11/1発売の限定商品、ブレンダーズスピリットをテイスティング。
ニッカが誇るブレンデッドの決定版、ブラックニッカ。
現在はスペシャル、ディープブレンド、リッチブレンド、クリアブレンドの
4銘柄が概ね1500円以下というお求めやすい価格で販売されています。
サントリーの角瓶シリーズと並ぶ、廉価帯ジャパニーズの代名詞です。
今回の「ブレンダーズスピリット」は、ブラックブランド60周年を記念して
発売開始初年度、1956年(!)の余市モルトを含め、
余市新樽、ヘビーピート、宮城峡シェリー樽、そしてカフェグレーン。
多様な原酒をまとめ上げた、まさにブレンダーの魂が宿っている1本です。
形状はスペシャルと同じ、お馴染みのボトルですが、
青色のボトルにマット加工が施されていますね。
ある程度の数量に絞っているはずの限定品に加工を施すのは原価的には
非常にリスキーなはずで、ニッカのやる気を窺わせる外観です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/07/c134e5e31363505130e62213ffbcd3bc.jpg)
新樽のバニラ、カラメル、樽香。甘いモルトの香り、フローラルな部分も。
僅かに加水すると、宮城峡のものと思われる洋梨系の果実香、レーズンのようなシェリー樽。
ビターを含んだモルトの甘み、チョコレートやコーヒーを思わせるほのかな苦味。
全体的な構成はスムースにできていますが、それでいて奥深く、
若く、荒々しくも華やかな原酒、樽の特徴が顕れた長熟モルトが織り成す複雑味。
全ては表現しきれませんが、相当な数の原酒を使用しているのを伺い知ることができます。
特筆すべきはその余韻の長さ。
一旦スッと、軽やかに減衰するのですが、そこから長く木樽が香り、
先述のモルト、カラメル、ピートが後を追うようにして漂います。
あくまで傾向という話ですが、ディープブレンドの超強化版。
初動のインパクトが非常に優秀なディープですが、その勢いをしっかりボトムまで継承。
複雑味と香りをスムースにまとめた意味では、ジョニ黒の特徴と非常に近いものがあります。
それでいて、それを軽く超えていくような奥深さ、リッチ感。
概ね販売価格は2500円前後で、スコッチの12年ものと大差ありませんが、
味わいで示すならばその一ランクは上を行ってしまっています。
傾向はかなり異なりますが、復刻版のスーパーと比べても、悪くないんじゃないでしょうか?
レビュー用とその後用で2本購入していたRuudですが、1本目が実働2日で
500ml以上なくなったという事実が、この銘柄の凄さを最もストレートに形容できるかも。
この衝撃は、ニッカで言えば竹鶴12年、ザニッカ12年に比肩しています。
名だたるスコッチのブレンデッドは数十にも渡る蒸留所の原酒をブレンドする中、
自社の原酒のみを使用しながら、廉価帯から高級品まで作り分ける日本のブレンダー。
その技術の粋を感じながら、ゆっくり味わいたいですね。
香りB+ 風味A 厚みA- 余韻A C/P A+ 総合A
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