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ひらかなのひとり言

幸せって言葉にすると大きくなる。
だからいつまでも、今日の幸せが続いて行くように。
気ままなのほほんひとり言。

ひゃひゃひゃ

2011年06月16日 | 宝物

転倒。86歳。

一人息子と、嫁に囲まれ、

毎日を過ごす日々。

息を吸い、息を吐く。

ただそれだけの毎日。

 

散歩が日課。

でも散歩でこけて右肩受傷。

痛くてたまらないその右肩を

かばうようにして歩く姿を見て、

なんとも言えない感情が胸をよぎる。

心の中で何かが音を立てる。

“治したい”

耳のすぐ近くで誰かがつぶやく。

きっとそれは私自身で。

 

初めに、

私の手の感覚をばあちゃんに伝える。

優しく触り、

手のひら全てをさらけ出し、

自分の

想いを伝えようと必死に触れる。

 

少しこわばったばあちゃんの肩の筋肉がゆるむ。

だから、嬉しい。

第一関門突破。的な?

 

ばあちゃんの右肩は、

私に触れられることを認識し、

記憶しながら感じる。

不快か・・・快か・・・

最後に右肩の筋肉が答えをくれる。

そう信じているから、

最初から最後まで絶対気を抜けない。

 

ばあちゃんが、痛みにこらえる表情から、

ふと変わる瞬間があった。

ばあちゃんは話し出す。

『わたしゅいね~。こけたくてこけたんやないんでしゅ。

 せやのに、ひど~おこられましてん。

 なんでなんにもないところでこけたんでしゅか~!って。

 ふるえあがりましゅいたわ~。』

と。

あら~…と思いながら息子さんの姿を思い浮かべた。

『誰にそんなひどいこと言われたん?』

そう問う私に、

ばあちゃんは肩をすくめてこういう。

『ひゃひゃひゃ。。。』

かすれるような笑い声、

いきなり胸を張って眼を見開いて、

『そりゃ~誰にもいえましぇん。』

と。

 

なんとなくわかった気がした。

それは・・・息子では・・・ないな??

 

『ええひとなんでしゅけどね~。

 かわっておるひとなんでしゅ。』

と、また背中を丸め、

いつもの口調でそう言った。

 

ばあちゃんの横顔がリアルだった。

 

嫁姑。

 

怖いけど、人ごとならおもしろい。

 

45度しか挙がらなかった腕が、

95度まで挙がった。

痛みのない関節の動きにばあちゃんは満足した。

 

『ひゃひゃひゃ・・・

 またおねがいしましゅね。』

低いところから見上げながら、

ばあちゃんは私にそう言う。

 

『はい。』

と答えた。

 

 

どうせなら?甘え上手な嫁になりたい。

どうせなら?甘え上手な姑になりたい。

 

ひゃひゃひゃ。

 

 


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