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『ランチタイムは死神と』あらすじとネタバレ感想!(柴田よしき著)

柴田よしき著『ランチタイムは死神(アンクー)と』のあらすじとネタバレ感想です。
『ランチタイムは死神と』は、2008年に新潮文庫より刊行された『窓際の死神』を改題し、2014年に徳間文庫より刊行されたものです。


死神の正体って何でしょうね。
2話プラス閑話休題のショートの構成です。

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・1話目 おむすびころりん
 片思いの相手に告白もせずに失恋してしまったことから餓死へと向かっていたOLの話
・2話目 舌きりすずめ
 小説家を目指すも自分より見た目が悪い同じ会社の女性がデビューしたことで逃げ出したOLの話

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『ランチタイムは死神と』あらすじ 

1話目 おむすびころりん あらすじ
多美は社内に好きな男性がいた。
でもその男・恭助は他の女性・絵里と婚約してしまう。
多美は失恋からダイエットして綺麗になりたい気持ちが強くなり、毎日おにぎり1個でランチをすませる。
多美はやせ始めたが頭の中で絵里が死ぬ妄想を楽しむようになる。
自分はおかしくなっているのではないかと思い悩む多美に、窓際社員・島野が声をかけてきた。
島野は死神で恭助はあと4日で死ぬと言う。
島野は多美に、恭助を助ける方法として、多美の寿命と恭助の寿命の交換を持ちかけ選択を迫る。

2話目 舌きりすずめ あらすじ
麦穂の夢は有閑マダムになることだった。
その為にお嬢様大学に進学し整形もした。
条件のいい男を見つけるも、二股をかけられ、もう一人が妊娠してしまう。
キャリアウーマンなど今更目指せない。
そのうち、愛人生活を送るようになる。
そしてたまたま書いた小説が初投稿で1次審査を通過したことから、小説家を目指し始める。
だが、奇跡は2度と起こらない。
落選し、最高に苛ついている時に、島野に同じ会社の片野京美が密かにライバル視していた片野ちぎりだと教えられる。


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『ランチタイムは死神と』感想 

●おむすびころりん 感想
だんだん歪んでいく多美が身近に思えた。
告白もせず失恋し、その彼女に嫉妬して恨んで死を望むなんて馬鹿げている。
でも、こういう事はよくあることだ。

芸能人が結婚したりすると、そのファンの人が尋常ではない怨念にも似た感情をぶちまけて相手の女性を攻撃することがあるでしょ。
あれと同じだと思う。
自分とその男は何の接点もない。
だけど自分の気持ちの乾きを潤してくれるのは間違いなくその男なのだとしたら?
執着心を抑えられないのかもね。
チョー迷惑な発想だけど。


多美は頭の中で絵里が惨めに醜く死ぬところを想像すると笑いが止まらないほど可笑しくなるのだ。
そんな自分に恐怖する。
そこに現れたのが死神・島野。
多美は恭助さんの為に自分の寿命を交換してもいいと答える。
残り3日あることから、母親に会いに実家に戻った時、親友だった時枝に出会う。


108ページで主人公・多美の中学時代の友達・時枝(あだ名・タイム)の台詞にグッときます。
「人の心はね、心の中は、聖域なんだよ。誰にも土足で踏み込んで踏み荒らす権利なんてない。」
友達にこんなことを真剣に言われると心が軽くなる気がします。

ローソンにゃんこ飯おにぎりの画像 tataraworks

●舌きりすずめ 感想
1話目は寿命の交換だったけど、2話目は運命の綱引き。
この主人公にも共感できるんだよね。
私の中学生の頃の夢は「お金持ちと結婚して一日中本を読んで暮らすこと」だったから。


会社を退職しウェイトレスをやっていた麦穂に、作家になった京美が会いに来る。
そして実は会社でいじめられていたことを話す。
274ページで京美が話すことは身につまされるものだった。
「つまらないことをあげつらっての叱責、あからさまな差別、嫌がらせ……でも、もっとショックだったのは、上司がそういう態度をとっているのを見ていて、周囲の同僚が誰も、その上司をいさめようとはしなかった、ということだったの。それどころか、課長にきにいられようと、一緒になってわたしを……」

京美はあまり可愛い外見ではなかった。
人の見た目で差別やいじめを行うのはインテリジェンスに欠ける人だと思う。
でも、そんな人が実際に大勢いる。


麦穂は、自分と運命の綱引きをしている相手は京美ではないかと感づく。
そして実際にその時が来て、京美の姉から京美の苦労話を聞かされる。
麦穂は京美を通して自分の人生を見直す。
同時に、京美は不幸ではなかったと考える。
小説を書くことに没頭する事で幸せを掴んでいたのではないかと……

そうかなぁ?と私は疑問に思う。
やっぱり、子供時代から苦労して、社会人になってもいじめられてきた以上、小説家で成功してこそ幸せなのでは?と思うけどな。
京美が受賞した小説は世に出るが、生きてこそのような気がするのだが……
そう考える私は、大きな葛籠を選ぶ人だわね。


以上、『ランチタイムは死神と (徳間文庫)』の感想でした。


ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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