ニュースは踊る

ニュース、その他に関する個人的感想です。「正しいこと」、など書きません。私は名は「三太郎」。

敵もまたお国の民であり

2006-08-16 | Weblog

最後の「実質的な大奥の指導者」であった「天障院」は薩摩の出身です。この人、今度NHKの大河の主人公になるそうです。民放の「大奥」にも出てました。菅野美穂がやってました。数回見ましたが、個人の争いばかりを描いていました。あまりに卑小化されていて、天障院のために涙したい気分になりました。

本当の天障院はたぶん、資料で調べる限り、全く違う人間です。個人の問題を超えたもっと大きな問題を背負っていたし、考えてもいました。

西郷にこう伝えたと言われています。

徳川の民もまたお国の民である。今は人心をまとめ、外敵に備える時である。それゆえ徳川慶喜以下みな恭順をしている。それでもなお官軍は徳川を責めるのか。

江戸時代は国民意識そのものが薄く、「藩ナショナリズム」の時代でした。が、天障院はそれを超えて広く寛容なナショナリズムを身につけていました。

「敵」といえど「お国の民」

西郷と天障院は二人とも夭折した島津斉彬の薫陶を受けていました。西郷は生粋の藩ナショナリストでしたが、感情を頭でおさえることができたのでしょう。天障院の言葉の直接的な影響とは言えないでしょうが、結局彼女の言葉通りに徳川を責めて国民同士が争うという事態を回避しました。

むろん戊辰戦争は起きましたが、徳川との全面戦争をした場合は完全な内戦になっていたでしょうから、「人心がまとまる」にはその後長く時間を要したでしょう。

その後西郷は日本最後の内戦を起こします。しかし西郷をかばうなら、彼は全く戦術に口出しせず、ずぶの素人である中村半次郎らに全てを任せ、当然のように負け、結局不満士族と共に滅び、最終的な「人心の統一」が達成されます。明治政府もそれ(不満士族と共に滅んでくれたこと)が分かっていたから上野に銅像を立てたのでしょう。

西郷、大久保、天障院、徳川慶喜。昔のナショナリストたちは偉かったと思います。

今、ナショナリストを自称する人たちは小泉首相をはじめ、みなわざと「敵」を作って、時におとしめあい、時に本当に殺しあったりしています。

いつから日本のナショナリストはこんなちっぽけな、卑小な存在になったのでしょうか。

韓国に行ったら西郷は朝鮮侵略の旗手として極悪人の扱いを受けていました。韓国人の心情はよくわかります。僕が韓国人なら当然そう思うでしょう。

でも僕は西郷は好きですね。最後は彼の政敵になってしまった大久保も好きです。大きな人間たちです。

特にまとめはないのです。

敵もまたお国の民。敵もまた人間。

いい言葉だと思います。

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1 コメント

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Unknown (sesiria)
2006-08-19 18:07:37
昔の人物はスケールがでかい。

なんとも勇壮ですな!
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