ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

浅草のアミューズ ミュージアム御存じですか?

2011-05-20 11:24:39 | 博物館、美術館行ってきました
    
    
少し前になりますが、4月の末に浅草に行ってきました。
浅草寺では、東北大地震の義捐金になるというので普段は入れない五重の塔わきのお庭と絵馬の公開も見てきました。
金龍山浅草寺平成本堂大営繕記念ー大絵馬寺宝展と庭園拝観、菖蒲や真っ赤なつつじと新緑の緑が何とも美しい庭園で、
五重塔とスカイツリーの並び立つ新名所の風景を楽しみました。
かつて本堂外陣に並べて掲げられた大絵馬は、観音参詣の多くの人々の目を引き付けるもので、絵師が技量や意匠を競い合ったそうです。
武者絵など勇壮な歴史画や能に取材した力作などが数多く並び、谷文晁、鈴木其一、歌川国芳、柴田是真らの大作があり驚きました。
徳川将軍家や歌舞伎の二代目勘三郎ら信仰厚い有力者が著名な日本画家に依頼して浅草寺に奉納したのでしょうか、
思いがけず見ごたえがある屏風の様に大きい立派な絵馬をたくさん観ることができました。

   
ニ天門を出てすぐのところに白い細長いビルがあり、アミューズ ミュージアムの大きな表示があります。
10月10日までの長期にわたって、開館1周年記念特別展ⅡJapanese Beauty もっとかわいく!女らしく展を開催しています。
普通の女の子が、豊かでない暮らしの中、手に入るものを最大限工夫して「もっとかわいく!女らしく」と願い、
ハンドメイドの着物に残した美しい刺子。
重要有形民俗文化財の津軽刺子着物のアートを、消費文化の対極とみた企画です。

この館は布文化と浮世絵の美術館で、青森の民族学者、田中忠三郎が半世紀にわたって山村をめぐり歩き集めた布などが展示されています。、
農家の生活が豊かになり消えてゆく衣類や民具を集めた常設展示コーナーの個人コレクションは、
昔の農家の暮らしを知らずに初めて訪れる人に衝撃を与えることでしょう。
池袋の東武百貨店に隣接する日本伝統工芸館で読んだ解説によると青森の津軽の伝統工芸のこぎん
当地で江戸時代農民が木綿の着物を着ることが許されず、麻布を何枚も重ねて木綿の糸で要所要所を縫い、
寒さをしのぐために保湿と補強のために布に施された知恵の産物がこぎん刺しの元々の姿だそうです。
特別展にある結婚のときに用意したこぎんなどは、精錬された文化に発達した手の込んだ模様の物で、
最近小物として作られるこぎんは、色彩豊かな糸で木綿地やウールなど上質の生地に施された装飾的なものです。
そういったこぎんに見慣れている者にとって、常設展示室にある生き伸びる為に編み出されたボロといわれる刺子の布、
例えば、どてらの持つ10キロを超す重さは、恐ろしい寒さに耐え生きる執念が麻布に縫い込められているようで衝撃を受けます。
かつての極貧の生活を恥じる人々がボロなど、その生活の道具であったものを語らずに人知れず捨ててしまったために収集は困難で、
またまれに捨てることができずに大事にとっていた老婆が、求めに応じて出して見せると、老婆に対して家族は、
そげなもん恥さらしてと極めて冷淡であったと言います。老婆は、おめえらをこれで育ててきたんだ!とボロをたくさん持ち、
近所にも融通して心底ありがたがられてきた誇りであったものへの侮蔑に怒りと悲しみを見せたといいます。

黒沢明監督の映画「夢」でも使われた民族衣装のコレクションは多彩で、豊かで、生きる力を持つ布の生命力があるように感じました。
赤犬の毛皮のコート、鮭の皮で作ったブーツ(ヒレが付いている!)など、ゲゲゲの女房もびっくりの耐乏生活グッズにも仰天です。
展示スタイルや、広告のコピーは今風ではありますが、内容は重くしっかりと心に残りました。