黎明編【視界に入っているのに見えていない物】

「脳障害が発症してから３か月以内に回復しないと、それが以上は回復が望めない。」
と言われ、視野の回復に向けたリハビリを行った時期があった。

　頭を固定して、目玉を左右に振って、
「ここまで見えますか？　ここは？」
と視野の角度を広げる検査と訓練を続けた。

　右目の右側の視野は、ほんの少しだけ広がった。
　しかし、左側の通常の視野に比べたら半分以下であった。
「３か月が過ぎたので、改善は難しいでしょう。
　ある時等には、頭を左右に振って、足りない視野を補う訓練をしましょう。」
ということになった。

　但し、下側の視野の欠落については、状況が違う感じがしている。
後から調べてみると「マリアット盲点」というものがあるらしい。
「右下の視野を見えないことが多い。」
と思い込んでいたのは、
「右側の視野が狭くなった。」
と思い込んでいたらしい。
よく考えて比べてみたら、同じくらいの視野であった。

　精神的には
「誰でも起こりうる現象」
ということを知って安心したが、
「注意力が欠如している」
ことには変わらないので、運転する時や低学年児童が足元に居る場合等には、普通の人の何倍も配慮するように心がけている。