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→♂♀←_no.5_2014:たう星空間異常

2014-03-30 20:46:48 | 今月のお薦め_XX.20XX
たう星空間異常_モーレツ時間海賊(第一章) 笹本祐一 朝日新聞出版
ミニスカ宇宙海賊 11 モーレツ時間海賊
笹本祐一
朝日新聞出版

 宇宙大学起源の記述から作者の科学的あるいは世界観の感覚の良さに感激してしまう。ジェニー(前)部長が白鳳から久方ぶりに入学することになった超難関大学名の前に宇宙をつけるお茶目ぶりに多いに受けながらも、どう処理するか楽しみにしていた。まさか、これほど真摯な設定をぶつけてくるとは全く想像していなかった。

 受け継がれるという意味合いで脊椎動物の起源が歯にありそうだ、という話を想い出す。背にある骨として大いに進化したのは海から川に生活圏を求めた魚たちのカルシウム貯蔵のため。しかし、貯蔵の背骨が優れた泳力をもたらし、再び海に戻った子孫が、かつて川へ追いやった輩を駆逐していった歴史も忘れないよう記述。では、カルシウムという硬い物質を体に備える切っ掛けは何であったのだろう。背骨が確立する前から頭の骨や口の歯は存在していたのだろうから「身を守るため」か「食い扶持を得るため」かと、ついつい、『矛と盾』、『攻撃と防御』などと対になる候補を上げて考えたくなる。

 現在の地球では内骨格である脊椎動物は巨大化では外骨格より有利な展開をしながら多岐に渡り生存している気がする(小型化では外骨格のが進んでいるので有利不利より戦略の違いかもは置いといて)。さて、我々は大脳皮質を大いに発展させ、それを収める大きな頭蓋骨を持つ人類であるから、脊椎動物の起源が盾である方が人間的にはドラマチックかと思っていた。だが、人類が属する哺乳類は食にこだわりがある種らしい、ならば……。脊椎動物の化石を哺乳類と判断する材料の一つに噛み合わせの良さがある。サメやワニの中で次から次に準備できるよう進化した歯に比べ、換えのきかないためメンテナンスなど煩わしさを伴う永久歯が劣っているかもと思慮の浅い感想を持ったことがあったが消化などのため、しっかり細かく噛み砕くことを優先した種が哺乳類といえよう。この食へのこだわりは脊椎動物の起源が矛にあるとするとロマンを感じやすい。
 やがて、コノドントと呼ばれる化石群の存在を知り、脊椎動物の起源は矛である歯にありそうだと。ということで火など使って料理の幅を広げた人類の歴史は食にこだわる歯の継承種の末裔で扱うことにしようっと。

 一方、宇宙大学は宇宙に最初に誕生した知性が得た知識を記録として残そうとしたときにはじまり、星を渡る術を得つつ、可能な限り長期間に渡って記録が保存されるように魔法(と呼ばれた術など)を含めたあらゆる手段を尽くした経緯を持つ。様々な多様性を試すべく種類を増やした生物が数度の大量絶滅の度に数を激減させながら生き残った歴史、その一つに過ぎない脊椎動物の経緯と宇宙大学の壮大な歩みを重ねたくなってしまったのです。
 宇宙大学、目指したかった(志望するだけです)。

 それはそれ、登場人物たちの物語もとてもおもしろい展開になってますが、じかん(次巻)以降と併せてレビューする機会があればと思う次第。

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