、円安の影響もあり、たくさんの海外からの観光客が来日していますね。

夏休みは久しぶりに海外旅行をしようと計画している方も多いかもしれませんね。

飛行機の中は、サハラ砂漠並みに空気が乾燥しています。
のどや鼻の粘膜は、乾燥すると、ウィルスなどの外敵からの防御力が格段に落ちてしまいますから、注意が必要です。

のどを守るには、マスクが有効です。

ワクチン接種が行われる前のデータではありますが、マスクをしない場合、飛行機に乗っている時間が長いほど、コロナ感染率が高くなっていたという研究報告もあります。
これからも、飛行機に乗るときは、マスクをしていたほうが安心ですね。
ノドを冷やさないように、バンダナやスカーフも鞄に入れておくことを忘れずに。


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いしゃのきもち

2024年06月12日 | ヘルスリテラシー
バラは通常、接ぎ木で増やすらしいですが、挿し木も不可能ではないと何かで読んだことがあります。

いただいたバラの切り花を、試しに花が終わった後、元気な葉だけを残して先を切り、花瓶で育ててみました。

するとやがて、水につけた切り口のところがモコモコと膨らんできて、根が生えそうな気配が!
初根促進剤といった薬剤もあるらしいのですが、特に使っていません。

新芽が伸びてきた頃には、ちょびちょびと根も生えてきたので、期待を込めて土に植えてみました。

植えてからおよそ10日。

もともとの濃い緑の葉っぱは枯れ落ちてしまい、新芽も元気がなくなってきてしまいました。
時期尚早だったのでしょうか?


赤ちゃんのような根っこでは、土の中でまだ水分を吸い上げる力が弱いのかもしれないと思い、若干土は水浸し状態にし、暑さにもまだ弱いと思うので、日陰で管理もしていました。

植え付ける時に虫よけや肥料を土に混ぜましたが、生卵の殻をすぐにゴミ箱には捨てずに、お守りのように根元に置いてみたりもしていますが・・・


このところの私の心理状態は、非常にシビアな状況の重症患者を受け持っているときみたいな感じです。

時間単位で細かく血圧や脈拍、尿量などをチェックしながら、厳重に輸液や人工呼吸器などの管理をしなければいけないような状態の患者さんの治療は、非常に集中力と緊張を強いられます。

しかも治療の見通しがあまり明るくないともなれば、不安そうな様子のご家族を前に「いまだ予断を許さない状態です。最善を尽くしていますが、覚悟しておいたほうがいいかもしれません」といった説明をしなければならず、主治医はかなりの心理的ストレスを抱えることになります。

でも最もつらいのは患者さん本人ですし、逃げ出すわけにはいかないので、医療者は毎日必死で患者さんの治療にあたります。


今の職場では直接患者を受け持たない立場にありますが、昔何度も味わったそんなときのきもちを、弱っていくバラを見て久々に思い出し、心がざわざわしている今日この頃です。


そもそも、バラの切り花を根付かせようというのが無理な話で、失敗して当たり前!
そんなふうに考えることができれば、これほどストレスを感じなくていいのだろうと思いますが、そこは性格なんですねえ・・・

まあ、とにかくバラちゃんには、もう少しがんばってもらいたいので、毎日声をかけて元気づけています。

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依存症

2024年06月06日 | ヘルスリテラシー
大谷選手の口座から大金を盗むまでして、野球賭博を続けていた水原元通訳が、自分の罪を認め、「自分はギャンブル依存症である。治療を受けたい」とも言っているといったニュースは、多くの方がご覧になっていることと思います。

禁煙治療を仕事として取り組み始めたころ、ずいぶんと色々な本を読んで勉強をしましたが、最も理解することに時間を割いたのが、依存症という病気そのものについてでした。

喫煙者に禁煙を促すうえでも、また、子供たちにタバコを吸わない人生を歩んでもらうためにも、「喫煙はニコチンによる依存症である」、「依存症とはどういう病気か」ということを理解する(してもらうこと)が、必要不可欠なことであると、医師として考えるようになったからです。

依存症と名の付く病気のなかで、最も昔から広く知られているのはアルコール依存症でしょう。

若かりし頃、精神科の医師から「アルコール依存症の人は、お酒が好きで飲んでいるのではなく、禁断症状を消すために飲んでいる」と聞いたことがありましたが、その時はあまりそのことが理解できませんでした。

今ではすごくよくわかります。

最初は興味半分で、あるいは何気なく小さな一歩を踏み出したところ、あっというまに底なし沼に足をとられ、もがけばもがくほど深みにはまり、ついには日常生活がままならない状況に追い込まれてしまうというのが依存症という病気です。
その状況を本人が気づいていないこともめずらしくなく、依存症の怖いところでもあり、治療の妨げになっています。

依存症の治療は、専門家によるカウンセリング、認知行動療法が主体ですが、依存症の治療には時間がかかるうえ、再発しやすいのも厄介なところです。

幸いニコチン依存症にはきちんとした治療薬があり、その薬の使用に専門家によるカウンセリングを組み合わせることで、高い禁煙成功率が得られることがわかっています。

依存症は一度かかると完治は難しく、生涯、再発の不安を抱えなければいけないことも少なくないので、かからないようにすることが一番です。

インターネットやゲームに没頭して、生活や健康に支障をきたす状態を「Gaming disorder(ゲーム行動症)」と正式な精神衛生疾患として世界保健機関(WHO)が認定しています。

誰もが依存症になりうる現代、「自分は大丈夫」と思うのが、もうすでに危ない一歩になっているかもしれませんね。

 






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