ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

香りーかぐわしき名宝展

2011-05-16 09:01:07 | 博物館、美術館行ってきました


東京芸術大学美術館の香りーかぐわしき名宝展を見てきました。
所々に蓋をあけて香りを体験できる箱が置いてあるのも楽しく、身近に香りを感じられました。
元々仏教に伝来したものが日本独自の香道の文化などに広く発達していく様子が時代を追って示されていきます。

展示は、香木の本体から、香木で作られた観音像仏具や茶道の香炉や貴族の衣装に焚き込めるために使われた伏籠など多岐にわたり、
日本の香りの文化が発展し、様々に生活の中で変容していく様子をあますことなく紹介したいという意気込みが伝わってくるようでした。

中でも香道で使われるお道具の数々が圧巻で、豪華な嫁入り道具が目を引きました。
香道は室町時代の東山文化のころ、茶道や華道が大成するのとほぼ同時期に作法なども大成されたそうですが、
茶道、華道ほどに生活の中でのなじみがなく新鮮で、江戸時代にはやった組香の一つ源氏香の図が香道のイメージとして
大きく紹介されていました。自然、源氏香のルールに従い5つの香をどのように聞き分けて図にあらわすのか興味のわくところですが、
説明が簡単すぎて会場ではどうしても理解できず、ネットで調べてすっきりしました。
具体的な一例があると簡単にわかることなのですね。

その後、武家から庶民への第3章、絵画の香りの第4章と続きました。
絵画に描かれた花や楚蓮香の図などまで入れると、香りを文化に昇華したというより、
庶民生活の中に紛れた香りにまつわるものといったゆるいくくりに拡散していくためか
量もジャンルも雑多で印象が薄くなりました。
香道の発展までとそのお道具はみごとで印象に残りましたので、香りを愛でる文化に絞って観てもよいと思いました。

同時開催の春の名品選も見ごたえがありました。
新収蔵品として、鈴木貫爾のダチョウ、蓮田修吾郎の龍班スクリーンの2点が加わり新鮮でした。